「豚舎・設備のお悩み解決!」(23自家配設備でコストダウン

 

昨年は近年にない高豚価に支えられて、ほとんどの養豚経営体は黒字経営になっています。その利益を、溜った買掛金の返済に当てたり、設備投資に回したりと、使い道は経営者の判断によってまちまちのようです。では、今後の相場予測はどうでしょうか。東京食肉市場の担当者の予測では、今年は去年よりは安くなるが、500円前後で推移するのではないか。ということです。来年以降はTPPの妥結内容にも依るでしょうが、おおかた下がる見通しを予測する人がほとんどです。

一方、配合飼料価格は安くなる見通しは無いようです。このような状況下でも飼料費を安く抑えている農場では、バイプロ利用のリキッドフィーディングや、自家配合設備を導入しているところが多くなっています。

最近、私のところには、母豚規模100300頭の農場から飼料費低減の相談が多く寄せられます。リキッドフィーディングや、自家配合設備を導入したいが、どれほどの費用対効果を出せるかが不安なので、なかなか踏み出せないようです。

そんな悩みを抱えている養豚家さんにちょうど良い事例を視察してきましたので、ここで紹介させて頂きます。

九州地方で母豚120頭一貫経営をされているところです。

農場レイアウトは図1のとおり、自家配施設のレイアウトは図2のようになっています。原料の粉砕から配合済み製品和え遺品タンクまで全て搬送ラインで繋がれており、たいへん省力的な設計になっています(図2)。

 

 

 

写真3は受入タンクとコンテナです。丸粒トウモロコシと大豆カスと乾燥粉砕した食品残渣がバルク車で運ばれてきます。魚カス、タンカル、リンカル、ビタミンプレミックスは、袋で購入し、コンテナに保管しています。これらの原料を混合してプレミックスタンクに入れておきます。コンテナの端の床には袋納入原料の投入口が開けてあり、省力化をよく考えた設計になっています。コンテナ内には制御盤も納めてあります写真8。この農場では、1回に4トンまたは2トンの製品を配合できるように設計されています。ですから、配合する時は、製品を入れるタンクのシャッターを開け、製造メニューを選択してスタートボタンを押すだけです。4トンを製造するのに約30分ぐらいで終わります。

自家配している銘柄は、人工乳後期、子豚用、肥育用、妊娠期用、授乳期用で、1ヶ月に約60トン製造しています。それでも稼働するのは週に2〜3回で十分間に合っているそうです。

気になる費用対効果ですが、設備の建設費は2,500万円。昨年の平均飼料単価は消費税込み48/kgで、2年前までのJA取引時よりも約7円/kg安くなったそうです。

農場飼料要求率は、2年前の3.7から2.9(2014年実績)に改善されたそうです。ですから、設備費は約2年半で回収出来るそうです。ここで目を見張るべきは、単価のコストダウンもさることながら、飼料要求率の改善の大きさです。120kgで出荷した場合、肉豚1頭当りの餌は96kgも節約できたのです。金額にして肉豚1頭あたり7700円にもなります。

この設備では母豚300頭一貫経営ぐらいまで対応可能です。母豚300頭で年間7500頭出荷、生体重120kg、農場FC2.8なら月間210トン。人工乳を除けば204トンぐらいですから、4トンずつ製造すれば51回。4週で割ると約13回製造。週3回の製造で稼働させるならば、1日4回製造すれば良い事になります。

最後にみなさんの地域で自家配合施設を導入するに当たっては、原料の丸粒トウモロコシと大豆カスの調達コストにかかってくると思います。丸粒トウモロコシの輸入代行は株式会社ゼンケイでやって貰えます。近くの港まで届けて貰えるか、そして、港渡し単価と運賃の合計でいくらになるかを検討する必要があります。トウモロコシが農場着価格で30円/kg以下で、大豆カスが60円/kg以下で仕入できれば平均価格49円以内に納められるでしょう。是非検討してみて下さ

 

 

 

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最終更新日 : 2022/01/23