「豚舎・設備のお悩み解決!」(23)ネズミ対策

 

ネズミの被害は1年を通して発生しますが、特に寒さが厳しい地方では、ネズミが開けた穴から入ってくる隙間風が深刻です。
ウインドレス豚舎では、入気口から入る空気よりも隙間風の方が多くなって、換気がうまくいかなくなっている豚舎も見かけます。

冬は外が寒いので、ネズミたちは豚舎の中に集まりますから、ことに被害が目立つようになります。
豚舎は暖かいし、餌もたくさんあるので、ネズミにとっては天国のようなものですから。
裏を返せば、冬は集中してネズミ駆除をやりやすい季節とも言えます。

 

【ネズミの被害】

まずはネズミによる被害をおさらいしておきましょう。

@    壁や天井の断熱材に穴を開けられて、隙間風の原因になる

A    配線をかじられて、漏電やトラッキング現象の原因となる。

B    病原菌を媒介する。主なものはサルモネラやレプトスピラです。レプトスピラは流産や不受胎の被害をもたらします。

被害の頻度から言えば、@の穴あきが最も多いです。
豚に対しての直接的な被害を正確に把握しにくいのですが、隙間風で室温が蓋の快適温度よりも下がれば、発育は停滞します。
それが出荷日令の増大、飼料要求率悪化につながります。
また、離乳舎や分娩舎では、暖房効率が落ちるので、暖房費の増大になります。

Aのケースは非常に番厄介です。主に天井裏など、見えないところで配線をかじられるので、発見が遅れてしまいます。
漏電なら、漏電ブレーカーを付けていれば防げますが、裸になった電線間で火花が発生する“トラッキング現象”は漏電ブレーカーでは防げません。
これが原因での火災が毎年おこっています。
火災は保険を掛けていれば、豚舎は再生できますが、失った豚の被害は甚大となります。

頻度は少ないが一番厄介なのはBで病気の侵入です。
ワクチンや薬剤費が永遠に増加する事になりかねないからです。
病気を抜くには農場を一旦オールアウトするか、パーシャルデポピュレーションをするかになります。
いずれも時間とコストが大きくかかります。

 

【ネズミ駆除方法】

@    粘着剤で捕獲する

A    殺鼠剤を使う

B    忌避剤を使って追い払う

ネズミは警戒心が強いので、建物の端の方を歩きますし、いつも決まった通り道を通ります。
ネズミの糞を見つけることや、ホコリの上に付いたネズミの足跡を見れば、ネズミ道を見つけることができます。
このネズミ道に粘着剤や殺鼠剤を仕掛けて下さい。
壁に開けられたネズミ穴の脇やすぐ下に粘着シートを置くのも効果的です。

粘着シートはホームセンターにも売っていますが、農場では使う量が多いので、通販で安く買うことをお勧めします。

図1は段ボール紙に粘着剤が塗布されている商品です。
畳んである商品を広げて設置します。
大量に安く使いたい場合は、図2のような缶入りタイプがおすすめです。あり合わせの段ボールを切って、それに粘着剤を適量塗布して設置します。この時、缶を湯煎で暖めて作業すると、粘着剤が柔らかくなって取り出しやすくなります。

次にAの殺鼠剤ですが、もっともポピュラーなのが『エンドックス』です。
エンドックスの使い方は
2種類あります。

(1)  ネズミ道に撒いておくだけ。これはネズミに習性を利用した方法です。ネズミは動き回った後に足を舐める習性があります。ですから足に付いたエンドックスを舐めて死に至るのです。
豚が誤って食べることが無いように、豚が届かない場所に撒いて下さい。また、風で飛ばされないようにも注意を払って撒く場所を選定して下さい。

(2)  それでも効果が薄い場合は特製毒餌を作って設置するのが一般的な工場などで取られる手法です。しかし、豚舎にはもっと美味しい豚の餌がたくさんあるのでこの方法は手間が増すだけで、有効とは言えないでしょう。

次にBの忌避剤の利用ですが、これは密閉された空間じゃないと効果が有りません。
紙袋ミルクの保管庫や薫蒸庫などに使います。

図3のような製品をモノタローやアマゾンなどの通販で購入できます。
農場でネズミ被害を受けやすい機器は温水洗浄機です。
カバーの内部にネズミが入り込んでかじったり、巣を作ったりします。
これを防止するにも図
3に示した忌避剤を洗浄機のカバー内に設置しておけばOKです。
また、冷水タイプのようにカバーを開けられない機種やエンジンタイプの場合には、図4の様な洗浄機保管箱を作りましょう。

ネズミの駆除はこの3つの方法を同時並行して行うと最も効果が上がります。

「やれば良いのはわかっているけど、それにつぎ込む人出が足りない。」
という場合は、プロのネズミ駆除業者へ依頼しましょう。
「ネズミ駆除」とネットで検索すればたくさんの業者がヒットします。
その中から養豚場に対して実績の有る会社を選んで下さい。
また知り合いの養豚場で依頼して効果が出た業者があるならば、そこを紹介してもらうのがベストです。

是非冬の間にネズミ撲滅作戦をやってみてはいかがでしょうか。

 

 

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最終更新日 : 2022/01/23