「豚舎・設備のお悩み解決!」(22)豚舎にもヒートポンプで暖房費節約

 

あなたはヒートポンプってご存じですか。『エコキュート』と言えばわかると思います。
家庭用では一般的になってきましたが、畜産分野ではまだ利用が進んでいません。
農業分野ではビニールハウスの暖房に普及が進んでいます。
そこで私は現在ある会社の協力を得て、ヒートポンプ暖房を豚舎に取り入れる取組を始めました。


 図
1がヒートポンプの原理です。冷媒(中に入っている気体)を循環させる方向を逆にすると冷房運転になります。
ヒートポンプの効率を表す単位は
COPといいます。
図1の例では
100の電力を使って350の熱を放出しているので、COP3.5350÷100)となります。
ですから電気で直接暖めるコルツヒーターよりも熱効率が良いのです。
ただ、弱点は設備コストが高いのと、外気温が常に氷点下になるような寒冷地では効率が落ちます。
室外機で外気を冷やす仕組みなので外気そのものが低温では温度差が少なくなるからです。
また、寒冷地では室外機に霜が付くので、霜取り運転が必要になります。
霜取り運転中は暖房が停止します。


 このような空気熱源方式のデメリットを解消したのが水熱源方式と地中熱源方式です。
水熱源方式では井戸を掘って地下水を利用して室外機に熱を供給します。
地下水は
1年中15度前後の水温ですので、たとえ外気温が-20度でも100%の暖房能力を発揮できるのです。
霜取り運転の必要もありませんから空気熱源方式に比べて
2030%暖房効率がアップします。
ただし、井戸を掘る分だけイニシャルコストはアップします。

 地中熱方式は地中に埋め込んだパイプから熱を吸収する方式です。
こちらも霜取り運転が不要で
1年中安定した運転が可能です。
イニシャルコストも井戸を掘るよりは安くすみます。
ですから私は地中熱源方式を養豚用に考えているのです。

現在豚舎の暖房の主流はガスまたは電気(コルツヒーター)ですが、特にオールインオールアウト方式の離乳舎ではガス温風ヒーターが主流です。
これは資源の豊富なアメリカから伝わった方式なので、日本のような資源の乏しい国には合いません。
離乳舎でもケンネル方式にして部分暖房にすればかなりコストダウンになるのではないかと思います。
分娩舎はたいてい保温箱設置型ですので部分暖房です。
ヒートポンプはランニングコストは灯油やガスの1/3で澄みます。
部分暖房を取り入れて設備コストを抑えれば十分採算が取れると思います。

 実際にはこれから見積を取る段階なので、新たな情報が入ったらまたお知らせ致します。

 

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最終更新日 : 2022/01/23