「豚舎・設備のお悩み解決!」(21)DIYで電気料金を節約

8月に私が主催しました電気のセミナー『年間利益300万円の差が出る電気のプロ知識』は、大勢の方にご参加頂き大好評を得ました。
その時に
DIYで電気料金を節約した事例をいくつかご紹介しました。
その中で『コルツヒーターの出力をインバーターで調整できないか』という質問がありました。

インバーターでも出来ないことはありませんが、通常のインバーターは3相交流モーター用に設計されているため、単相で使うコルツヒーターを制御するには、3つの相へ均等にコルツヒーターを繋げてやる必要があります。
これは電気の知識がある人が管理しないと難しいことです。
3相のバランスが崩れると、インバーターがエラーで止まってしまいます。

 

 一般的にコルツヒーターには強弱の切替えが付いていて、強では200Wまたは300W
弱では
100Wまたは150Wと半分になります。

ただし、気温に合せてマメに強弱切替えをしている農場はどれだけあるでしょうか。
春や秋は日中は弱または
OFF、夜は強でONにしたいものですね。

今回は強弱2段階ではなくて、外気温に応じて出力を100%から0%まで変化させる制御を自動でやってみましょう。

 

 まず、メインとなる制御部品ですが、『単相電力調整器』というものを使います。
これは養豚場ではあまり馴染みはないですが、
OMRONから出ているものが最もコンパクトで安価に手に入ります(写真1)。

45アンペアタイプで¥31,900(モノタロー)これだと200V200ワットタイプを45台接続できます。
しかし元の電源が三相
200Vですから、そのうち1相だけで45A流すのはバランスが悪くなります。

20Aタイプを2台または3台に分けた方がブレーカーも小さいもので済みますし、相バランスも良くなります。


図3は60豚房の分娩舎を想定した設計例です。
電力調整器は
20AタイプのG3PW-A220EU-C\27,900)を3個使います。

電源側は三相200Vから40Aブレーカーを介してG3PW-A220EU-C 3台へ1相ずつ振り分けます。
もし、配電盤の40Aブレーカーから電源を持ってくる場合は、こちらは漏電ブレーカーにした方がベターです。
豚舎側のヒーター用コンセントの配線がどうなっているかは農場ごとに異なりますが、それらを3個のG3PW-A220EU-Cへそれぞれ接続すればOKです。


温度調節器は同じくOMRONのサーマックの電流出力タイプ(E5CN-CT)を使います。
温度センサーは白金タイプを使い、外気温を検出します。
分娩舎の室温に応じて出力を調整したい場合は、温度センサーは熱電対を使うと安く上がります。
熱電対の場合は、E5CNの4番端子に「−」線を、5番端子に「+」線を繋ぎます。

 

 ブレーカー始め、G3PWE5CNは全てウォールボックス内に組み込んで下さい。
G3PW
は発熱しますので、ボックスの側面の上下には換気口を開けて下さい。
G3PW
は縦長に取付ます。


左右の間隔は2cm以上開け、上下の間隔は10cm以上開けて取り付けます。
配線上の注意点は2つあります。
『指令入力/電源端子台』の「L」端子と『負荷端子台』の「L1」端子は必ず同じ相の電極を結線して下さい(図4)。
 

図4:結線図その1                                                    
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               
                                                               

温度調節器E5CNからの制御線は、図5のように結線します。

G3PW3台の2番端子と3番端子に直列に配線します。

これで、外気温の上下に応じて分娩舎全体のコルツヒーターが出力自動調節出来るようになります。
サーマックの設定方法は、例えば目標温度を18℃、比例帯を5℃に設定、制御方法を『加温』にすると実際の動作は次の様になります。

外気温が18以下では出力100%。1823℃までは温度に反比例して出力を減少。
23℃
以上では出力がゼロになります。
目標温度や比例帯の幅は農場の立地条件によって加減してください。
サーマックの初期設定の仕方は以下の通りです。

@  「○」キーを3秒以上押し、初期設定モードにする。最初の表示は「CN-t」で、入力種別のことですから、K熱電対0650℃の場合は「6」にします。上下矢印キーを押すと設定が変わります。

A  エンターキーを押して上段の表示を「CNtL」にする。上下矢印キーを押し、下段の表示を「PId」にする。

B  「○」キーを3秒以上押し、運転モードに戻る

C  「○」キーを短く押し、調整モードにする。エンターキーを何回か押し、表示を「P」にする

D  ここが「比例帯」言って、出力を変化させる温度幅になります。上下矢印キーを押して表示を「5」にします。

E  エンターキーを押し、表示を「I」にする。上下矢印キーを押して表示を「0」にします。

F  エンターキーを押し、表示を「d」にする。上下矢印キーを押して表示を「0」にします。

G  「○」キーを短く押し、運転モードに戻る。

 

最後に通販のモノタローで部品を買う場合のリストを掲載しておきます。
なお、電気DIYの経験が無い方は、「やってみたくとも怖くて出来ない。」と思っていることでしょう。
そのような方のためにマックプラニングでは、訪問実地トレーニングも行っております。
農場へ伺い、担当者さまと一緒に目的の機器を作り上げるサービスです。
詳しくはメールまたは電話でお問い合わせ下さい。
 

部品表        
品名 規格 数量 単価 モノタロー
注文番号
温度調節器 E5CN-CT 1 ¥19,200 08590136
熱電対 K 1 ¥2,790 33190157
電力調整器 G3PW-A220EU-C 3 ¥27,900 39066535
漏電ブレーカー 40アンペア 1 ¥4,290 06969076
ブレーカー 40A/30mA 1 ¥7,890 32739235
端子台 T20 C 08 1 ¥729 06945644
ボックス 315×384×167 1 ¥4,890 09980397
  合計金額 ¥123,489  
この他に配線用電線や圧着端子が必要です。        

 

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最終更新日 : 2022/01/23