錆対策と言っても幅広いですが、豚柵、餌箱、機械設備について説明していきます。
全体的に、錆は鉄が空気中の酸素または水と反応して酸化鉄に変わったものです。
温度が高くて湿気が多いほど発生しやすくなりますので、第1の対策は豚舎の換気を良くすることです。
一般にウインドレス豚舎でかつ、運転も適正換気に調整されている豚舎では錆が発生しにくいものです。
従業員を一番悩ませる錆は、なんと言っても豚柵の錆ではないでしょうか。
錆びて溶接が剥がれて、そこから豚が逃げたり、となりの豚房の豚と混じってけんかしたり。
破られたところを溶接して直しても、またとなりの柵が破られる。毎週毎週補修しないと追いつかない。
こんな悩みを抱えてはいませんか。溶接はよほどプロ級の腕前の人でない限り、垂直の接合面を綺麗に溶接するのは難しいのです。垂れてきて仕上がりがでこぼこになってしまいます(写真1)。

凹凸があるからそこに糞がこびりつき、また錆が出やすい状態になっているのです。
ですから頻繁に溶接修理が必要になってしまいます。
そこで私がお勧めするのは、ユニット式鉄柵です。
大抵の豚舎では同じサイズの豚房がいくつもありますから、鉄柵も同じサイズのものが多く使われています。

図2のように鉄柵は上下対称に製作し、支柱にはステンレスボルトで留めます。ボルトはケチらずにSUSを使いましょう。
錆びて取り外しできなくなってしまっては元も子もありません。
そして、同じサイズの予備柵もストックしておきます。
このようにすれば、一定期間使って下の方のさび止め塗装がはげたら、予備柵と交換します。
取り外した柵は塗装し、次回は上下逆に取り付けます。
このようにすれば、柵は長持ちしますし、修理の時間も省けます。
また、溶接が必要な時も、ユニット柵なら外してきて、溶接面を水平にして溶接すれば綺麗に溶接できます(図3)。


溶接部分はカスを剥がしてさび止め塗装をして下さい。長持ち度が全く違います。
次に豚舎内設備で錆びやすいのは給餌ラインではないでしょうか。
豚舎内のパイプは、豚房の洗浄の度に洗って下さい。

図4の農場のように毎回綺麗に洗浄すれば、配管も長持ちしますし、衛生的にも良好です。
ホコリが付いたままですと、ホコリが湿気を吸って錆を助長します(図5)。

また、餌箱も錆びてくると食下量が落ちます。
錆の苦い味が餌の嗜好性を悪くするからです。
特に分娩舎の母豚用給餌器や餌付け用給餌器、離乳舎用給餌器はステンレス製を使いましょう。
買う時は高くとも食下量が伸びると増体が良なり、出荷日令短縮、飼料要求率改善につながります。
ここは1年で元が取れる投資ですから、現在の高い枝肉相場で得た収益を、餌箱の更新に使うのが賢い方法です。
次に錆びて危険なのが電気機械器具の操作盤です。
特に屋外設置のものは錆びやすいです。


図6のように端子台が錆びるとそこから漏電したり発火したりするので危険です。
操作盤の蓋がゆがんで隙間が空いていないか、電線を通す穴に風や虫が入る隙間がないか点検して下さい。
隙間は絶縁性のパテで埋めましょう。これはホームセンターでも売っています。
また、屋外設置のもので雨が当たりやすい場所にあるものは、雨よけの屋根を取り付けるか、または、屋外設置用プラスチックボックスに収めるようにして下さい。
【ボウフラ(蚊)対策】
まずは、ボウフラが涌くのは水が動かない水溜まりですから、豚舎の周りにそういう場所があったら水溜まりをなくする工夫が出来ないかを考えましょう。
また、水溜まりの回りに雑草が生い茂っていればなおさらです。
豚舎回りや水溜まりの回りは、まめに草刈りをするか、除草剤を撒いておきましょう。
ため池の水が比較的綺麗ならメダカを放してやるとボウフラを食べてくれます。
豚舎の中に蚊が入ってこないようにするには、ウインドレス豚舎ならば入気口に蚊が入れないぐらいのメッシュの網を張るのが簡単です。ホームセンターにも網戸補修用の網が売っているので、それを使うのが簡単です。
但し、ゴミやホコリが付くと換気量が落ちますので、定期的に網の清掃が必要です。
開放豚舎でも分娩舎や離乳舎のみを対策するのであれば窓に前述の網を張るのが良いと思います。
加えて、豚舎の入り口の近くに電撃捕虫器などをぶら下げておきましょう。
また、蚊が嫌う匂いがするハーブを使う方法もあります。
ゼラニウムやローズマリーが効果が有るそうです。
豚舎の周りに植えるか、鉢植えを吊しておくなど対策を試してみてください。