「豚舎・設備のお悩み解決!」(11)豚舎でソーラー発電

近年、全国各地でメガソーラー発電所開設のニュースを目にします。

『豚舎の屋根にソーラーパネルを取り付けて発電事業に乗り出せないか』

とお考えの農場主さんも多いのではないでしょうか。

『しかし、うちの豚舎に設置出来るだろうか。果たして採算が合うのだろうか。』
という疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。

今回はそんな疑問にお答えしたいと思います。

まず、最近メガソーラー発電所が多くなった最大の理由は、
『固定価格全量買取制度』が昨年度(平成24年度)からスタートしたことがあげられます。

また、福島第1原発事故の後、再生可能エネルギーの増産を促す政策により、
政策金融公庫がソーラー発電所開設資金をどんどん貸し出すようになったからもあります。

 

ここで固定価格買取制度を少しおさらいしておきます。

ソーラー発電の固定価格買取制度は200911月からスタートしましたが
、当時は固定価格買取期間が10年だけでした。また、
買取量は発電量から自家使用量を差し引いた余剰電力のみでした。

ですから事業としてはなかなか採算ベースに乗らないものでした。

 

ところが、昨年7月からスタートした制度改定では、買取期間は20年間同じ単価で。
また、余剰電力ではなく、発電した電力全量を買い取ってくれるようになったのです。

例えば今年設置したところは、発電した分の全量を37.8/kwhで売って、
消費する分は一般企業と同じ1120/kwhで買うことが出来るのです。

この制度のお陰で20年間の合計では、投資額の2倍以上の売上を得ることが可能になったわけです。

 

買い取り価格は事業承認が下りた年度によって異なります。

昨年度認可したところは42円で20年間、今年度認可施設は37.8円、
来年度は、まだ確定ではありませんが33円ぐらいになりそうです。

 

次にソーラー発電の規模別の分類ですが、出力10kw未満は家庭用となり、
固定価格買取期間は10年です。10kw以上50kw未満は非住宅用小規模、
50kw
以上は非住宅用大規模となり、ともに固定価格買取期間は20年です。

申請書類を提出してから、現地調査に約1ヶ月、承認審査に12ヶ月かかります。

今年の単価で認可を取るためには、審査が早い小規模で
ギリギリのタイムリミットが20141月末と言うことになります。

大規模(メガソーラー)の場合は今からでは間に合わないと思います。

検討されていた方は今すぐ行動を起こした方が良いでしょう。

 

さて前置きが長くなってしまいましたが、自社の農場で採算が
合うかどうかの判断材料に移ります。まずは、豚舎の立地条件です。

屋根の向きと日照時間です。豚舎が東西に長い場合は、南向きの半分がOKです。

豚舎が南北に長い場合は、午前又は午後に発電効率が落ちるのでNGです。

(図1)また、樹木や山などの陰が一部分にかかる場合も、その部分は避けるべきです。
 

図1.ソーラー発電に適した豚舎の向き            
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     

 

図2をご覧ください。ソーラーパネルは何枚かが直列に結線されて1ユニットとなり、
ユニット同士を並列にパワーコンデショナーに繋いでいます。

例えば図2の右下のパネル1枚が日陰になったとします。
そうするとNo.5ユニット全体の出力が落ちてしまいます。

 

次に都道府県による違いですが、年間日照時間に差があります。

年間日照時間ランキング
順位 都道府県 年間日照時間 偏差値 格付
1 宮崎県 2,172時間 66 A
2 愛知県 2,150時間 64.9 A
3 高知県 2,137時間 64.2 A
4 山梨県 2,134時間 64.1 A
5 岐阜県 2,122時間 63.4 A
6 静岡県 2,097時間 62.1 A
7 三重県 2,075時間 61 A
8 徳島県 2,063時間 60.3 A
9 和歌山県 2,052時間 59.8 B
10 兵庫県 2,047時間 59.5 B
全国平均 1,865時間 50 -
37 岩手県 1,689時間 40.8 C
37 福島県 1,689時間 40.8 C
39 北海道 1,604時間 36.4 D
40 福井県 1,600時間 36.2 D
41 鳥取県 1,589時間 35.6 D
42 新潟県 1,586時間 35.4 D
43 青森県 1,564時間 34.3 D
44 富山県 1,560時間 34.1 D
44 山形県 1,560時間 34.1 D
46 秋田県 1,531時間 32.6 D
47 島根県 1,529時間 32.5 D
【出典】年間日照時間:2009年

図3がベスト10とワースト10です。ワースト10の県でも悲観しないで下さい。

ソーラーパネルの向きさえ合せれば十分採算が取れます。

例えば、幅16m、長さ100mの豚舎の南側半分にソーラーパネルを乗せますと、800u

1u当りの発電量が150w前後なので800×150w120kw
パワーコンデショナーと電線のロスが約15%ありますから出力102kwとなります。

全国平均の年間発電量(売電量)はパネル1kwあたり約1,000kwhです。


日照時間ワーストの島根や秋田でも発電量は図3の偏差値ほど下がりませんで、約780kwhです。


年間売電価格は今年の場合780×120×37.8353.8万円です。

20
年間で7,076万円の売上。

建設コストはパネル1kwあたり40万円前後ですから120×404,800万円

維持管理費・保険料がパネル1kwあたり約5,000/年ですから、

20年間の合計事業所得は約1,000万円になります。

日照時間ベスト10の県ですと20年間で約4,000万円の純所得になります。

図4は筆者の自宅の月別発電実績です。(宮城県角田市:パネル容量 3.2kw)

宮城県は日照時間ランキング34位ですが、
パネル1kwあたり年間1,230kw(過去3年平均)発電実績を出しています。

 

 さてもう一つの条件は建物の耐荷重が間に合うかどうかです。
ソーラーパネル1kwあたりの重量は8090kgです。

前記の豚舎(16m×100m)の例ですと9,600kg10,800kgになります。

ちなみにこの重さは、新雪の積雪約13cmに相当します。

ご自分の豚舎がこの荷重に耐えられるかをご確認ください。

 

 最後は銀行融資ですね。今、国がソーラー発電の建設を後押ししていますので、
日本政策金融公庫から借りるのが最も借りやすい条件になっています。
但し、担保は必要です。

 ソーラー発電は景気に左右されずに20年間安定確実な利益をもたらしてくれます。

是非検討してみてはいかがでしょうか。

 

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最終更新日 : 2022/01/23