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「豚舎・設備のお悩み解決!」(4)電気設備のメンテナンスpart2 先月は農場でできる電気のメンテナンスの基礎を紹介しました。今月は中級編です。 なぜ私が自前のメンテナンスをお勧めしているかと言いますと、第一は防疫体制の強化です。特に畜産密集地では、電気工事屋さんも複数の農場へ出入りしていますから、疾病の侵入リスクも高くなります。第2は、機動性です。特にトラブル時などは、電気工事店にお願いしても直ぐに来てもらえない場合が有り、豚の成育に悪影響が出る可能性があるからです。 【トラブル原因の突き止め方】 『モーターが止まって動かない。果たしてどこが原因なんだろう。』こういう場面はよくあることですね。ここでまず第一に確認する事はその機械または設備まで電源が来ているかどうかです。メイン電源ランプがある機械ならば、直ぐにわかりますが、無い場合はその場を離れて調査することになります。ここで最も大事なことは、まず、止まった設備のメインスイッチを切る、又は電源プラグを抜くこと。慌てると、これを忘れがちです。それが重大事故につながるケースが多々あります。トラブルが多い設備には、「トラブル時に点検する場合はメインスイッチを切ること」と書いたステッカーを貼っておきましょう。 次は配電盤まで行ってブレーカーが落ちていないかを確認することになります。ここで、ブレーカーが落ちていなければ、どこまで電気が来ているかを確認しなければなりません。それには電気テスターを使うことになります。写真1が一般的なデジタル式テスターです。
@ 感電防止のため、薄手のゴム手袋又はニトリル手袋をする A レンジをACV(交流電圧)に合わせる
B
ブレーカー又はコンセントに赤黒のテスト棒を当てて調べる写真2、写真3
C
電灯盤なら、赤白端子間、白黒端子間が95V~105Vで、赤黒端子間が190V〜210Vなら正常です。 電源が正常ならば機器や設備自体の故障原因を探ることになります。ここでもメインスイッチを切り忘れていると、リミットスイッチなどのセンサーを触った途端に機械が動き出して、人身事故になる危険がありますから、十分注意して下さい。 【漏電ブレーカーの不思議】
次は漏電のケースです。通常、末端の電気設備と電力メーターの間には2箇所以上の漏電ブレーカーが設置されています(但しウインドレス豚舎の換気扇系統だけは例外ですが)。 通常、各豚舎や糞尿処理施設の配電盤についている漏電ブレーカーは感度が30mAのものです。そしてキューピクル又は農場全体の主幹漏電ブレーカーは感度が100mA以上です。漏電電流が100mA以下ならば各豚舎などの30mAタイプが落ち、主幹は落ちません。しかし、漏電電流が100mAを超えるような重傷の場合は、応答速度が速いブレーカーが先に落ちるのです。ですから主幹ブレーカーの方が応答速度の速いタイプだった場合には子ブレーカーより先に主幹が落ちるのです。 ちなみに、人間や動物が感電した場合も電気的には漏電と同じ現象なので漏電ブレーカーが反応します。但し、ウインドレス豚舎の換気扇系統だけは例外で、漏電ブレーカーがついておらず、漏電警報が鳴るだけの施設もあります。これは、換気扇が止まって、豚が窒息死するのを防ぐためです。停電時に非常換気口が自動で開くシステムの場合は漏電ブレーカーがついています。漏電警報だけのシステムの場合、その系統で感電すると死に至ります。また、漏電警報が鳴っているのに気づかないでいると火災が起こったりしますから、十分注意して下さい。ウインドレス豚舎の管理者の方は自分の農場のシステムが漏電警報なのか、漏電ブレーカーなのかを確認して、対応マニュアルを場員に周知徹底させて下さい。 【換気扇や送風機に速度制御を追加する】
換気扇や順送ファン、ダクトファンなどでON-OFF運転している物の中には、「速度調節できたら良いのになあ。」と思う物はありませんか。 【発電機を使いこなす】
先月号で夏場だけ回る換気扇を発電機で回すようにすると電気の基本料が安くなるというお話しをしました。実際の配線を簡単にするには該当する換気扇に行っている配線をブレーカーから外してプラグを取付け、ブレーカーからと発電機からの線に、写真3の様なコンセントを取り付けます。プラグの差し替えで電源を切り替えできるようにできます。これが面倒であれば、インターロック式のマグネットスイッチ(写真) 【受電契約を見直す】
多くの養豚場の場合、汚水浄化施設とコンポストは夜間も稼働していると思います。今が『高圧電力S』という契約でしたら、『高圧季節別時間帯別電力S』のほうが安くなる可能性があります。これは昼間は若干高く、夜間はずっと安くなる契約です(図4)。 【まとめ】 電気設備は作業を便利にしてくれる反面、管理を怠ると思わぬ大事故につながります。朝礼や社内会議等で啓蒙し、点検表を現場に貼り付けてぬかりのない管理を心がけましょう。 次回はベンチマーキングのデータを現場でどう生かすか。また正確な比較試験をするためにはどうするかを紹介します。
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