種豚更新のポイント

 昨今の飼料価格高騰と肉豚価格低迷を受けてPSを購入していた農場でも自家育成にシフトしているところが多くなってきたようです。コスト削減のためには当然の流れとも言えます。今月は種豚更新の注意点をまとめてみました。

 まず、絶対にやってはならないことは、一時的に更新を止めたり更新率を低くしたりすることです。これをすると1年後、2年後に必ずしっぺ返しが来ます。どんな品種の豚でも2産目から5産目ぐらいが最も産子数が多くなります。6産目以降になると死産が増えたり泌乳量が減って離乳子豚体重が減ってきます。高産歴の廃豚を判断する基準として何産取ったら廃豚にするというルールを作っている農場は多いと思います。ではどういう基準で廃豚する産歴を決めているでしょうか。中には10産を超えても13頭以上産んで11頭以上離乳できている母豚もいるでしょう。どうしてもそういう母豚に目が行ってしまい廃豚基準を甘くしているという経験はありませんか。

 私は産歴別正常産子数で決めるのが良いと思います。表1はある農場にいる母豚の品種別産歴別正常産子数です。これには生時体重1kg未満の虚弱子豚や分娩当日の圧死は含まれていません。廃豚産歴の判断は初産の産子数を割る時点とするのが最も収益性が良いです。この例で言うと初産の平均が9.4頭で、9産目で9.3になっています。ですから、9産を終えたら全て廃豚。というルールにすれば良いでしょう。

 また、皆さんは現在生きている母豚の平均産歴を意識していますか。図1は産歴構成グラフの例です。この例では平均産歴が4.1になっています。ここで、計算の方法が2種類あるので注意して頂きたいのです。例えば2産目妊娠中の母豚の産歴を1産とカウントするか2産とカウントするかです。前者では分娩した時点あるいは離乳した時点で産歴2になるわけです。図1は後者のカウント方法です。この方法での集計で、平均が3.5〜4.0になるように更新していくのが繁殖成績とコストの両面で有利になります。

 次に良くやられる手段は、肉豚の中から良さそうな雌を探して候補豚にあげるやり方です。廃豚の販売価格は肉豚とほぼ同じに売ることが可能ですから、PS購入コストはゼロに近くなります。しかし、次の2つの問題点を意識して対策を打っておく必要があります。

1番目は止め♂を変える必要が生じる場合があること。肉質や体型が変わることによる枝肉販売価格の低下が予測されるからです。

2番目は繁殖成績の低下により販売頭数が少なくなる可能性があることです。表1をもう一度見て下さい。肉豚から種豚に上げた品種がもっとも産子数が低いことがわかります。私は、夏場の交配を確保したいけどPSの手当数が不足したときだけこの方法も使います。しかし、少しでも飼料要求率を下げるには繁殖成績のアップは必須条件です。ですから、産子数が多くて、かつ、発育の速い品種を選ぶのが最もコストダウンにつながります。PSの生産(購入)は、2年先、3年先を見据えながら計画的に行うことが養豚経営を長く安定させる近道と言えます。

 

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最終更新日 : 2022/01/23