受胎率を上げる工夫

今年は全国ほぼ一斉に梅雨明けして、各地で猛暑日が続いています。さて、残暑は厳しくなるのでしょうか。いずれにしても8月、9月の種付が来年夏に儲けられるかどうかのカギになりますね。私はクライアント先農場様には毎年、8月、9月の種付を1割増やすようお願いしています。今からでは候補豚確保が間に合いませんが、廃豚を少なくして交配頭数を上げる事は出来ます。通常だったら廃豚予定の母豚をとりあえず交配しておいて、再発が来たらその時点で廃豚にするというやり方です。

 これをやるときに注意すべき点が2つあります。一つは、ストールの余裕が無くて空いたストールへ飛び飛びの状態で入れてしまうことです。こうなると再発確認や妊娠鑑定作業に時間が多くかかるようになりますし、見逃しも出やすくなります。もう一つは、やはりスペースの問題で、候補豚を交配豚舎へ移動するタイミングが遅くなってしまいます。

 後者の方は初産の産子数減少や発情が微弱または無発情で淘汰せざるを得ないロスにつながります。これを解消するには候補豚の収容スペースを増やすしか有りません。手っ取り早く増やすにはトラックの荷台を改造して使うと良いです。

 ストールの飛び飛びを防ぐには、ストール全体を3ブロックに分けます。@未交配母豚エリア、A妊娠前期エリア、B妊娠後期エリアとします。@へ割り付けるストールの数は、毎週の離乳頭数の2倍が良いでしょう。但し候補豚を群飼するペンが無い場合は毎週の離乳頭数の3倍が良いでしょう。Aのエリアは交配後、妊娠鑑定が終わるまで入れることを想定し、週間交配頭数の6倍または7倍がベストです。交配後25日と35日に妊娠鑑定を実施し、交配後6又は7週目で受胎か不受胎かを確定させます。ここで不受胎豚は@エリアに戻し、受胎豚はBエリアへ移動します。

 しかし実際には農場現場のレイアウトによって理想通りの割り付けが出来ないと悩むことがあります。図1と図2は私のクライアント農場様の例です。図1のA農場は、以前、妊娠前期ストールが少ないために受精卵の着床時にストール移動がかかってしまうような状態でした。図2のB農場は空きスペースにストールを増設して母豚120頭から180頭に増やしました。妊娠前期ストールが2カ所に分かれているため、初めは担当者の勘違いでA(1)からA(2)へ移動をかけていたので、こちらも着床前に移動のストレスがかかり受胎率が悪化しました。どちらの農場も今は目標通りのローテーションになって、受胎率が向上しました。

 

この Web サイトに関するご質問やご感想などについては、お問い合わせフォームからお送りください。
Copyright (C) 2016 (株)「マックプラニング
最終更新日 : 2022/01/23