保温箱の必要性

先月号の記事で矢原先生がおっしゃっていた保温箱の必要性に私も賛成です。昨年秋から今年の春にかけて事故率が前年より上がった農場がありました。私が訪問していて咳をする豚が目立つようになったのが気になり、採血検査をして頂きました。マイコワクチンがうまくテイクしていないのではないかと疑ったのです。

結果は、マイコとサーコはワクチン抗体価がきちんと出ていました。PRRSは、母豚はワクチンで抗体価が上がっており、離乳舎では移行抗体が徐々に下がっていましたが、肥育舎に行ってから野外感染と思われる抗体価の上昇が見られました。また、グレーサー(HPS)の抗体価は離乳舎と肥育舎それぞれで上昇がみられました。この農場の離乳舎は、建物は古いのですが、昨年に私の提案でオールインオールアウトできるように改造したものでした。各部屋にガス温風ヒーターを設置して室温確保には努めたのですが、コンクリートスノコの豚舎は子豚の寝場所まではなかなか温度が上がらず、床下から冷風の吹き上がりも見られたりして、グレーサーが動いたものと思われます。それで保温箱を設置することとしました。
 また、別の農場では、離乳舎がウインドレス豚舎で、肥育舎が開放豚舎なのですが、肥育舎が冬期間かなり寒くなるのです。この農場では以前私の提案で、肥育舎に受入後約2週間だけコンパネで保温スペースを設置して頂いたことがありました。しかし設置や取り外しが面倒だと言うことで昨シーズンは設置しませんでした。昨シーズンの肥育舎での事故率アップを見ると、以前実施したコンパネ蓋はある程度の効果が有ったと思われます。
 図1がその時に作った保温スペースの模式図です。肥育舎では保温箱を設置するとなるとかなり大きなサイズになることや、豚にかじられて壊される可能性も高まります。ですから、柵の上にタルキを渡してその上にベニヤ板を乗せるのがベストと渡しは思います。間口が広い豚舎ではコンパネを乗せるとその重さでタルキがかなり垂れ下がると思います。また、振動で落ちることもあります。ですから5ミリベニヤ板を使った方が良いと思います。また、ベニヤがずれ落ちないようにベニヤの4隅に釘を打っておきます。釘は完全に打ち付けず、1cmぐらい頭を出しておくと外すときに楽です。必要に応じて保温ランプを下げたり、敷料を入れてやれば、肥育舎受入時の環境ストレスをかなり緩和できると思います。離乳舎から肥育舎への子豚移動時は離乳舎と肥育舎が同じ温度か、肥育舎の子豚保温スペースの方が高いのが理想ですが、できる限り温度差を少なくしましょう。

たったこれだけの簡単なものでも効果が有りますので、皆さんの農場でも工夫次第で保温スペースの設置が可能だと思います。

 

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最終更新日 : 2022/01/23