究極のコストダウンはハイヘルス農場へ総入れ替え

今年に入ってからの低豚価と餌単価の高止まりに、多くの養豚家の方が悲鳴を上げていらっしゃいます。私が経営分析させて頂いている農場にも、肉豚販売手取額に占める飼料費の割合が60%を超えたところも出てきました。そんな状況の中で、飼料コストの削減はどこまで加納なのでしょうか、私なりに考察してみました。飼料単価と飼料要求率を同時に下げるには、やはりバイプロ利用によるリキッドフィーディングがベストと言えるでしょう。しかし、中小規模の農場ではイニシャルコスト負担が大きいために二の足を踏んでいる状況ではないでしょうか。

 では、中小規模の農場で飼料単価を下げる手段はないでしょうか。その一つの手段として共同購入があります。豚事協の結成目的の一つでもありますね。また、中小企業養豚家が協同購入組織を結成する動きも出てきました。

 また、飼料要求率を劇的に良くするには農場のツーサイト化、オールインオールアウト化、さらに究極は豚の総入れ替えをして、病気の無い繁殖能力の高い種豚を導入することです。多少投資が必用ではありますが、長く経営を続けたいと思うのであれば十分に採算が取れる方法があります。

新たな農場建設は資金面と周辺住民との理解を取り付ける面でハードルが高い現状です。そこで、既存農場の改造や、パーシャルデポピュレーション(農場内で棟単位で豚を入れ替えする)で対応するのが現実的と言えます。

例えば、肉豚出荷日令が180日で、1母豚当り出荷が22頭、農場飼料要求率が3.4、肥育事故率が7%の農場の例で考えてみましょう。出荷日令が160日、1母豚当り出荷が25頭、農場飼料要求率が3.1、肥育事故率が3%という数字は、実際に清浄豚へ総入れ替えしてオールインオールアウトを取り入れた農場で達成できている成績です。

これで肉豚1頭あたりの飼料代は14001500円下がりますし、ワクチン代や添加薬剤費も肉豚1頭当り500円ぐらい安くなります。また、子豚生産が増えても、出荷日令が減った分、豚舎の収用頭数はほぼ変わらないのです。母豚規模500頭ならば年間1,500頭の出荷増になります。コストダウンと売上増の合計で年間4,000万円(母豚500頭規模)ぐらいの増益になります。

次に総入れ替えにかかるコストを見ていきましょう。まずは、種豚購入代金ですが、購入単価から廃豚金額を引いてそれに母豚頭数をかけた金額になります。豚舎や農場施設の改造費については、農場個別に見積が必要になりますので、ここでは省略させて頂きます。

最も気になるところは、生産の空白期間ではないでしょうか。これを最短にするには農場を繁殖と肥育のツーサイトにすることです。そうすれば繁殖部門(交配から離乳まで)をカラにするのに5ヶ月+洗浄消毒期間1ヶ月の計6ヶ月。肥育部門も離乳から出荷まで5ヶ月と洗浄消毒期間1ヶ月の計6ヶ月。ですから、6ヶ月間分の固定経費をまかなえるだけの運転資金が必要となります。しかし、豚を一時待避出来る場所を確保したり、子豚出荷が可能であれば、実質の売上空白期間を最大1ヶ月まで短縮出来ます。

飼料要求率の悪さと、薬品衛生費の多さに苦しんでいる農場には是非お勧めします。

 

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最終更新日 : 2022/01/23