生菌剤の有効利用

 最近農場の消臭対策を迫られている農場が多くなりました。私は訪問先の農場主さんから、「どこか臭いの問題が出ない場所に移転したいんだが、良い場所はないかい?」と尋ねられることが多くなりました。しかし、なかなか最適な場所が手に入らないのが現実です。農場から出る臭いをゼロにすることは無理ですが、ある程度広い敷地を持っている農場であれば、敷地境界線外では臭わない程度に軽減することは可能です。

その一つの手段として生菌剤を利用している農場は結構あります。その主流は飼料に混合して使うぼかしタイプの製品ではないでしょうか。しかし、効果が出るぐらい添加するとそのコストもかなり高く付くので頭を痛めている経営者さんの話しも良く耳にします。

私は自家培養できる生菌剤を飲水投与するのが最も効果が有り、かつ低コストにできる方法だと思っています。私が以前勤務していた農場ではEM菌を自家培養して、ストール豚舎以外の母豚と、子豚、肉豚全てに飲水投与して効果を上げていました。

また、整腸作用もありますので、豚舎の消臭だけではなく離乳子豚の下痢の低減や、糞尿処理の促進にも役立ちます。

ここで簡単な培養方法をご紹介します。EM100倍活性液を200リットル作るための材料は、EM-1が2リットルと、EM-2が1リットル、糖蜜が2リットルです。

培養装置は販売されているものもあります(百倍利器など)が、手軽にやる場合は、2t車保冷車の荷台と200リットルポリタンク又は20リットルポリタンクを使います。

作り方は以下の通りです

@     30℃〜35℃のぬるま湯をポリタンクへ8分目ぐらいまで入れる

A     EM-1、EM-2を入れる(20リットル缶ならEM-1200mlEM-1100ml

B     糖蜜をぬるま湯で溶きながら入れる(20リットル缶なら糖蜜200ml

C     良くかき混ぜ、水かぬるま湯を足して規定の量(200Lまたは20L)にする

D     キャップを閉め、保温庫内の温度を35℃に保って1週間培養する

E     H3.5以下になっていれば正常な培養終了です。雑菌が混じるとpHが下がらないので、培養するポリタンクは毎回良く洗ってから使います。

F     出来上がったEM100倍活性液を、ドサトロンなどの水道水圧駆動型の添加器を使って200500倍の濃度で飲水添加します。

ここで注意点が2つあります。培養が進むとタンクが膨らんできますのでガス抜きをしなければいけません。毎日眺めて膨らんでいたらキャップを緩めるのもいいですが、面倒ですのでキャップを加工して減圧弁構造にするとよいです。(図1)

また、保温庫内を35℃に保つ方法で最も簡単なのは、電気ストーブやコルツヒーターなどをサーモスタットでON-OFF運転させることです。但しサーモで直接駆動はできないので、マグネットスイッチをかませる必要があります。

 

この Web サイトに関するご質問やご感想などについては、お問い合わせフォームからお送りください。
Copyright (C) 2016 (株)「マックプラニング
最終更新日 : 2022/01/23