冬場に備える設備点検

 11月も半ばを過ぎると、東北や北海道では初雪が見られる頃ですね。温暖な地方を除いて、多くの農場では暖房設備を使い始めていることと思います。今回は暖房器具の点検事項などについて要点をまとめてみました。当たり前のことですが、点検調整を怠ったばかりに火事や大事故に至るケースが毎年発生しておりますので、皆さん再確認してみてください。

まず、ガスブルーダーはつり下げて使うことが多いですから、吊りチェーンが錆びて弱っていないか。また、つり下げ高さは豚にいたずらされない高さか、直下に燃えやすいものはないか。特に分娩舎の保温箱に木製の蓋をして、その開口部分にブルーダーを下げるような使い方は好ましくありません。エアーフィルター付きのものはフィルターにホコリが溜まったらまめに掃除をして下さい。空気不足になると不完全燃焼で一酸化炭素中毒を起こしたり、火が消えてしまったりします。豚を移動してペンが空いたときは、必ずガスホースの亀裂やガス漏れが無いことを点検しましょう。

ガス温風ヒーターでは点火装置の故障が最も多いので、ここの部品は消耗品と捉えていくつかの在庫を抱えておくべきです。そうすれば故障したときに直ぐに交換して豚のダメージを少なくできます。また、ペンが空いたときは内部のホコリも吹き飛ばして掃除して下さい。ホコリが溜まって通風が悪いと過熱防止センサーが働いて頻繁に燃焼停止する場合があります。

次にコルツヒーター又は保温ランプ。これも吊りチェーンが錆びて弱っていないか。また、つり下げ高さは豚にいたずらされない高さか、をチェックします。また、差込プラグが錆びていると電気抵抗が増して発熱し、やがてはプラグやコンセントが焦げて砕け落ちてしまいます。こうなる前にプラグが錆びたらヤスリまたはマイナスドライバーなどで擦って錆を落として下さい。コンセント側は蓋付きならば使わないときは蓋を閉めておきます。蓋が無いコンセントの場合は使わないときはガムテープを貼っておくとよいです。

また、冬場は電線をネズミがかじって、漏電や火災に至るケースがあります。これはある農場での実例ですが、夜間の無人の農場で漏電があり、漏電ブレーカーが下がりました。その結果、汚水処理施設の電源が止まったため原尿ピットがあふれて、汚水流出事故になってしまいました。近隣の人に通報されて、保健所から改善計画書の提出を求められました。汚水処理はたった一度の失敗が経営存続の危機になることがありますので、いろんな事故の可能性を想定して対策をしておくことが重要です。

また、企業養豚では担当者が休みの時のサブ担当への引継がまずいために事故が起きたケースがあります。普段は自動運転している設備が何らかの故障で手動調整している場合など、その旨がサブ担当へ伝わっていなかった。またその逆のパターンもあります。イレギュラーな管理の引継はメモと口頭のダブルで伝えることが肝心だと思います。

最後に、暖房と直接関係はありませんが、非常用発電機の確保です。3.11大震災の時は宮城県では多くの農場で約1週間電気が止まりました。あんな大規模な停電は滅多に無いことですが、昨年冬、岩手県では大雪のため2日間停電したことがありました。給餌や給水、暖房に必要な最低限の電力をまかなえるだけの発電機は備えておくべきです。工事現場などで使うディーゼル発電機は豚舎の電源盤に直接繋いで使うことはできません。しかし、停電時に直ぐに来てもらえる電気工事業者がいれば、つなぎ替えて使うことができます。電気のありがたさは停電してはじめて実感するものです。しかし、被害が出てから実感しても遅いので、準備をしておきましょう。

 

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最終更新日 : 2022/01/23