冬場の換気について

 「暑さ寒さも彼岸まで」とうい諺どおり、ここ東北では9月下旬からぐっと涼しくなりました。2年続けて暑い夏を経験しましたので、多くの農場では換気扇などを増設や更新された事とおもいます。換気は四季を通して必要な事です。せっかく設置した換気扇を冬にも使えるようにちょっとした工夫を加えましょう。

ウインドレス豚舎で適正な換気コントロールをされているところは別として、換気に問題のある豚舎は、@窓を閉め切って、換気扇もなく、天井や壁が結露で濡れている豚舎。A隙間風だらけで、快適な温度を確保できない豚舎。に大別できます。

まずAの豚舎ですが、古くなって天井が剥がれたり壁が剥がれたりネズミの穴だらけだったりします。修理すれば良いのはわかっているけど資金や十分でやる時間がないなどが主な原因でしょう。しかし養豚経営を続けたいのであれば修繕をして環境を改善してやらなければいけません。豚は正直ですから、飼育環境を改善すれば発育が良くなったり、飼料要求率が良くなったりして恩を返してくれます。ネズミの被害が多い農場の内壁には、スタイロフォーム(断熱材)の両面をガルバリウム鋼板でサンドイッチしたもの(スタイロガルバDNなど)がお勧めです。これだと壁内部からも室内からもネズミにかじられません。

次に@の豚舎、結露は様々な被害をもたらします。結露の雫が餌箱に落ちると餌がカビたり、ブリッジを起こして食い口へ餌が出なくなったりします。また、給餌ラインや柵が錆びやすく電気器具の漏電事故も増えます。これを解消するには、必要最低限の換気をするファンと室内の空気を回す順送ファンが必要です。

換気用のファンは、天井裏から入気してピットしたから排気する方式がベストです。天井裏へ外気を取り入れる方式は屋根上モニターでも両妻側からでも構いません。ある程度機密性のある豚舎では排気ファンと陰圧で開く入気口を使うのが良いと思います。しかし隙間風が入る問題がある豚舎では天井に入気ファンを取付け、壁の隙間から排気する方法の方が良いこともあります。必要な換気量は肥育舎(体重30kg〜出荷まで収容)では1頭当り0.2/分、離乳舎(体重6〜30kg収容)では0.1/分です。機器選びは換気に詳しい設備屋さんやコンサルの先生に相談して下さい。

また、順送ファンは室内の空気の淀みや温度差を無くするためのものです。風を感じられない程度に空気の流れを作るものですから、大きな換気扇で台数を少なくするよりも小さな換気扇で台数を多くした方が効果的です。そしてインバーターで回転を制御してやることがベストの方法です。こうすれば夏にはフル回転させて暑さ対策にも使えるようになります。図1は設置例ですが、陸上のトラックを走る様に風を回すイメージで考えて下さい。また、既存の換気扇を配線替えやインバーターを追加するなどして利用することもできます。

 

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最終更新日 : 2022/01/23