東日本大震災の復興のために

 東日本大震災から50日が経過しました。テレビの報道にはあまり話題に上らなくなってきましたが、本格的な復興はこれからという段階です。今までは行方不明者の捜索と遺体の収容、がれきの撤去、ライフラインの復旧が重点でした。私がかつて訪問させて頂いていた養豚農家でも、豚舎、自宅ともに津波に流されて避難生活を強いられている方がいます。命を落とされた従業員の方もいました。

しかし多くの農場では地震による直接的な被害ではなく、停電や、断水、飼料不足、肉豚出荷遅延による被害が大勢を占めています。この影響は4月になっても尾を引いていて、5月以降も影響が残ることは否めません。JPPAをはじめ、全農などの畜産団体より補償を含めた畜政活動を行っていますが、被害が全産業に及んでいることから、ともすると畜産は後回しにされかねません。特に被害額の算定が難しいこれらの二次被害については、生産者サイドから積極的に被害額の算定を行い、行政サイドへ働きかける必要があると思います。そんな中、私も何か力になれることは無いかと考え、遅ればせではありますが、被害実態の生の情報を集積させるためのインターネット掲示板を開設致しました。被害から回復するためのノウハウも是非、積極的に共有して頂ければと思います。URLはhttp://bbs7.sekkaku.net/bbs/mackplanin.html になります。

宮城県の養豚場では停電が3〜10日(津波被害を受けた地域を除く)続きましたので、給餌、給水、糞尿処理を人海戦術でやらざるを得ない状況でした。現代の養豚業は電気設備によって支えられていると言っても過言ではなく、ここで明暗を分けたのが発電機の調達でした。リース会社には注文が殺到してすぐに在庫が無くなり、つてをたどって建設会社から借りて急場をしのいだ農場もありました。

餌の調達では、八戸から鹿島にかけての港湾に立地する飼料工場が被害にあったため、供給不足に陥ったわけですが、農家個々に見ると取引先メーカーや販売店によって明暗が分かれました。供給不足がひどかったところでは約2週間、給餌量を半分に減らして対応せざるを得ない状態でした。また、種豚用飼料が無くて肥育豚用を母豚に給与した農場もありました。これらの農場では4月の離乳後の発情再起に遅延が見られました。

肉豚出荷に関しては屠場が一時的に操業停止したことによる出荷遅延が発生しました。東北では、高い運賃を払ってでも東京まで運んだところもありましたが、宮城県内ではガソリンや軽油の供給不足から、東京まで運びたくとも運べない状況も発生しました。そんな中でも軽油をドラム缶で買い置きしていた農場ではそれを有効活用できたようです。

先月号で私は無駄を省く記事を書かせて頂きましたが、リスクヘッジのためには次の事だけは最低限必要だと思います。

@.      発電機(土木建築現場で使っているようなタイプ)。給餌、給水をまかなえるだけの容量のものを備えておく。出来れば少し大きなものにして、夏場の換気扇やダクトファンなどを発電機で回すようにすれば、高圧受電の場合は基本料金の節約と、発電機のメンテナンスの一石二鳥になります。

A.      燃料の買い置き。ホームタンクやドラム缶で。これには危険物免許を持った従業員と消防署への保管場所届出が必要です。。

 

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最終更新日 : 2022/01/23