正しい湿度管理

今年の冬は昨年夏の猛暑の反動なのかとても寒い日が続きました。その影響でウインドレス豚舎ではない肥育舎で育った肉豚にはかなり影響が出でいるようです。私が定期訪問してデータをとっている農場では、出荷日令が伸びたと同時に、飼料要求率が悪化しています。また、前年同期に比べて枝肉の背脂肪厚が平均2mm薄くなった農場もありました。しかし、たいてい肥育舎には暖房設備がありませんので、どうしても窓やカーテンを閉め切って温度を確保しようとしてしまうものです。

こうして換気不足になると、また別の問題が起こってきます。アンモニア濃度が高くなり、豚の食欲低下を引き起こして、温度は確保しているのに豚が育たないという状態に陥ってしまいます。また、湿度も上昇しますので、結露で床や通路がビシャビシャに濡れている豚舎を見ることがあります。このような湿度100%条件下では細菌類の繁殖が盛んになり、大腸菌性下痢・軟便、浮腫病、サルモネラ症、回腸炎、スス病などを引き起こすことがあります。

豚の快適湿度は人間とほぼ同じで、相対湿度が55%〜75%です。湿度をコントロールするには、湿度計の設置が最低条件として必要になります。是非デジタル温湿度計を1部屋に付き1〜2個設置することをお勧めします。ただ、湿度センサーは狂いやすいので注意が必要です。湿度計だけに頼ることをせず、感覚的に過乾燥や過湿を感じ取れるセンスも磨く必要があります。私は常に豚の様子、室内の様子、肌での感じで判断し、湿度計で確認するようにしています。こういう姿勢でいると計器の故障はすぐに見抜けるので、トラブルを未然に防ぐことが出来ます。

では、前出のような換気不足の豚舎対策ですが、順送ファンを付けて部屋全体の空気をゆっくりと動かすことと、最低換気量の換気扇を付けることです。換気扇で排気する場合、カーテン式豚舎や古い豚舎では隙間風が豚に直接当たらないように注意して下さい。

これで温度が低くなりすぎるようでしたら、壁や天井に断熱材を追加したり、小さい豚のいるペンにベニヤ板等で中天井を作る、オガコ等の敷き料を追加する、等の保温策を取りましょう。

カーテン式豚舎で、どうしても下の方から外気が侵入する場合は、換気扇を天井に取り付けて天井裏の空気を室内へ送り込む方式が良いでしょう。ホームセンター等で売っている30cm角の換気扇を、天井裏から室内へ空気を送り込む方向に取り付けます。そしてその空気が直接真下に落ちないように、換気扇から5cmぐらい離して空気の拡散板を取り付けます。こうして入気を四方八方へ拡散してやればOKです。少々の日曜大工の経験が有れば農場の人材で施工できますので、安価に出来ます。私のコンサルでこの方式に改造してうまくいっている実践例があります。

 

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最終更新日 : 2022/01/23