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農場の防災対策
近年は地球温暖化の影響でしょうか、自然災害が増えてきました。 【豪雨対策】
最初にチェックして頂きたいのが防災マップです。
図1は、私の自宅がある角田市の防災マップ(水害編)です。
図2は角田市の防災マップ(土砂災害編)です。 実際に農場で水害が発生した場合、自宅へ帰れなくなることが予想される場合は、浮き輪やゴムボートを備えておくことが有効だと思います。
実際に丸森町で水没して孤立化した住民が、倉庫にあった断熱材のウレタンボードを浮き輪代わりに使って脱出し、命を取り留めた例がありました。 また、敷地の広い農場では、事務所と豚舎との往来用にナンバーのない車やバイクを使っているところがあります。私がお薦めしたいのは、オフロードタイプのバイクやジムニーなどのクロスカントリータイプの車です。これですと、車よりも冠水した道路を走れますし、土砂崩れして狭くなった道路でも走れます。
普通の乗用車が走れるのは20〜30cm水深までです。 車でも同じです。水が横切っている道路は、水流でえぐられて陥没しているかもしれません。
写真3がその例で堤防から水が溢れて道路を横切っているところです。
次に牽引ワイヤーやフックなど写真4、5。これらは動けなくなった車を牽引して脱出させるためには必須道具です。
次に土砂災害に備えるには、排水溝の整備が有効です。
農場に裏山を抱えているようなところでは、敷地境界の排水溝を年に1度は泥上げしておくことをお薦めします。 また、電動工具などは、浸水被害を受けにくくするように床に直置きはせず、棚の上に置くことも重要です。発電機の設置場所も農場の中で水害や土砂災害にあいにくい場所を選んで設置する事が大切です。 それから、停電に備えて発電機も必須アイテムです。発電機については詳しく後述します 【強風対策】 昨年の台風15号では最大風速60mの強風が千葉県を襲いました。
また、復旧工事をする費用を保険で対応できるかどうかでも経済的ダメージの明暗が分かれます。 【地震対策】
地震対策の第1は、自分や従業員の命を守るための教育と地震保険です。 例えば分娩舎にいた場合はどこに避難する、事務所にいた場合はどこへ、豚舎外にいた場合はどこへ、などと具体的にシミュレーションしておくことが、実際の安全な避難行動に繋がります。
地震保険も東日本大震災後は多くの方が書ける様になってきました。 【停電対策】
停電対策の要は何と言っても発電機です。
まず、すでに発電機が備わっている農場では、停電時に自動スタートするタイプなのか、人間が始動して切り替えをするタイプなのかを確認してください。
実際に点検に来ていただいたときに立ち会って、農場全体のメインブレーカーを切り、発電機でどの設備が動いてどこが動かないのかを調べておくことが、一番わかりやすくて確実な確認方法です。
最初に、発電機で動かしたい電気設備のモーターの容量を確認してその合計を計算します。 @ 井戸ポンプ・・・1.5kw×2台=3kw A ウインドレス分娩舎の換気扇・・・0.75kw×8台=6kw B 全豚舎の給餌ライン・・・0.4kw×12台=4.8kw C スクレーパー・・・0.4kw×6台=2.4kw D 汚水ポンプや送糞スクリュー合計・・・約2.2kw E 曝気ブロワー・・・3.7kw+7.5kw 以上の合計が29.6kwでした。次にこの場合の合計電流を計算します。 この場合の最大電流は29.6×1000÷200=148A(アンペア) これを全部動かせる発電機は電流容量を1.2倍の余裕を見て178A以上のものを備えてください。
この農場の場合はすでに購入していた発電機の容量が60KVA、3相200Vの許容電流が最大144Aのものでした。
しかし、ギリギリでは危険なので、曝気ブロワーは3.7kwを1台だけ回すことにしました。
次に発電機から豚舎の配電盤への配線方法と切替え方法です。
増改築を繰り返した農場ではキューピクルが2箇所あったり、豚舎の子ブレーカーから隣の豚舎のメインブレーカーに繋がっていたりと、複雑になっていることが多いものです。
さて発電機からの電線を接続する配電盤が決まりましたら、そこに切替え器を取り付けます。 図6をご覧下さい。 もし、直接メインブレーカーに発電機を繋いで運転中に停電が復旧すると、電力会社からの電気と発電機からの電気が干渉して、電柱にある電力会社のブレーカーが落ちてしまいます。 近隣の住宅まで最低電になる「波及事故」になる恐れがあるからです。 図7が切替え器の接続方法です。
そして、発電機を起動したら、回したい設備のブレーカーを一つずつ上げていきます。
皆さんの農場でも発電機を借りてきて仮設配線をするときは、この記事を参考にして下さい。
図8が切替え器(CKSとも言う)の写真です。 さて、発電機を備えておいても、いざ停電時に動かないのでは話になりません。最低でも1ヶ月に1度30分ぐらい運転して下さい。
この機会に発電機をまだ備えていない農場では是非とも購入して下さい。単相100/200Vと三相200Vを同時出力できるタイプがお薦めです。 母豚400〜500頭一貫なら60KVAタイプの新ダイワDGN600MKP(税抜約235万円)がお薦めです。
ウインドレス豚舎がある農場では、発電機を必ず備えて下さい。
例えば、換気扇の回路が2系統以上になっている制御盤ならば、半分が回れば豚は死にません。 【火災予防】
近年の豚舎火災は、漏電やショートなどの電気系統トラブルが原因の大半を占めています。
2番目に多い火災原因がガス器具によるものです。
また、接続ホースの長さやひび割れ、ホースクリップの状態を点検しましょう。 【まとめ】 物理的な備えも大事ですが、従業員の意識向上も同じぐらい重要です。月1回ぐらい防災の日を設けて、防災について従業員でケーススタディーを交えて確認ミーティングを行いましょう。
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