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夏季を乗り切るための豚舎環境の整備
昨年は6月から猛暑が続きましたが、今年の夏はどうなるでしょうか。豚にとっては冷夏になって欲しいところですが、地球温暖化の影響でしょうか近年は猛暑になることが多いように思えます。ですから豚舎環境は暑さに対しても寒さに対しても豚にストレスを与えないように備えをしておくべきと思います。国内の養豚場の豚舎形式はさまざまですので、その豚舎に応じた対策を取らなければいけません。ただ、基本的な考え方は共通しています。それは、@外からの熱を豚舎内に入れないこと。A豚舎内の換気を良くして豚の体から出る熱を排出すること。の2点に集約されます。それでは主な豚舎豚舎別に対策をまとめていきます。 【天井無しのカーテン式豚舎】 比較的温暖な地方の種豚舎や肥育舎に多い形式です。屋根が熱くなって豚舎内に輻射熱が入ってくるので、これを防ぐことが第1です。その方法は大きく分けて3つ。1つ目は現在の屋根にカバールーフと呼ばれる、断熱材付きの屋根材を上から被せて施工する方法です。スレートの屋根材の豚舎でよく採用される方式です。
図1
図3
換気の対策としては順送ファンの設置です。通常はメーターファン(順送用の羽根直径1mの換気扇)を10m間隔ぐらいに設置します。 さらに、カーテンを全開にしたときに直射日光が豚に当たるようでしたら、図6の様によしずを取り付けるか、またはツル性の植物を這わせるのも良い事です。アサガオを這わせれば美観も良くなります。ヘチマやひょうたんや、カボチャでもその実の利用価値もありますね。
以上の様な対策済みでもまだ暑い豚舎では、クーリングパド設置をお薦めします。脇がカーテンの豚舎でも、カーテンの上下の壁を隙間風が入らないように補修すれば図7の様なトンネル換気のクーリングパドシステムを組むことが出来ます。 カーテンを閉めた場合の密閉度がどうしても足りず、隙間風が多く入るようであれば、クーリングパドではなく、細霧またはミストノズルを各豚房に設置する事も有効です。動噴をタイマー運転にして、例えば3分間運転して15分休むなどの繰り返し運転をする事です。サーモとも連動させ、一定温度以下の場合は運転休止になるようにすべきです。この設備は冬場の乾燥時期に加湿装置としても活用できます。このような制御盤はツインタイマー、デジタルサーモ、マグネットスイッチの部品だけで簡単に組むことが出来ます。私は今年、あるクライアント様へ製作して差し上げたところです。
【天井ありのカーテンまたはガラス窓豚舎】
このタイプの豚舎でもまず第1は断熱材の増強や補修をすることです。天井や壁断熱材がネズミの穴だらけで、断熱効率がガタ落ち状態の豚舎を見かけることがあります。こういう豚舎では、断熱材の張り替えが必須です。どうせ張り替えるならば同じものではなく、ネズミにかじられない材質のものを選んで下さい。それには断熱材の両面にプラスチックパネルを張ったものがお薦めです(写真)。かつては両面ガルバ(ガルバリウム鋼板)やZAM鋼板張りが良いと言われましたが、最近ではプラスチックパネル張りの方が軽くて長持ちすると私は評価しています。商品は複数メーカーから出ていますので、お取引の養豚資材販売会社へ問い合わせて頂ければと思います。片面がプラスチックで、反対側がアルミ箔張りの断熱材もあります。これは両面プラスチックのものよりも価格が安いですが、これを天井材に使う場合は注意すべき点があります。 次は換気の改善ですが、順送ファンや、クーリングパド、細霧・ミスト設備が主な選択しになります、それぞれの設備の導入法方については天井無しのカーテン式豚舎の章を参照して下さい。
【ウインドレス豚舎】 最近立てたウインドレス豚舎ならば断熱材はしっかり入っていることと思います。ただ、良くあることは、後付けでクーリングパドや脱臭設備を取り付けた場合に換気量が少なくなって思うような効果が出ていない場合です。これは、クーリングパドや脱臭設備により、空気抵抗が増えるので換気量が落ちるからです。その場合は換気扇を増設する必要があります。増設するスペースが無い場合は、前述の大風量換気扇に交換することで解決します。但し、制御盤も消費電力が増えた分をまかなえるだけの設備に改造する必要があります。 ただ、換気扇を増設すれば電気代もアップします。ですから、クーリングパドや脱臭設備の面積も再検討すべきです。空気が通る面積が大きくなれば、換気1立米当りの空気抵抗も減りますので、換気量は増加します。その他に換気量を低下させる要因としては、換気扇の羽根やシャッターに付いたホコリです。豚舎を洗浄する度に羽根やシャッターも洗浄してホコリを落としましょう。また、換気扇のシャッターが風圧式ならば、電動シャッターに交換することで空気抵抗を減らして換気量を増加させることが出来ます。 また、クーリングパド設置豚舎では、パド以外の部分から隙間風が入る場所が無いかどうかを再チェックしましょう。隙間風が多いほど冷房効果が落ちます。意外な落とし穴は換気扇のシャッターが一部欠けていたりゆがんでいたりして、止まっている換気扇から外気が逆流していることがあります。換気扇のシャッターの閉まり具合も良くチェックしましょう。 また、クーリングパド設置済みの豚舎に新たに脱臭設備を追加する場合はクーリングパドを外してしまい、代わりにミスト設備を設置することも、電気代節約と換気量アップを両立させる方法として選択枝の一つとなります。
【豚舎形式共通の対策】
(1)
通路の洗浄消毒
(2)
自家使用型太陽光発電の設置
(3)
働き方改革
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