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LED照明の活用と注意点 近年、長寿命と低消費電力をうたって、LED照明の普及が進んできました。当初は器具の価格が高くて導入人二の足を踏んでいた方も多いことと思います。最近は価格もだいぶこなれてきましたので、養豚現場への導入でもメリットが出せるようになってきました。そこで、ここではLED照明の特徴と活用方法及び導入時の注意点をまとめてみました。 (1).LEDランプの構造と特徴 図1がLEDランプの代表的な構造です。LEDは別名発光ダイオードと言い、直流電流で動作します。ですから、家庭や農場の電源である100Vや200Vの交流電源では直接動作しません。それでLEDランプの中には交流を直流に変える電源ユニットが入っています。 また、LEDチップ1個の発光量は少ないので、何十個というLEDチップを並べた構造になっています。最近の信号機もLED化されていますからそれを見ると小さな発光体が何十個も合わさっていることがわかります。 LED照明には次のような特徴が有ります。
1.長寿命。
2.低消費電力
3.環境に優しい
4.防虫効果
5.低発熱
6.粗悪品はちらつきが多い (2).コスト比較
表1は、白熱電球、蛍光灯とLEDランプのコスト比較です。これはランプ1個あたりの、1年間当りのコストです。1日の点灯時間は10時間で計算しています。
ここで、直管型LEDランプの価格を7,500円にしています。表2を見て頂くとわかりますが、価格が2千円台のものもあります。しかし、対応する蛍光器具と明るさが違うのがわかります。多くの農場ではラピッドスタート型蛍光灯を使っていると思います。安いLEDランプはグローランプのある器具には改造工事無しで取り付けできますがラピッドスタート型蛍光器具で使うには、安定器のバイパス工事(図2)が必要です。1本7千円台のLEDランプはラピッドスタート型にも改造無しで取付できます。 (3).豚舎への導入ポイント 繁殖豚舎が暗くて良い発情が来なかったり、他の豚舎でも暗くて作業性が悪い農場では、既存の蛍光灯の他にLEDランプの増設工事をお勧めします(図3・4)
この例では宮崎県のイノセントから購入した輸入品です。これはランプと電源ユニットが別になっており、それぞれ防水加工してあるので、豚舎には最適品です。結線する部分だけ防水処理するように注意して下さい。 また、繁殖成績の上がらない農場では節電と言って、人が作業している時以外は消灯しているところがあります。 しかし、母豚には1日16時間光を当てるのが良いとされています。照度不足も問題です。そんな農場では是非、LED照明と24時間タイマーを追加して、1日16時間点灯を実施して下さい。
(4).導入時の注意点 1.電球型の場合
まず図5のように器具が密閉型の場合(ねじ込み式のカバーが付いていて、電球が密閉されるタイプ)は、LED電球をお勧めできません。電球型蛍光ランプをお勧めします。 なぜかというと、LEDは半導体なので熱に弱く、高温状態では劣化が早くなります。 密閉された電球カバー内では電源基板からの放熱が悪くなり、最悪電源基板が焦げてしまうことがあります。もし、カバーを外して使いたいという場合は、洗浄や消毒の時に水をかけないように注意して下さい。 また、図1に示したタイプでは電球が向いている方向は明るいですが横方向は暗いので、白熱電球と同じ明るさをうたっているLED球に変えると以前よりも暗くなった感じがします。 この場合は値段は少し高いですが図6のような広角タイプを使って下さい。
また、LED電球は白熱電球よりも重いですから、取り付ける器具がぐらつかないかも良く注意して下さい。 2.蛍光灯の場合 まずは現在使われている蛍光灯が、グローランプ型かラピッドスタート型かインバーター型かを確認して下さい。 グローランプ型は簡単にわかりますが、他2つの確認方法は、蛍光ランプを外して端の方に書いてある形式名を見て下さい。 始りの文字が「FLR・・・」ならラピッドスタート型、「FHF・・・」ならインバーター型です。 多くの農場ではFLR型だと思います。この場合、表2の7千円台の品物であれば、ランプの交換だけでOKです。 2千円台の品は安定器のバイパス工事(図2)が必要です。安いもの中には、「ラピッド型器具にも工事無しで取り付け可能」と書いてあるものがあります。 しかし細かな字で「長く安定して使うには、安定器のバイパス工事をお勧めします」というようなことが書いてあります。実際に蛍光ランプが発火したり、安定器から煙が出たりするトラブルが消費者センターに寄せられていますので、ここは重要なポイントです。 価格の差は何かというと、まずは電源ユニットの耐電圧が違うのです。ラピッドスタート型蛍光灯は点灯時に200〜300ボルトの電圧を発生させます。 安いLED蛍光ランプの規格を見ると、入力電圧100〜240Vと書いてあるものが多いです。だから限界を超える場合があるのです。 現在使用中の器具がインバーター型の場合は、インバーターのバイパス工事が必須です。
次に現在使用中の器具の使用年数(何年使っているか)です。蛍光器具の寿命は約15年と言われています。 農場では使用環境によって劣化具合に雲泥の差が出ますので、一概には言えません。コストのことも考えると一応10年を目安にして下さい。 10年以上経過している器具では、器具ごと交換して下さい。ランプだけLEDに交換してもランプの寿命より先に器具が壊れて使えなくなる可能性が高いからです。
農場で多く使われている1灯式トラフ型の器具ランプセットは通販のモノタロー(MonotaRO)で1台12,830円から購入できます。
また、表2でおわかりのように安物には照度の暗いものがあります。 直管型も取付面側(天井側)は暗いので、良く確認して明るいものを購入してください。 明るさは単位「ルーメン」(LM)で表示されています。試しに2〜3本買ってみて現場で様子を見てから本格導入するのが最も安全と言えます。 (5).まとめ このように、LED照明には利点も多いですが導入時の注意点もありますので、くれぐれも事故の無いよう、注意点を守ってコストダウンに応用して下さい。 |
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