養豚経営をサポートする『PiMax(ピッグマックス)』

先月は枝肉成績と飼料要求率を集計・分析するソフトを紹介させて頂きました。今月は繁殖成績を成績を集計・分析するソフトの紹介です。パソコン用養豚ソフトはいくつか有りますが、このピッグマックスは収益の改善に必要な機能に絞ってあります。大手メーカーのソフトでは、繁殖成績を細かく集計したり数々の帳票が出力されたりしますが、PigMaxでは、交配チャートに重点を置いています。交配チャートまで作ってくれるソフトは他社では少ないと思います。これは、儲かる養豚をするためにはこちらの集計の方が役に立つからです。例えば種付け分娩率が同じ85%であっても、交配後3週間でほとんどの再発を拾っているのか、分娩直前の空胎発見が多いのかでは母豚回転率も飼料要求率も変わってきます。交配チャートを見ればそれが一目瞭然です。また、週ごとの交配頭数のバラツキもすぐに分かりますしそれでいつ分娩が混み合うかもすぐ分かります。また、交配頭数の谷が出来た場合は次のサイクルで補充(候補豚の繰入で)が必要ですが、PigMaxの交配チャートではいつ生まれの候補豚をいつ何頭導入すればよいかまで計算してくれます。ここが繁殖の司令塔になるのです。とにかく毎週の交配目標頭数をクリアしなければ何も始まらないからです。

PigMaxは基本的にマイクロソフトのエクセル形式ファイルです。マクロ機能を使って入力をしやすくし、集計も自動で出来るようにしたものです。ご使用に当たってはマイクロソフトエクセル2003以上のバージョンが入っているPCが必要です。標準実装されている集計帳票は必要最低限に絞ってあります。エクセルを使い慣れている方であればピボットテーブルや集計関数を使って必要な集計を追加可能です。

では、使い方の手順に従って説明していきます。インストールが終わったらまず、「メニュー」シートにある「基本設定」をクリックし農場名と集計対象日を入力します(図1)。集計日の設定ですが新規開設の農場であれば種豚導入開始週の週末日にします。既に稼働中の農場であれば集計したい月の第1週の週末日にします。


次は種豚の登録です。「メニュー」シートの「候補豚・母豚導入入力」ボタンをクリックすると図2の画面が現れます。品種はリストから選択しますがリストにない場合やリスト順序を変更する場合は、「
DAITYOU.xls」の「母豚台帳」シートのAH2からAH13セルの記述を変更して下さい。産歴は候補豚の場合は“0”と入力。経産豚の場合は一つ前の産歴番号を入力して下さい。3産目の妊娠中または分娩後ならば“2”と入力して下さい。

 


次は交配入力です。図3がその入力画面です。母豚
Noを入力してEnterを押すと該当母豚の離乳日や交配日(再発の場合)が表示されますので、確認してから以下の入力をします1頭分の入力が終わるとカーソルが「OK」ボタンに移りますので「Enter」を押すと次の母豚の入力に移ります。修正や削除入力をする時は始めに「入力区分」の修正又は削除ボタンをクリックしてから母豚No.を入力して下さい。この入力方法は他の入力フォームでも共通です。

図4が分娩入力、図5が離乳入力フォー
ムです。

 複数の腹を連続して入力する時に便利なように、1腹分入力後も前の入力データの一部を入力ボックスに残したままにしています。また、子豚体重の入力欄は1腹合計重量または1頭平均重量のどちらかを入力すると合計または平均を自動計算します。

1週間分の入力が終わったら作業予定表を表示して入力漏れがないかどうかを確認し、「週次集計」ボタンをクリックします。集計後のデータが交配チャートと繁殖成績ファイルに書き込まれます。次週の入力に移る時は「週次更新」ボタンをクリックします。するとメニューシートの左側にある入力対象日の表示が7日進みます。ここに表示されている入力対象日以外のデータも入力できますが集計にうまく反映されなくなります。前週以前の入力漏れデータを集計する場合は「週次更新戻し」ボタンをクリックして入力対象日を戻してから集計をかけ直します。

次に集計帳票とその利用方法を解説致します。

図6は作業予定表です。上から順に候補豚、空胎豚、離乳豚、交配済み母豚と並べて表示します。予定日を過ぎた物はセルが黄色表示になり、入力漏れがないかの注意を喚起するようにしています。図の例ではT-11が離乳後7日以上経過しているので黄色表示されています。「メニュー」の「母豚成績一覧」ボタンをクリックした時も同じシートが表示されますが、母豚成績(SPI)の高い順に並べ替えされます。作業予定表と同じシートを利用している理由は、成績の悪い母豚がいつ分娩あるいは離乳予定なのかが一目でわかり、廃豚予定を立てやすいからです。

図7は産歴構成グラフです。2産目が最も多く、産歴が増えるに従って頭数が均等にへるのが望ましい構成です。また、稼ぎ頭は2〜5産ですから平均産歴が3〜4の間になるように計画的な母豚更新を行うためにもこの表は参考になります。

 

図7↑   図8↓

図8は、交配チャートです。これは1週間ごとの種付け頭数を2列目に記入し、週齢を追うごとに再発や流産、廃豚等で落ちた頭数を減算していき、現在の妊娠中頭数を把握する物です。1週に付き3行構成になっており、1行目はその週に発生した再発等を示しています。図8の例では6/6の週に交配した頭数が13頭で、4週目に再発1頭、7週目に再発2頭あり、現在の妊娠母豚は10頭になっていることを意味しています。3行目の括弧内数字は、離乳後廃豚にする予定の頭数です。例えば高産歴の母豚などです。この数字を入力すると次回種付け頭数(右から4行目)の数字に反映されます。もう一度上記の例で言うと、現在妊娠中が10頭ですが廃豚予定が2頭なので次回交配に向ける頭数が8頭になっています。右から2列目の候補豚導入頭数は、次回種付け頭数が週間目標交配頭数に満たない分を候補豚の交配で補うという考え方で計算されています。週間目標交配頭数は母豚規模と目標母豚回転率(ともに上から3行目にあらかじめ入力しておく)から計算しています。また上から3行目の右の方に候補豚交配日令と導入日令を入力するセルがあります。これを設定することで候補豚の導入計画を簡単に立てることが出来ます。図8の例では5/9の週に交配した頭数が足りなかったので、その穴を埋めるには8/9に2頭候補豚を導入すればよいことが一目で分かります。交配後1ヶ月経過したら次回の候補豚導入頭数を決めるようにすれば交配の波を平坦化するのに役立ちます。

また、このチャートは交配技術の向上にも役立ちます。例えば分娩率が同じでも交配後1周期目または2周期目で再発を見つけているのか、分娩間近に空胎(不分娩F)を発見しているのかが一目瞭然です。また、流産が多い場合には特定の週齢で多いのか季節的なものなのかの区別もつきます。このような観点から私はこのチャートは繁殖成績管理の要だと思っています。

図9は繁殖成績一覧表です。集計項目は必要最低限に絞ってあります。肥育成績一覧表シートも入っていますがこちらは自動集計になっていませんので、手集計で記入してご利用下さい。他の養豚ソフトでは肥育豚の事故や出荷を入力すると事故率や増体重や出荷日令を集計してくれる物もありますが、肥育豚のロット管理と棚卸し管理がしっかり出来て、死亡豚の日令が正確に入力できないと誤差が大きくなります。そこでPigMaxにはあえてその機能は付けませんでした。それよりも飼料要求率と枝肉成績を管理する方が収益に直結しますので、そのために使うソフトがMeatMaxということです。 

 

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最終更新日 : 2022/01/23