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自然災害時に考えられる養豚場のリスクと対策
いつ、どこで起こるかの予想が困難なため、予期せぬ大きな被害を被ってしまうものです。 ここでは自然災害時に考えられる養豚場のリスクと対策について基本的なことをまとめてみました。
スノコがズレ落ちる。ピットにひび割れができてスクレーパーが途中で止まる。 餌タンクが倒れる。汚水配管が折れて汚水漏れが起きる。 ガスブルーダーが落ちて火災発生。ガス配管のひび割れからガス漏れ。
ロータリー式やスクープ式コンポストではレールの土台が割れて、攪拌機が脱落する事もあります。
近くへの落雷により電源にサージノイズが加わり、パソコンやインバーターなどの電子機器が故障して停止。 →換気扇停止。停電になり農場全体の電気機器が停止。など
豚舎内への雨水進入。漏電。など
ウインドレス以外の豚舎では、大きな雷鳴が近づいてきたらブレーカーを落として待機しましょう。 ウインドレス豚舎では電源を落とすことができないので、豚舎のメインブレーカーと並列にアレスター(避雷器)を設置しておきましょう。 これは電気工事店に依頼すればやってくれます。
錆びていたり曲がっていたりして脱落しやすい状態ならば修理して下さい。 また、接続ホースの長さやひび割れ、ホースクリップの状態を点検しましょう。 大きな揺れでガスホースが抜けたり割れたりしないようにして置くことが肝腎です。 また、ガスの元栓はホースが抜けた時に自動で閉まるように出来ています。 このオートシャットオフ機構が働くかどうか、一度ホースを抜いてみて点検しましょう。
それが何時間もあるいは何日間に及ぶことがあります。 私も大雪で2日間停電、東日本大震災では6日間の停電を経験しました。 停電対策の第1は自家発電機を備えておくことです。 東日本大震災の時はリースの発電機が一瞬にして在庫切れになりましたので、事前に購入しておくことが必要です。
ウインドレス豚舎がある農場では建築時に非常用発電機も備わっていることが普通ですが、 どこまで発電機で動かせるのかを事前に確認しておきましょう。
なお、土木工事用のディーゼルエンジン発電機(写真1)を備えておく場合は、 停電が復旧した時に商用電源と干渉して事故に繋がります。
写真2のような切替えスイッチ(ナイフスイッチ)を配電盤脇に取り付けて使って下さい(図1参照)
それによって流れきれなくなった雨水が豚舎に流れ込むケースです。 毎年雨の多い季節になる前に堆積した土砂を清掃しましょう。
設置後10年以上経っている餌タンクは足の付け根を良く点検しましょう。
まずは自農場の豚舎が何cmの積雪まで耐えられる設計なのかを確認しておきましょう。 また、豚房の中にある柱などは豚に囓られたり錆びたりして宙に浮いているところがあったりします。 ひどい所では柱を間引いて取り除いている豚舎もあります。 これでは積雪耐荷重が設計よりも少なくなっていますから、要注意です。
また、ソーラーパネルを載せている場合も約30cmの積雪に相当しますから、 柱の補強をするか、建て替えるかの対策が必要です。
耐震補強工事はコストが掛かりすぎて現実的ではありません。 そこで重要なのが、被災した時に建物が更新できるくらいの保険に入っておくことです。 火災保険だけではなく、地震保険にも入っておきましょう。 保険を掛ける際に出きるかぎり建物を新築出来る金額以上の保険金額を設定しましょう。 そうすれば、もし中の豚まで死亡した時に損害の一部もまかなえますので。
JAと豚や資材で取引がなくとも、共済だけ掛けることが出来ます。
この記事をきっかけに、点検だけはすぐに済ませて下さい。 そしてその対策は予算と時期を検討して、なるべく早く実施して下さい。 自然災害は人ごとではありません。いつ自分の農場に降りかかるか解らないものです。 私がお勧めする対策の一番目は、十分な保険を掛けることです。
そうすれば、災害対策が遅れて被災してしまっても安心して復興を目指せますから。 |
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