漏電を防ぐ具体策

 

漏電の原因を大別しますと、@機器や配線の水濡れ A機器や配線の劣化 Bネズミや豚による食害 の3つになります。今回の企画では現場で応用しやすいようにステージ別にまとめてみました。

【管理事務所】

 まずは電源コンセントをチェックしましょう。ホコリが溜まってそこに湿気が溜まると漏電します。使わないコンセントにはキャップをしましょう(写真1)。

コンセントからプラグが抜けかかっていませんか(写真2)。

たこ足配線も要チェックです。また、床を這わせた延長コードが踏みつけられて傷ついていませんか(写真3)。

事務机の後や下をよく見て下さい。

【豚舎豚舎共通】

 ネズミにかじられた跡はないですか。配線は電線管の中を通してありますか(写真4・5)。

電線管を使わずにケーブルが裸のまま配線されているとネズミの被害を受けやすいのです。よくチェックして下さい

 配電盤の中に蜘蛛の巣やネズミの巣がありませんか。そうなっていたら、きれいに清掃した後に電線を引き込む穴に隙間があるはずですから、配線用シール剤で埋めて下さい(写真6)

 クーリングパドや細霧システムで冷房をしている豚舎では、周辺の電気設備が濡れないように工夫して下さい。また、電線が濡れる場合は、防水がしっかりしていることを確認して下さい。

【分娩豚舎】

 まず、保温ランプ。コードは豚やネズミにかじられていませんか。古くなってコードにひび割れが入っていませんか。分娩時に母豚の尻に保温ランプを下げる農場がありますが、母豚の尿がかからない位置につり下げて下さい。また、保温ランプ用のコンセントは防水タイプになっていますか。その防水用の蓋やゴムパッキンが悪くなっていませんか。

 分娩舎は離乳後に洗浄すると思いますが、蛍光灯の器具は錆びていませんか。錆びて防水が効かなくなっていると洗浄時に漏電する可能性があります。器具が古くなって錆びていたら、防水タイプのLED照明に交換をお勧めします。

写真7は防水型LED照明器具の例です。ネット通販価格は器具とランプセットで11,760円です。ネットで「防水LED照明」で検索すれば販売サイトが見つかります。

 また、ウインドレス豚舎の場合は排気ファンが付いていますが、これも経年劣化によって防水機能が低下します。換気扇モーターへの電線引き込み口がちゃんと防水処理されているか確認して下さい。

【離乳豚舎】

 離乳舎もオールインオールアウトで洗浄しているとことが多いと思います。ここは分娩舎と同じように、照明器具の防水と換気扇モーターの防水をチェックして下さい。

また、ガス温風ヒーターを使っている場合は、そのコンセントの防水状態をチェックして下さい。

【肥育豚舎】

餌ラインのリミットスイッチの配線が豚にかじられて傷ついていませんか。かじられやすい時は餌のドロップパイプに塩ビ管を縛り付け、その中に電線を通しすと良いです。

【洗浄機】

洗浄機は消費電力が大きいので、電源プラグが傷みやすいです。プラグのゴムがひび割れていないか、焦げていないか、内部の電線の被覆が焦げていないか、電線がほつれていないかをチェックして下さい。

また、温水洗浄機では内部にネズミが巣を作っていたり、電線やプラスチック部品をかじっていたりすることがありますから、毎回使用前にカバーを開けて点検して下さい。

【給餌ライン】

駆動部が屋外に設置してある場合は、駆動部カバーの劣化によって内部に雨水が入っていないかをチェックして下さい。

【給水ポンプ室】

夏は結露により配管や床に水で濡れていることが多いです。つまり、いつも高湿度状態にさらされていますから、モーターや制御盤も錆びやすいのです。錆の発生を防ぐには換気扇を取り付けて換気をして下さい。しかし、凍結の恐れがある季節は止めておいて下さい。

【糞尿処理施設】

糞尿処理施設は湿気と臭気により電気設備が錆びやすいですから、こまめな点検が必要です。

配電盤や各機器の制御盤は毎月中を開けてみて、錆や有害動物の侵入が無いかをチェックして下さい。

汚水処理の水中ポンプは、コードに余分な引っ張る力がかかっていないかをチェックして下さい。コードが常に引っ張られている状態や圧迫されている状態だと、防水シールが悪くなったり、コード自体が漏電や断線しやすくなります

【キューピクル】

外装に錆や穴が無いかどうか点検して下さい。小さな錆穴から蛇が侵入して感電し、農場全体が停電した例があります。また、雑草が侵入して漏電する事もありますので、キューピクルの回りは雑草が伸び内容にこまめに草刈りをするか、除草剤を撒いておいて下さい。

【点検頻度】

洗浄機は、毎回使用前に点検して下さい。その他は毎月1回が妥当だと思います。

 

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最終更新日 : 2022/01/23