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餌付けのメリットデメリット〜餌付けの費用対効果を考える 【はじめに】 多くの皆さんの農場では餌付けを実施されていると思います。しかし、その方法や開始タイミングは農場によってまちまちです。ここで改めて餌付けのメリットとデメリットを整理し、費用対効果までを考えたベストの方法を探ってみましょう。 まず、餌付けの目的は大きく分けて3つあります。 @ 子豚の離乳体重を大きくする A 離乳後の人工乳の食い込みを良くし離乳後の発育停滞を防止する B 母豚の損耗を少なくし発情再起を良くする これを達成すればそれが餌付けのメリットと言えます。 一方、デメリットとしては人工乳の使用量が増え、飼料コストが上がる事と、作業が増え、手間がかかることが挙げられます。このデメリットを上回る効果を出さなくてはなりません。 【離乳体重と出荷日令】 離乳体重が大きければ出荷までの日数も短くなり、飼料コストも下がります。
図2に示した肉豚1頭当りの給与量は各農場によってバラツキがあります。 また、出荷日令の差は肥育豚舎の回転率の差となり、年間出荷可能頭数の差にもなります。例えば母豚200頭一貫経営で21日令離乳、出荷日令185日、年間4,400頭出荷している農場の場合、週平均84.6頭出荷しているわけです。この農場で出荷日令が164日なれば、肥育豚舎を増設することなく年間600頭多く出荷できるのです。もちろんその分を母豚増頭か繁殖成績アップで増産しなければいけませんが。 離乳体重は母豚の泌乳能力や子豚の下痢の有無にも影響を受けますが、餌付けをうまく行うことによって増加させることが可能です。 【離乳後の発育停滞防止】 離乳は子豚にとって大きなストレスです。今まで飲んでいた母乳が飲めなくなり、人工乳を食べ、水を飲むだけで生きていかねばなりません。ですから餌付けによって人工乳を食べ慣れていることが重要になってきます。
【母豚の損耗防止】
子豚への餌付けは子豚のためだけではありません。繁殖能力の高い母豚は産子数が多く、泌乳能力も高く改良されています。 例えば分娩前体重が250kgの母豚が平均体重1.4kgの子豚を12頭産んだとしますと、胎盤と羊水を含め約25kgの体重減少が分娩時に起こります。
母豚の体重減少を防ぐ技術として分割離乳があります。これは1腹のうち、発育の速い大きな子豚を17〜18日令で2〜3頭離乳し、残りの子豚を21日令で離乳するやり方です。 【餌付けのタイミングと方法】
前回入れた餌をすっかり食べるようになったら給餌量を徐々に増やし、給餌回数も1日3回に増やします。 初産母豚やボディコンデションスコア悪い母豚に対し餌付けをもっと早くから実施したい場合は、生後7日目からミルク液を作って与えます。ここでのポイントは、人工乳をぬるま湯で溶かし、うすく調整することです。牛乳ぐらいかそれより少し薄いくらいがちょうど良いのです。やはり量は少なく、飲み残しは捨てて新鮮なミルク液を入れてやることが大切です。 【餌付けの成果の検証】 最後に、餌付けの効果が出ているかどうかの検証方法を紹介します。 @ 離乳時子豚体重を測定し記録する A 離乳舎の給餌量を記録する B 銘柄別給餌量と肉豚1頭当り飼料代を計算する(図2参照) @ については、なぜうまくいったか、なぜ失敗したかを簡単に母豚カードへメモしておくとスキルアップに役立ちます。
A
については、図6の様な給餌カードを付けると離乳後の発育停滞があったかどうかがわかります。注意すべき点は、毎回の給餌量は次回の給餌時間までにちょうど食べきる量にすることです。少なすぎても多すぎてもいけません。さじ加減は経験を積んで覚えるしかありません。人工乳は風味が落ちやすいので、新鮮な餌を食べさせることが重要なので、このような方法がベストなのです。こうすることにより、1日の給餌量がすなわち1日の増体量と比例するので、発育停滞の有無がわかります。 B については増体とコストのバランスを常時モニターすることで、最大コストである飼料代の低減に役立ちます。 是非、コストを含めた成績分析を実施し実効性のある飼育管理に役立てて下さい。
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