10円/sの収益アップ

 私からの提案は2つあります。1つは離乳舎、肥育舎に於ける飼料効率の改善。もう一つは電気料金の節約です。

 まず飼料効率改善ですが、大きく分けて2つの観点からチェックします。第1は餌こぼしです。不断給餌を採用している農場では大なり小なり餌こぼしは有るはずです。スノコ上に餌箱がある豚舎ではこぼれた餌が糞尿と混じってしまい、気づかないでいると大変なことになってしまいます。管理上のポイントとしては餌の出口(餌が出る隙間)幅をこまめに最適な状態に調節することです。最適な幅は飼料の種類(形状)や豚の大きさによって異なります。狭すぎると餌の出が悪く豚が十分に食べられません。逆に広すぎると餌こぼしにつながります。

 飼料効率改善の2つ目は飼料成分の見直しです。価格だけで安い飼料に変更したために飼料効率が悪くなってしまい、全然コストダウンにならない場合があります。いずれにしても飼料効率を計算できるよう、飼料と豚の棚卸しをしっかりと行わなければなりません。その手法は先々月の連載11回目の記事をご参照下さい。

肥育飼料効率が2.8から2.65に改善した場合の効果のシミュレーションが表1です。ちょうど枝肉1kg当たり10円になります。11頭あたり餌150グラムの差です。201ペンの場合3kgです。率にすると5%です。このくらいの餌こぼしは、よくあることですし、5%の差は飼料棚卸しを正確にしないと気づきにくいことでもあります。

 次に電気料金です。母豚規模200頭〜1000頭一貫経営農場では高圧電力S(U)又は高圧季節別時間帯別電力S(U)契約のところが多いと思います。この契約では「各月の契約電力は、その1月の最大需要電力と前11月の最大需要電力のうち、いずれか大きい値といたします」とされています。つまり30分単位で計測される最大需要電力(デマンド)が1年間の契約電力になってしまいます。例えばウインドレス豚舎の場合は夏に換気扇がフル回転しますから、その時のデマンドで向こう1年間の基本料金が決定してしまうのです。以前私が経験した例を挙げますと、年間平均の需要電力は50kwぐらいでしたが、ある真夏の1日にデマンドが120kwだったために、翌月から基本料金が15,000円アップし、1年間そのままでした。次の夏は12時〜16時の間は、需要電力の多い糞尿処理施設を止める運転パターンに変更し、基本料金の20,000円ダウンに成功しました。

 また、糞尿処理施設等の高負荷設備がある農場で、高圧電力S契約の農場では、高圧電力SUあるいは高圧季節別時間帯別電力SU契約にした方がトータルの電力料金が安くなる場合があります。それには農場内の各設備それぞれの消費電力と稼働時間帯を最適化することと、各契約ごとの電力料金シミュレーションが必用です。私はそのような電力料金節約診断も行っております。

 

 

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最終更新日 : 2022/01/23