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連載第12回:「パソコンソフトの活用」 【はじめに】 いよいよ連載も最終回となりました。様々な台帳と記帳方法を紹介してきましたが、台帳を付ける目的をおさらいしてみましょう。養豚は経済行為ですから台帳は記入することが目的ではなく、データを集計して収益を上げる道筋を付けることが目的です。データを集計するには速さと正確さが要求されます。集計に多くの時間を費やしていたのでは肝心の飼養管理がおろそかになりかねませんね。そこでパソコンの活用が有効になってくるわけです。 【デジタル化のメリットとレベル】 データをパソコンで処理するメリットは計算の速さと正確さ以外にもあります。例えば農場のパソコンでデータを入力し、それを自宅のパソコンで集計したり、会議やセミナーなどで自分の農場成績を確認したり再集計することも出来ます。膨大な書類を持ち歩くよりも、ノートパソコン1台で全て確認できる方が何かと便利だと思います。ちなみに私が前職の場長時代は自社農場2つと客先農場7つ分の成績を常時チェックしていました。防疫上の制約があり農場へ入る間隔は1〜2週間おきになってしまいますが、農場で入力してもらったデータをインターネット回線で収集してタイムリーにチェックしていました。 次に集計のデジタル化(パソコン利用)をどの程度まで勧めるべきかの判断に移ります。農場の規模やパソコン利用の習熟度に応じて3段階に分けて考えると良いでしょう
1.繁殖成績のみ
2.繁殖成績+肥育(枝肉出荷分析)成績
3.購買販売金額データと繁殖肥育成績の総合的な管理 連載の1回目に紹介しました生産原価シミュレーションは3番目のレベルに当たります 【市販養豚ソフトの活用】 財務処理の市販ソフトは多種多様な物が販売されていますが、養豚管理ソフトとなると数は少ないのが現状です。もっともポピュラーなのが全農で扱っている「Pigs」ではないかと思います。またアメリカで開発され、日本でも使われているものに「ピッグチャンプ」があります。こちらはグローバルピッグファームで取り扱いされています。そのほかに飼料メーカーでも養豚ソフトを提供しているところがあります。また、ネット上から誰でも安価に入手できる養豚ソフトに「スマート養豚」があります。こちらはイージーソフト・ラボラトリーさんのホームページにあります。 では市販養豚ソフトでどんなことが出来るのかを紹介します。主な機能は表1の通りです。(ソフトによって処理名や帳票名には若干の相違があります。)前項で3段階に分けたデジタル化レベルで言いますとレベル1はどのソフトも満たしています。繁殖成績と、肉豚出荷までの肥育成績をを集計するのであればどのソフトでも可能と言うことです。ただ、私個人としては前職時代に使用していたソフトが交配チャートまで作成してくれるので、気に入っていましたが、現在は販売されていないようです。 第2レベルの集計まで出来るソフトは高価なものとなっています(6桁以上)ので、屠場からもらえる1ヶ月ごとの簡単な集計表で我慢されているところもあるでしょう。同じく第3レベルまで出来るソフトはおそらくオーダーメイドではないかと思います。これらの集計は第1レベルのソフトと一般的な財務ソフトをから、CVS形式のテキストデータを出力して、それをエクセル等で集計することでも実現できます。市販ソフトの画面や帳票サンプルを掲載するには発売元の許可が必用ですので、今回は割愛させていただきます。代わりに次項では私が制作中のソフトでの同様な画面や帳票サンプルを紹介します。 【エクセル版養豚ソフト】
最近のパソコンにはオフィスソフトははじめから付属していることが多いです。中でも表計算ソフトのエクセルが付いているモデルが大多数を占めています。飼料メーカーのしがらみなく使えて、安価で、自農場にあわせてカスタマイズ出来るソフトは無いものかと探しました。しかし、見つからなかったので私が作ってみました。繁殖成績集計ソフトの「PigMax(ピッグマックス)」と枝肉販売成績集計ソフトの「MeatMax(ミートマックス)」の2本立てです。 【おわりに】 紙面の都合で詳細までの紹介は出来ませんでしたが、どの市販ソフトも機能が豊富で、処理能力が高いですから、使いこなせば農場経営の強い味方となってくれます。しかし複数のソフトを使ってみる機会はそう多くはないと思います。導入コストや効果予測金額等を、導入済みの仲間の方やソフト販売店の営業マンとよく相談して導入して下さい。なお、筆者が制作したエクセル版養豚ソフトは必用最低限の機能に絞って安価な価格設定にしてあります。興味のある方は筆者まで御連絡下さい。 |
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