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連載「台帳」(9) 

 

 

 

 

 

 

連載第9回:「繁殖成績アップに役立つカード」

【はじめに】

 前回は繁殖成績や肥育成績を把握する手法を紹介しました。今回は繁殖成績アップを目指すときに役立つカードや台帳を紹介します。交配チャートの目的は大きく分けて3つあります。まず第1は再発や流産等が、交配後どれくらいの日令で発生しているかを知ること。第2は交配頭数が目標に達しているか、また週ごとのばらつきは無いかを知ること。第3は候補豚導入頭数を求めることです。

給餌カードは、分娩舎で最も重要な母豚の給餌管理技術をアップさせることに役立ちます。給餌量を数字で記録している農場もありますが、グラフ化することで母豚の体調変化が一目でわかります。

【交配チャートの書き方】

 この表は1週間の交配頭数をもとに記入していくものです。一番左の列は週の初めの日付を記入します。2番目の列はその週に種付けした母豚数を記入します。3列目は種付け後1週間経過した母豚数です。同様に1週間ずつ右列に経過頭数を記入していきます。途中で再発や流産、廃豚等の発生で、その週に種付けされた母豚の妊娠在庫が減っていきます。減った原因を記号で記していきます。文章ではうまく表現できませんが記入例を見ていただければわかるかと思います。エクセル版の交配チャートでは2列目の種付け頭数を入力すると自動で途中減少で入力された頭数を減算するようになっています。

 経過週17の列が分娩した頭数になります。ここで分娩数を交配数で割って種付け分娩率を計算し「分娩率」欄に記入します。「次回種付け」欄の頭数は週ごとの妊娠母豚数から廃豚予定頭数を引いた数になります。次回種付け予定日は1列目の日付に、妊娠日数(114日)+哺乳日数(21日)+再起日数(5日)を足して計算します。候補豚導入欄の頭数は、次回種付け頭数が週間種付け目標頭数に満たない分を候補豚で補充するという考え方です。「推奨日」は次回交配予定日に初回交配日令に達する候補豚を導入するにはいつが最適化を計算します。計算式で表すと[次回交配予定日]−([初回交配日令]−[導入日令])となります。エクセル版の交配チャートではこれらの計算を自動で行う計算式を入れてあります。

【交配チャートの分析】

 種付け分娩率が同じでも交配後3週間目で再発を見つけている場合と、分娩舎に受け入れ時に空胎を見つけたのでは、母豚回転率が異なってきます。妊娠鑑定が正確にできているかの検証ができるわけです。また、廃豚で落ちる頭数が多い場合は廃豚基準の見直しや怪我や疾病の原因調査が必要になります。

 週ごとの交配頭数のばらつきが大きいと分娩舎の回転に影響します。4週分ずつを足して分娩クレート数より多くなれば21日令より早く離乳しなければならなくなります。

 候補豚注文頭数は、右から2番目の列を1ヶ月分ずつ足し算して計算します(月1回導入の場合)

 【給餌カード】

 この給餌カードには記入方法と管理の重要ポイントをあらかじめ表示してあります。これは作業のマニュアル化の一環です。重要な管理ポイントは常に目につくところに表示しておくことにより、担当者のスキルアップにつながります。たとえば子豚が下痢をしたとき、初心者は子豚のケアに気をとられて母豚の体調不良に気づかないことがあります。この給餌カードのようなグラフ化された記録をつけると食下量が減ったのがすぐにわかります。そしてそのときすぐに熱を測り、乳房炎の早期発見早期治療が可能になります。

 この記入例では6日目で朝に2.5kg給餌したが、午後の給餌時に1kgぐらい残っていて腐りかけていたので、それを捨てて、1.5kgのところへ書き直したものです。 

基本的に産子数の多い母豚には食べるだけ食べさせるべきですが、分娩後数間日は餌を与えすぎることで乳房炎になりやすいこともあります。離乳後もこのカードを保存しておいて、自農場に合った給餌コントロールを考案してみてください。

 【おわりに】

 今回も、ご紹介しました集計表の電子データをご希望の方は、筆者まで御連絡頂ければ無料で差し上げます。

ダウンロード用交配チャート(PDF)   ダウンロード用給餌カード(PDF) 

給餌カード記入例・交配チャート記入例

 

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最終更新日 : 2022/01/23