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連載「台帳」(7) 

 

 

 

 

 

 

連載第7回:「出荷台帳の付け方」

【はじめに】

 今回は販売金額に直結する、出荷豚の選び方とその時使用する台帳「出荷明細台帳」および、その結果を検証するために使う「枝肉成績集計表」です。ところで自分の農場の出荷日令を正確に把握していない養豚家の方が結構いらっしゃいます。また、出荷時生体重を量っていない農場も多いようです。どうしても相場や販売単価に気を取られがちだとは思いますが、日令と体重はとても重要で、経営を左右する管理事項だと言っても過言ではありません。では、詳しく説明していきましょう

【出荷明細台帳の目的】

 この台帳の第一の目的は出荷日令を正確に把握することです。出荷日令がコストにどのような影響を与えているかをまず説明します。出荷時期の肉豚は1日に約3kgぐらいの餌を食べます。そのうち体重増加に回るのは約2kgで、残り1kgは、豚の生命維持のために消費されます。つまり、出荷日令が1日延びると約1kgの餌代がコストアップになるのです。ここでは小数点以下の数字まで詳しく覚える必用はありません。簡単に“出荷日令1日に付き餌1kgの損失”と常に頭に入れておきましょう。

 例えば180日で118kgになった豚と170日で118kgになった豚を比較してみましょう。飼料消費量の差は10日で10kgです。肥育用飼料単価を50円とすると、1頭あたり500円の差になります。年間2000頭出荷する農場の場合、1年間で

500×2000=1,000,000円の差になります。

 これをふまえて出荷日令がのびた場合は、原因が何かを反省したければなりません。それは、気温の暑すぎ寒すぎかもしれませんし、密飼いだったかもしれませんし、飼料の品質や切り替えタイミングかもしれません。

 この台帳の第二の目的は、出荷時生体重を把握することです。出荷前に1頭ずつ体重を量って選んだ豚をこの台帳に記入していくベストの品揃えが出来ます。目測で選んだ場合も、出荷時に体重を量りこの台帳に記録します。そして枝肉歩留りを計算して下さい。品種や屠場によって枝肉歩留りが異なります。1%違えば枝肉1kgに相当しますので、1頭あたり500円の差になります。前記の式と同じで年間100万円の差になります。

 【項目について】

 一般的な項目なので、記入例を見て頂ければすぐ分かると思います。離乳日欄は9月号、10月号で紹介しました肥育ペンカードから書き写します。離乳日又はロット番号で書きます。しかし、出荷日令の計算は暗算や電卓では難しいでしょう。ここはパソコンに任せた方が良いです。私が作ったエクセルファイルには1ペンごとに、雄雌別の出荷日令を計算する関数式が入っています。合計や平均まで一瞬にして計算してくれます。

 利用の仕方としては、豚舎で記入してきた台帳をパソコンに入力して保存しておくのが良いでしょう

【枝肉成績集計表の目的】

 この台帳は豚舎では使いません。枝肉の仕切り書が届いたら事務所で記入します。目的の第一は出荷豚の選定(品揃え)が良かったかどうかを検証することです。例えば重量オーバーによる格落ちが多かったら、次回の出荷頭数は増やさなければいけません。また、平均枝肉重量が70kgに満たなかったら、次回の出荷頭数は減らさなければいけません。平均が75kg以下なのに重量オーバーが出るようならば、目測はやめて体重計で測りましょう。このようなチェックのもとに次回の品揃えの役に立てましょう。

 第二は飼育管理の検証です。背脂肪厚、脂肪薄、脂肪質などの格落ち頭数をチェックし、餌の質や餌切り替え時期、温度管理、飼養密度等の管理が良かったかどうかの反省材料にします。例えば体重は適正なのに脂肪が薄かったり軟脂だったなら、子豚用から肥育用への切り替えタイミングが遅かったかもしれません。

 【項目について】

 まず雄と雌の行を分けてあるのは、現在雌雄別飼いをしている農場が多いので、雌雄それぞれの飼育環境をコントロールするためです。

 格落ち頭数の欄は農場により買っている品種の特徴に合わせて変更しても良いでしょう

 枝肉歩留り欄は、前述しました肉豚出荷明細台帳の出荷時生体重を用いて計算します。

枝肉歩留り(%)=枝肉総重量÷出荷時の生体重合計 で求めます。

 月ごとの合計や平均は、やはりパソコンを用いて計算するのが良いでしょう。私が作ったエクセルファイルには雌雄ごとに、合計と平均を計算する関数式が入っています。出荷先月の集計にすることも可能です。

 【台帳の制作】

今回ご紹介しました帳票をpdfファイルにしたものを筆者のホームページからダウンロード出来ますのでご利用下さい。また、計算式入のエクセルファイルご希望の方は筆者まで御連絡下さい。メール添付であれば無償で差し上げます。また、枝肉仕切り書のデータを入力すると枝肉成績を集計し、グラフ作成までマクロで行うエクセル版枝肉集計ソフトもあります。詳しくは筆者のホームページををご覧下さい。

枝肉集計表記入例↓   ダウンロード用肉豚出荷品揃え明細(PDF)   ダウンロード用枝肉集計表(PDF)

 

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最終更新日 : 2022/01/23