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連載「台帳」(4) 

 

 

 

 

 

 

連載第4回:「各セクションのカードをつくろう 分娩」

【はじめに】

 今回は「各セクションのカード作り」の2回目として、分娩カードと、分娩台帳です。先月にも記しましたがカードは主に豚舎で記録し、豚舎で利用します。台帳は、主に豚舎で記録し、事務所に持ち帰って集計や保存用に用います。

 今回紹介するカードは2種類あります。@交配カードと分娩カードが1頁に収まるものA片面が交配カードで反対側が分娩カードになっているものです。@は肉豚生産を主とする小規模農場にAは種豚生産も行う農場や大規模農場に向いていると思います。

 【分娩カードの目的】

 分娩担当の役割は大きく分けて2つあります。まずは妊娠中の子豚を1頭でも多く活力ある状態で生ませ、1頭でも多く元気な子豚を離乳することです。もう一つは1週間以内に再種付け可能な状態で母豚を交配担当へ渡す事です。この2番目が意外に忘れられがちです。そのために必用な情報を余すところなく網羅した分娩カードが役に立つのです。また、前にも書きましたように大きな太い字で書いてある方が、目にとまりやすく重要な情報の見落とし防止につながるのです。

 【項目について】

様式A[交配分娩カード]の項目は至ってシンプルで、必用最小限に抑えてあります。一方様式B[分娩カード]では処置履歴やコメントを記入するスペースが十分にあります。こちらは交配カードの裏面に印刷して使います。治療・処置等の記録は出来るだけ多くの情報を盛り込んだ方が良いです。この記入例では分娩誘発ホルモン注射の日時や、分娩当日の処置を時刻まで記入しています。こうすることにより担当者が途中で交代しても的確な対処が出来ますし、管理のレベルアップを図る上でも貴重な資料となります。この分娩カードは約3年間は保存しておくと良いでしょう。年間1母豚当たり離乳頭数26頭以上を目指すのならば、細かな管理の違いによる成績の変化を検討していくことになります。

分娩舎入出時のボディーコンディションは、ボディスコアを用いるのが最も低コストですが測定する人の個人差が出やすいのが欠点です。母豚回転率2.5以上を目指すのならば、是非、体重測定又は皮下脂肪測定をお勧めします。この連載第1回目にコストシミュレーションを載せました。それで計算してみるとよく分かりますが、1腹離乳頭数を0.1上げるのと回転率を0.1上げるのでは効果金額に倍以上の開きがあることが分かります。

子豚の分娩時体重や離乳時体重は、1頭平均を書くか1腹子豚の総体重を書くか意見が分かれるところだと思います。生時体重は難産と相関がありますので、1頭平均を重視します。離乳時は総体重を廃豚の判断材料の一つとして使い、1頭平均体重はスターター飼料の給餌量を判断する材料に使います。

死異産の欄について詳しく説明します。他の農場との成績を比較するためには同じ基準によって記録されていなければなりません。[白子]とは、生きて生まれた子豚と同じ大きさで、皮膚の色や堅さなどから分娩直前まで生きていたと考えられるものです。黒子とは分娩より数日以上前に死んだと思われる、変色や萎縮した胎児です。未熟児は一番判断の分かれるところです。通常体重1kg未満を指しますが管理レベルの高い農場では0.8kgぐらいでも正常に育て上げることが出来ます。「明らかにこれば離乳まで生きられない」と思われるものを未熟児として死産扱いにするのが妥当ではないかと思います。この圧死は、生時処置を行う前の圧死のみをカウントし、処置後の圧死は哺乳中事故の分類に別区分とします。

分割授乳の欄には実施した時期を記入します。基本は分娩終了直後から半日ごとに3回実施します。これを記録して確実に実行すれば、小さく産まれた子豚の育成率が確実にアップします。

 【使い方の工夫】

分娩舎においてはカードに記録する頻度も高いですし母豚カードを参照する機会も多いですから、出し入れしやすくてしかも落ちにくいようにカードを下げる工夫が必要です。図1は私が実施していた方法ですB4サイズのカードケースに母豚カードは縦向きに入れて分娩カードを横向きに入れます。分娩カードの右端がケースからはみ出していますから出し入れしやすいのです。A4サイズのカードケースでははみ出し幅が大きくなりすぎて分娩カードが脱落しやすくなりますので、B4サイズのカードケースがベストです。

 【分娩台帳】

 この台帳は分娩した順に豚舎で記入していきます。同じ日に複数の母豚が分娩した場合は、分娩台帳で里子出し入れの母豚の目星を付けます。それから里子を受ける側母豚の母豚カードで前産の離乳子豚数や離乳子豚体重をを見て、何頭受入可能かどうかを判断します。

基的には記録は1週間分を1頁にします。週が変わったら余白があっても次の頁に書きます。こうすることによって週ごとの分娩頭数が一目瞭然になります。自農場の分娩目標頭数のところに太線を引くなど、目標に達したかどうかを分かり易い工夫を施し、それに応じて次週の交配に何頭向け、廃豚を何頭にするかを増減させるよう調整すると良いでしょう。生産効率を上げるには、毎週コンスタントに子豚を生産することが重要です。

 また、パソコンで養豚ソフトに入力しているところでは、ソフトの入力項目と順序に合わせて交配台帳の項目名や順序を変えた様式にすると、入力の効率もアップし入力ミスも減ります。また、1頁中の行数は農場の規模に応じて増減すると良いでしょう

 【カードの制作】

今回ご紹介しました帳票をpdfファイルにしたものを私のホームページからダウンロード出来ますのでご利用下さい。また、エクセルファイルご希望の方は筆者まで御連絡下さい。メール添付であれば無償で差し上げます。

分娩カード記入例↓   ダウンロード用分娩カード(PDF)   ダウンロード用分娩台帳(PDF)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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最終更新日 : 2022/01/23