10月30日、参議院の超党派議員によって提出された
民法の一部を改正する法律案
概要の解説

1 婚姻の成立
(1) 婚姻適齢を男女とも18歳とする
結婚できる最低年齢を、現在の、「男性が18歳、女性が16歳」を、男女共に18歳にし、男女平等なものにします。
(2) 再婚禁止期間を100日に短縮する
女性だけに、再婚禁止期間6カ月が設けられていました。妊娠した時、元の夫の子どもか、今のパートナーか分からない(父親推定の重複をさける)ためという理由からでしたが、現在の鑑定技術や現実の状況にあわせ、これを短縮します。

  2 夫婦の氏
(1) 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称するものとする。
現在の、夫婦同姓しか認められていない状況から、同姓か別姓かを選べるようにします(選択的別姓制度は夫婦別姓を強制するものではありません)。 結婚した夫婦の多くは妻が改姓していますが、長年使用してきた名前が変わることで、アイデンティティの喪失を感じたり、仕事上、不便・不利益の発生が報告されています。改姓後の旧姓使用を認める自治体や企業も増えてきましたが、戸籍姓しか使用できない書類がいくつもあることや、2つの姓を使う煩わしさなどから、旧姓使用は、民法が改正されるまでの便宜的な手段でしかないと考えられます。
(2) 改正法の施行前によって氏を改めた夫又は妻は、婚姻中に限り、配偶者との合意に基づき、改正法の施行の日から2年以内に別に法律で定めるところにより届け出ることによって、婚姻前の氏に復することができるものとする。
既婚夫婦の場合でも、改正法施行の日から2年以内に夫婦が同意して届ければ、別姓にすることができます。
   
   3 子の氏
(1) 別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父若しくは母の氏を称する ものとする。
別姓を選ぶ場合、兄弟姉妹間で姓は統一します。またその決定は、結婚時にという案もありますが、子どもを持たないカップルや高齢者の結婚等も考えられるため、子どもの姓は、出生の際に決めます。
(2) (2)(1)の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求により、協議に代わる審判をすることができるものとする。
決まらない時は、家庭裁判所で決められます。
(3) 別氏夫婦がともに養子をする場合において、養子となる者が15歳以上であるときは、縁組の際に養親となる者と養子となる者の協議で定める。養親のいずれかの氏、養子となる者が15歳未満であるときは、縁組の際に養親となる者の協議で定める養親のいずれかの氏を称するものとする。
別姓夫婦が養子を持つときは、子が15歳以上なら、養親と養子で話し合い決めま す。子が15歳未満なら、養親が縁組みの歳に協議して決めます。
 
4 相続の効力
嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分と同一とするものとする。
婚外子(結婚していないカップルの子)の相続分を、現在の「婚内子の半分」から「同等」に改めます。 父母が法律婚か否かは子ども本人に選択の余地も責任もありません。それにもかかわらず、差別することは、憲法の定める法の下の平等に違反するものであり、日本が批准している国連人権規約委員会からも、人権侵害であるから差別を撤廃するよう、98年再度勧告を受けています。
 
5 施行期日
この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から 施行するものとする。
公布から、一年以内に施行します。