民法改正に関する政策アンケート

mネットは、11自治体知事選挙の各候補者に、選択的夫婦別姓など、民法改正問題や男女共同参画に関する政策見解をたずねる公開アンケートを行いました。その結果は以下のとおりです。

アンケート送付日:2003年3月25日〜29日

アンケート送付数:46(男 、女 )

アンケート回答数:27(男21、女6)

回 答 率 :58.7%

アンケート内容:

民法改正に関するアンケート

以下の項目について、該当のものを選択又はご記入ください。

1     民法(婚姻・親子関係などに関する事項)を改正すべきだと考えますか。

*   考えている

*   考えていない

2      以下の事項で改正すべきだと考えるものを選んでください。

*   婚姻年齢を男女とも18歳にする

*   選択的夫婦別姓制の導入

*   非嫡出子の相続が嫡出子の2分の1と規定されている条項の廃止

*   再婚禁止期間を現行の180日を短縮する(法制審案は100日)

3      2に書いてある事柄以外に民法の中で改正すべき点があれば教えてください。

4  法改正や男女共同参画社会づくりに関するご意見などありましたらご記入下さい。
 
 


 

 

 

アンケート結果:

都道府県

候補者情報

1

2

3

4

名前

性別

年齢

公認・

推薦

民法改正をすべきか

1:婚姻年齢18歳

2:選択的夫婦別姓制導入

3:婚外子差別撤廃

4:再婚禁止期間短縮

Q2以外に法改正すべき点

民法改正や女性政策に関するメッセージなど

北海道

酒井芳秀

58

 

     

 

男女共同参画社会づくりの意図が故意に歪められ、「ジェンダーフリー」の名のもとに極端な動きが学校現場をはじめ、一般社会にも広がる気配があるのはきわめて遺憾。

若山俊六

64

共産

 

 

実質的に両性の平等を図るよう、さまざまな社会的諸条件を整備するため、積極的に取り組みたい。

伊東秀子

59

 

     

身分法の抜本的な改正

家族法に於いては、男女共同参画社会に適合する法律の改正が必要。

山田得生

   

 

   

子のことでいろいろある、大事なこと

上野憲正

58

 

   

夫婦の財産権には妻の寄与分を認めるべき。離婚の際、妻に分与される財産が低いことは問題。

改正均等法が施行されて4年経つが、男女の雇用機会はいまだ均等でない。性差に関わらず能力に合わせて適材適所で登用していきたい。

岩手

菅原則勝

45

共産

協議離婚時に父又は母と子の面会権、養育費分担の取り決めを明文化A離婚時の財産分与は夫婦の財産形成への清戸違いが明らかでない場合はそれぞれ2分の1とすることを明文化

選択的夫婦別姓はすぐ導入すべきである

東京

若林義春

52

共産

協議離婚時に父又は母と子の面会権、養育費分担の取り決めを明文化A離婚時の財産分与は夫婦の財産形成への清戸違いが明らかでない場合はそれぞれ2分の1とすることを明文化

結婚は「個人の尊厳と両性の本質的平等」(憲法24条)の上に成り立つと考え、現実政治の中で生かしたい。一人一人の個性がかがやく、真の男女平等社会をめざして、民法改正の早期実現に向けてがんばりたい。

石原慎太郎

70

 

無回答(*選挙後に到着)

ドクター・中松

74

 

   

樋口恵子

70

民、社、

み、ネ、

一定年齢以上の子の氏の選択権の明記

東京都女性問題協議会会長として男女平等参画条例案骨子を石原知事に提出したが、それらが石原都政の元でないがしろにされつつあることを、どうしても阻止したい。

神奈川

飛鳥田一朗

56

 

 

 

@各分野でクオータ制の導入A事業活動の情報公開B競争入札に男女共同参画に関する用件を加える

宝田良一

55

自、公、

   

   

時代の推移とともに見直す目をもつことは必要。

男女共同参画社会基本法の理念にのっとり、積極的に対応していく。

松沢成文

45

 

反対

検討が必要

 

@雇用平等の推進A配偶者等からの暴力対策強化B男女平等のための民法改正が必要であれば問題定義を行う

吉村成子

49

共産

協議離婚時に父又は母と子の面会権、養育費分担の取り決めを明文化A離婚時の財産分与は夫婦の財産形成への清戸違いが明らかでない場合はそれぞれ2分の1とすることを明文化

労働現場における男女差別が放置されたままでは、男女が共同で家族的背金・役割をになえないままとなり、男女共同参画も実現しないため、早急な改善が必要。

山本節子

54

 

人権にかかる問題は具体的に解決すべき

各機関の構成は男女同数にすべき

田嶋陽子

62

 

   

福井

高木文堂

48

共産

国籍による差別をなくすべき

古い家父長制をひきずったまま、家族同姓であるべきとしていて、多様な生き方の障害になっている。出生に基づいた相続差別は人権後進国。時代の激変と価値観の多様化が進み、全体から個へ志向がシフトしている日本の現状に即していない。民法は速やかに現状に合わせて改正すべき。一人一人が性差や出生の前に一人の人間として自立し、互いを受け止めることが人権の尊重だ。市民の自発的な活動を支援していきたい。

山川知一郎

59

共産

 

選択的夫婦別姓制の導入は特に急ぐべき。同じ姓だけが頼りの家族ではない新しい家族像についての議論が広く行われる必要がある。

三重

鈴木 茂

75

共産

 

ILO勧告に基づいた男女の雇用均等。女子差別撤廃条約の選択議定書を直ちに批准。改正「育休法」の周知徹底。

島根

佐々木洋子

52

共産

協議離婚時に父又は母と子の面会権、養育費分担の取り決めを明文化A離婚時の財産分与は夫婦の財産形成への清戸違いが明らかでない場合はそれぞれ2分の1とすることを明文化

こどもの平等と権利が徹底されるよう民法改正が必要。県の男女共同参画推進条例を女性の地位行動をはかる実行あるものにするよう先頭にたちたい。

佐賀

福島是幸

63

 

協議離婚時に父又は母と子の面会権、養育費分担の取り決めを明文化A離婚時の財産分与は夫婦の財産形成への清戸違いが明らかでない場合はそれぞれ2分の1とすることを明文化

憲法24条が結婚は「個人の尊厳と両性の本質的平等」の上に成り立つことを保障し、子ども権利条約は「出生による差別を禁止している」ことから、男女平等、子どもの平等と権利が徹底されるよう民法を改正すべき。権でもそのために必要な事業を増やしたい。

古川 康

44

 

 

男女共同参画社会づくりを具体化するために、自治体での女性の登用に具体的な達成目標を立てて取り組む。

木下知己

55

 

 

 

 

社会の発展に女性の視点や考え方は不可欠です。法的な面でも女性の立場をサポートしたい。

宮原岩政

61

 

 

 

 

男女共同参画社会の実現に最善の努力をしたい。

樋口久俊

57

 

 

     

男女共同参画社会の実現は21世紀最重要課題であり、行政に於いても計画の策定を積極的に取り組むべき。

大分

吉良州司

45

 

 

@婚外子差別条項は生まれた結果の取り扱意図して廃止すべきA債務者に暑すぎる債権条項の改正。民事再生法は債務者に甘すぎる。

法の緩和によって生じるであろう新たな社会変化を考慮しながら、結果として生じている不合理を是正していくことが寛容。

 

24

14

22

19

20

   

mネット記事から(4月10日・第55号)

知事選挙 mネットが11自治体の知事選立候補者に民法改正アンケートを実施】

4月13日の都道府県知事選挙に向けて、mネットは北海道、岩手、東京、神奈川、福井、三重、鳥取、島根、福岡、佐賀、大分で立候補した46人に対し、選択的夫婦別姓など民法改正に関する政策見解を尋ねるアンケートを行いました。7日までに届いた回答数は26(男性20、女性6)でした。*その後、石原氏からの回答が加わり、総27(男性21、女性6)。

                                             

問いは、民法改正をすべきか、民法改正案4項目について改正すべきか、など4問。

民法改正について「すべき」と答えたのは25で、「すべきでない」は1。民法改正案4項目(@婚姻年齢は男女とも18歳とする、A選択的夫婦別姓制を導入する、B婚外子の相続分が2分の1とする規定は廃止するC女性の再婚禁止期間180日規定は短縮する)について改正すべきか尋ねたところ、Aについては最多の22、次いでCが20、Bは19、@は14が「改正すべき」と答えました。選択的夫婦別姓制については、「特に早急に」という意見が40代、50代の候補に目立ちました。

また、上記以外で改正すべき事柄について尋ねたところ、共産党系候補の多くが、「協議離婚時に父又は母と子の面会権・養育費分担の取り決めを明文化する、離婚時の財産分与は夫婦の財産形成への寄与度が明らかでない場合はそれぞれ2分の1と明文化する」という意見を挙げています。「結婚は『個人の尊厳と両性の本質的平等』(憲法第24条)の上に成り立つことが保障されることを徹底すべき」という意見もいくつかありました。

東京では若林、中松、樋口の三氏が4項目に「改正すべき」と答え(池田氏は辞退、石原氏は未回答)、若林氏は「一人一人の個性がかがやく真の男女平等社会づくり」を挙げ、樋口氏は「都女性問題協議会会長として石原知事に提出した男女平等参画条例案骨子などがないがしろにされつつあることを阻止したい」と意欲を述べました。

神奈川では、全4項目に「改正すべき」と答えたのは吉村、山本、田嶋の三氏でいずれも女性でした。飛鳥田氏は@以外の3項目に「改正すべき」、宝田氏はAのみ「改正すべき」、松沢氏は「改正すべきでない」と答えました(遠藤氏は辞退)。そのほか、飛鳥田・山本両氏はクオータ制(男女同数の構成)の導入を政策として挙げています。

佐賀は福島、古川、木下、宮原、樋口の五氏が「改正すべき」と答えました(林田氏は未回答)。福井では高木、山川両氏が全4項目に「改正すべき」と答え、いずれも家父長制を引きずったままの家族同姓にこだわる考え方を否定しています。高木氏の回答からは「互いを認め合う視点、人権を尊重する視点」を重視していることが伺えました。

これらの回答から、民法改正に賛成と答えた候補は、男女共同参画社会や子どもの平等と権利保障に関心が高く、多様化した社会に寛容であることが伺えました。