【男女共同参画基本計画に関する各政党の要望書;日本共産党】

 日本共産党は、12月09日、猪口大臣に対して申し入れ書を手渡しています。

日本共産党女性委員会 Women's Network(05/12/9;12/22最終更新);
 「女性差別の是正実効あるものに/男女共同参画担当相に申し入れ」

しんぶん赤旗(2005年12月10日);「女性差別の是正実効あるものに 担当相に共産党申し入れ」

日本共産党女性委員会 Women's Network;「男女共同参画基本計画改定に当たっての申し入れ」

内閣府特命担当(少子化・男女共同参画)大臣 猪口 邦子 殿

男女共同参画基本計画改定に当たっての申し入れ

2005年12月9日 日本共産党国会議員団男女平等推進委員会
日本共産党 女性委員会




 男女共同参画会議の答申「男女共同参画基本計画改定に当たっての基本的考え方」は、男女賃金格差でもパート労働者の処遇でも、働き方や育児休業取得率など仕事と家庭の両立をめぐる問題でも、家庭内暴力など人権をめぐる問題などどの分野でも改善がすすんでいないことを指摘し、「努力が必要」としています。男女共同参画基本計画の改定あたっては、こうした現状を是正する実効ある措置をとることが求められています。

男女共同参画基本計画改定にあたり、次の諸点を要望いたします。


1、働く女性への差別をなくす実効ある措置を講ずる

○ コース別雇用管理、妊娠・出産による差別の横行など企業による女性差別の是正のため男女雇用機会均等法改正をすすめること。その際、間接差別の禁止、妊娠・出産による不利益とり扱いの禁止、ポジティブ・アクションの推進、セクシャルハラスメント禁止、独立した救済機関の確立、罰則規定などを明記すること。

○ 改善されない男女賃金格差の解消にむけ、労働基準法に同一労働同一賃金をもりこむとともに、企業にたいして是正のための徹底した指導をおこなうこと。

○ パート、派遣など雇用形態による労働条件の差別をなくす措置をもりこむこと。最低賃金の引き上げ、違反への指導強化など、労働条件の改善のための措置をとること。そのためにパート労働法などの改正をおこなうこと。

○ 仕事と家庭の両立支援にむけ、時間外労働の上限規制、中小企業・零細企業で働く労働者・有期労働者・男性もとりやすい育児休業制度などの具体化をはかること。

○ 自営業・農業で働く女性たちの労働を認め、所得税法56条廃止にむけた調査、研究、検討に着手すること。


2、子育て環境の整備、くらしを守る

○ 妊娠中の検診への補助、出産一時金、産休中の所得保障の拡充など妊娠・出産にかかわる経済的負担の軽減をはかること。乳幼児医療費無料制度を国の制度とすること。小児救急体制の整備をすすめること。

○ 保育所整備計画による保育園の新増設、延長・夜間・病後保育の実施、運営費の増額をすすめること。学童保育の設置基準をつくり、予算を増額すること。

○ 母子家庭の生活支援をはかるため、削減された児童扶養手当を元に戻し、拡充すること、就労支援を抜本的に強化すること。父子家庭の実態把握をただちにすすめること。

○ 配偶者特別控除の廃止に続いて、検討・見直しの課題に掲げられている、配偶者控除の廃止を行わないこと。


3、女性の健康、権利の保障をする

○ 高額な費用がかかる不妊治療への保険適用の拡充、リンパ浮腫など乳がん・子宮がんの後遺症など女性特有の疾病・治療への保険適用をすすめること。性差医療の研究・促進を具体化すること。

○ 深刻な産婦人科医不足の解消をすすめること。女性医師が出産・育児しながら働ける環境の整備、診療報酬の改善などをおこなうこと。


4、女性の人権、暴力に関する施策の促進をはかる

○ 民法改正の法制審議会答申がだされて10年、選択的夫婦別姓の導入を政府が責任をもってすすめること。婚姻最低年齢や離婚後の再婚禁止期間など女性差別、非嫡出子の相続差別の廃止をはかること。

○ 夫婦間暴力はじめ家庭内暴力を防止するため実効ある措置を具体化すること。国と自治体による被害者支援センターの増設、相談員の増員と研修の充実、民間シェルターへの助成の充実、加害者更正についての調査研究・更正対策の確立、DVがおこった家庭の子どもへの心身のケアをはかること。

○ 人身売買禁止を徹底するとともに、婦人相談所の体制の拡充・民間シェルターへの援助・都道府県計画の策定など被害者保護と人権擁護の制度の確立をはかること。

○ 侵略戦争下での性的強制の被害者に対して、政府の責任による謝罪と個人補償を明確にし「従軍慰安婦」問題の解決をおこなうこと。


5、科学技術分野での女性の能力の発揮をすすめる

○ 答申の「女性研究者の採用機会等の確保及び勤務環境の充実」を計画で具体化し、大学・研究機関にたいし、出産・育児・介護期にある女性研究者の地位の保障を積極的にはたらきかけること。国公立大学が先頭にたってその実施をはかるよう指導をつよめること。

○ 研究者としての能力発揮と出産・育児・介護と両立できる環境の整備を計画的にすすめること。雇用形態を問わず産休、育児介護休業がとれるようにする、研究施設内託児施設の設置と整備・運営費補助などをおこなうこと。


6、日本の女性の地位を世界の水準にたかめる

○ 女性の政治的経済的地位を示す国際的指標(GEM)は昨年の38位から43位へと後退するなど、あまりに低い地位をたかめるうえでも、ILOのパート条約や母性保護条約の批准、女性差別撤廃条約選択議定書の早期批准をはかるなど、女性差別廃条約の締約国として責任をはたすこと。

以上