* ドイツ鉄道 〜開かないドアについて〜
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ドイツの電車に乗っていると、日本では考えられないような体験をすることがある。 それは、電車に乗るときから始まる。
ドイツ列車のドアの一部は時々壊れていて駅に着いても開かないことがある。
”このドアは壊れているので開きません”と書かれた黄色い紙が、親切に貼ってある場合もあるが、そうでない時もある。
地下鉄(Sバーン、Uバーン)のドアは自動だから、自分が乗ろうとしているドアが開かなければ隣のドアにいけば済むことだ。まぁまれに、ドアが連続して3つくらい故障していることもあるけど。
しかし、都市間を走る急行列車のドアは、ドアについているレバーを上から下へ180度半回転させ、グッと押して自分で開けなければならない。これにはちょっとした力と要領が必要だ。だから、ドアが故障しているかどうかは、駅に着いて自分で開けてみないと分からない。
たとえ電車に乗るとき、故障していないドアから乗ったとしても、開いている席を求めて車両をさまようから、降りるときのドアが故障していないという保障は、ここドイツではない。
その上、急行列車のドアは車両と車両の間にしかないのでドアが故障していたら隣の車両のドアまで行かないと下車することが出来ないのである。 やれやれ。
まだドイツに住み始めて間もない頃、私はこういうドイツ列車事情を知らなかった。
たしか夜の10時頃フラメンコのレッスンの帰りに、降りたかった駅で、故障して開くはずのないドアを一生懸命開けようと格闘している間に、電車が発車してしまって降りられなかった、という苦い経験をしたことがある。
考えてみると、今まで誰かが必ずいてその誰かがドアを開けていたので、私は自分でドアを開けたことがなかったのだ。
その時は、周りに誰一人おらず、始めて開けようとしたドアはたまたま運悪く壊れていた、という訳だ。
こんなこと、日本人の誰が想像できます?本当に、もう、信じられない話だ。
逆に考えてみると、なんで日本の電車のドアは故障していないんだろう? もしドアが壊れていたら、きっと苦情が殺到して、整備担当者とその上司が減給になるからかな?誰か教えて下さい。
22.09.1999
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