
77. スペインのタクシー
数年前、最初の留学でマドリッドの空港から市内の
ホテルまで、初めて一人でタクシーに乗った時のこ
と。その時のことはよく覚えていて、若い運転手が
親切にいろいろ話かけてくれて何だか親切な人だなぁ
という印象を受けた。空港からホテルまで随分遠く
て、市内に入ると道が渋滞していて、「お昼はいつ
も混むから嫌になる。」とタクシードライバーがぼ
やいていた。ホテルについた時、メーターは4500
ペセタを超えていて、5000ペセタを要求された。
空港税がどうたらとか言っていて、よく分からなかっ
たし、早くホテルにチェックインしたかったので、
素直に5000ペセタを払った。もうお気付きの方も
おられるだろうけど、これは正真正銘のぼったくり
だった。その当時の相場は2000ペセタちょっとだっ
たので、かなり遠回りされたんだろうと、ホームス
テイ先の人に言われた。
でも注意していても、どんな道を通るのかは知らな
いし、これはこれでしょうがなかったとあっさり諦
めた。
ただ、それからタクシーに乗る時はかなり気を付け
て、マドリッド市内の道を覚えるようにした。稽古
で忙しいと、地下鉄やバスで移動するより、タクシー
の方が早いし楽なので、時間がないときの移動には
タクシーをよく利用したが、たぶん最初の頃は遠回
りをされていたと思う。何度も乗っていると、良心
的な人は近道を通ってくれるから、それが分かるの
だ。本当にひどい人達だ!と腹が立つ。
ある時は、おつりをごまかされた。確かおつりの
3000ペセタを3000リラで渡されたのだ。まだス
ペインに慣れていなかったので、ペセタとリラの違
いを把握しておらず、こういうお札もあるんだと素
直に受け取ってしまった。後でこのお金で買物しよ
うとしたら、これはイタリアリラだから使えないと
言われ、その時に初めて気付いたのだ。3000リラ
は約20円だから、2000円以上だまされたことにな
る。してやられたり。きっと相手はバカな日本人だ
と笑っているのかと思うと、本当に悔しい。
話はまだ尽きない。昨年セビージャの駅から市内の
ホテルまでタクシーに乗った時のこと。タクシーに
乗るといつもメーターがちゃんと動いているか確認
しているが、この日とんでもない光景を目にしたの
だ。ホテルに近付いてきたのでメーターをじっと見
ていたら、765(くらい)ペセタと表示されていた
のに、ホテルについて運転手が左のボタンを押すと、
メーターの価に1000が追加されて、1765ペセタ
と表示されたのだ。私はすかさず抗議した。
「ちょっと、今のボタンは何?何で1000ペセタが
追加されるわけ?ちゃんと見ていたのよ、説明しな
さいよ!」
私がまくし立てると、運転手はびっくりして言い訳
を始めた。
「いっいや〜その〜何でこんなことになるのか僕に
もよく分からないんだ。たぶん機械が故障したんじゃ
ないかな?」
まさか私がスペイン語でこんなことを言うなんて夢
にも思わなかったんだろう。かなり焦って
「この機械は時々おかしくなるんで困りますわぁ。
セニョーラ、もちろん料金は765ペセタですから。」
と、弁解してきた。私がスペイン語を知らない、
もしくはこのことに気付かなければ、1765ペセタ
を払っていたんだと思うと、またまた腹が立つので
あった。
スペインでは気をつけよう、タクシーのぼったくりに。
2002.05.18.
|