
プロを目指して頑張っていた友達が、突然プロに
なる道を断念した、と告白した。これにはびっく
りした。彼女はフルタイムで働きながら、必要と
あらば仕事が終わってから夜中にレッスンをする
くらい、本当に頑張って練習をしていたからだ。
あんなに頑張っていたのに、どうして?と聞いた。
「もう精神的にも肉体的にも疲れたの。家庭の事
情もあってね。」彼女のこの言葉に胸がつまった。
その気持ちがよく分かるから。仕事をしながらフラ
メンコ舞踊家を目指すのは、体力的にも精神的に
もかなりつらいものがある。両立できる期間はそ
んなに長くはできない。身体が壊れる前に、どち
らかに比重を傾けるか、どちらかを選択しなけれ
ばいけなくなってくる。収入の安定している仕事を
選ぶか、夢のあるしかし将来の約束がされていない
舞踊家の道を選ぶか、二つに一つだ。そして彼女は、
仕事を選んだ。家庭の事情がからんでくると、自分
の好きな道を進むのは難しくなってくる。
彼女は最後にこうつぶやいた。
「プロになるそれなりの覚悟はしていたつもり
だったけど、結局その覚悟が足りなかったから
こういう結果になったんだと思うの。」
私から見れば、彼女は十分頑張っていた。プロに
なる厳しさを身じかに感じ、何とも言えず、気持ち
が沈んでしまった。
唯一の心の救いは、彼女がまた趣味でフラメンコ
を続けるという意志を聞いたことだ。
プロになる覚悟、そう生半可な気持ちでは
成し得ない遠い道のり。。。
私もその内、どちらかの道を選択しなければいけな
い時がやってくるだろう。デザインの仕事か、舞踊
家の道のいずれかを。
2001.02.09.
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