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大阪では研究生レベルの人がタブラオで踊れる機会はほ
とんどない。そうと分かっていても、もしかしたら突然
声がかかるかもしれないというわずかな希望を頼りに、
今日も稽古に励んでいる。私は発表会や公演が間近にな
くても、クラスレッスン以外に自習レッスンを週3回は
する。仕事が忙しくて自習ができないと、身体は鈍るし、
タコンの音が浮いてくる。やはりコンスタントに練習し
ないとコンディションが整わない。東京の美香先生に、
いつでも踊れるようにコンディションを整えておくこと、
と言われていたので、それを忠実に守った。そして月に
2回くらい、いろんなギタリストに来てもらって、美香
先生に振り付けてもらったティエントの踊り込みの練習
をしたり、フラメンコの曲の構正を教えてもらったりし
た。このティエントの振り付けはとても難しくて、何度
練習しても満足に踊れない。それを半年も続けていたら、
いつも使わせていただいてるスタジオのオーナーに
「また公演でもあるんですか?」と聞かれた。
「いえ、今は特にありません。練習しないと上達しない
ので。。」とだけ答えた。よほど私の踊りが気になった
らしく、ある時練習していたら、「どんな練習をしてい
るのか見せて下さいよ。」とスタジオのオーナーが覗き
に来られた。本当は断わろうと思ったけど、いつも気に
かけてもらっているし、その時たまたまギタリストがい
たので、いつも練習しているティエントを踊ってみた。
そしたら、運命の女神が私に微笑んだのだ!
「もう踊りは完成してるじゃありませんか。これだけ踊
れるのなら、うちでライブでもしたらどうです?客はよ
んであげますよ。」
こんなに早くチャンスが訪れるとは思わなかったし、自
分でライブをするなんて考えたこともなかったので、不
安になってその日はお断りしてしまった。 帰ってから、
一晩悩んだ。せっかく訪れたチャンスを断わるなんて自
分自身に腹が立った。このチャンスをのがしたら、次い
つ来るかわからないじゃないか。一人でライブをする自
信はないけど、同じ志を持つ人と数人でやってみるのは
どうだろ?クワドロ形式で、パルマもちゃんと叩けるよ
うにエンサージョ(準備)をたくさんしてみたらどうだ
ろう?でも私は大阪に引っ越してきてまだ1年ちょっと
だったので、同じ志を持つフラメンコ友達はいない。。。
次の日、スタジオのオーナーに電話で相談にのってもらっ
た。ライブをしたい旨と、一緒にライブをしてくれる人
を何人か紹介して欲しいことを話した。オーナーは私の
頼みを快く引き受けてくれて、同じ志を持つ何人かの人
に打診をしてくれた。
結局いろんな人と交渉した結果、3人の踊り手と一緒に
ライブをすることになった。私にとっては、大きな前進
である。
一生懸命がんばれば、必ず道は開けるものなのだ。
2000.11.07.
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