ショコラ



エンディングロール


                                              
総合点カメラ 娯楽性 感動度 音 楽 キャスト
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最初のシーンは空からのバードアイで、まるで絵に書いたような(本当に特撮??) フランスの小さな街でこの寓意に満ちた物語は始まります。(上のカットがそれです。)

テーマは保守的な街の因習に縛られた考えと、自由で素直で優しい考えとがまるでカカオと蜂蜜が溶け合うように 何時しか融合していく、そんな感じを受けました。

私は甘党ですからショコラ大好きです。そんな私にとって今まで一番美味しかったのはスイスのツエルマットの 小さなショコラ屋さんで買ったトリュフでした。スイスを始めヨーロッパ各地には本当にショコラ専門店が 沢山ありますよね。行く先々で食べては、あれこれ美味いの不味いのとホザイテいます。
                                            
ヒロインのジュリエット・ビノシュはイングリッシュペイシェント以来です。今回は適役だったと思います。 それとヒーローのジョニー・デップはジーザースハンドの彼とは見間違うばかりのハンサムでしたネ。

この二人に共通の役どころは『流浪の民』です。本当にヨーロッパの各地には今でもジプシーと呼ばれる 人たちが多いです。中には貧しく、引ったくりや置き引きなどを常としている人達がいるのも一方の事実です。 物語は今では無い昔ですから、今以上に偏見があったろう社会構造も良く理解できます。 日本でも同様のことはありました。そしてまだ一部にはその様な偏見もまだ存在します。 この映画はそんなものを笑い飛ばさずにはいられない寓意に満ち溢れています。
                                            
今回ヒロインの娘役のヴィクトワール・ティヴィソルは弱冠4歳でベネチア映画祭で主演女優賞に輝いた『ポネット』の ヒロインを演じたと言うから凄いです。私は今回はじめて見ましたが確かにヒロインと同じ匂いを感ずることの出来る役を 見事に演じていました。多分彼女の祖母の骨壷であろう器を誤って壊したときに見せたあの哀しさは自分と母と祖母とを繋ぐ 命の絆とこれから訪れる未知なる運命を甘受する意思を見事に演じていたように見たのは、私のひとりよがりだったのでしょうか。 これからが楽しみな女優さんに育って欲しいと思います。
                                            
さて今回の映画も脇役たちの豊富なキャラクターとその演技を堪能できて満足でした。 敵役のレノ伯爵を演じた『アルフレッド・モリーナ』の写真を割愛したのでファンの方 は怒っているかもしれませんが、御容赦ください。私が特筆したいのは老女アルマンドを演じた『ジュディ・デンチ』です。 数々の映画でおなじみの偉大な女優に敬意を表したいですね。今回も実に良い。年寄りは保守的という概念を払拭した 自由なお婆さん役をユーモラスに哀しく演じていました。圧巻でした。また彼女の孫役の少年も良かったです。
                                            
それともう一人特筆したいバイプレーヤーは街の因習に馴染めずみんなから頭のおかしな女と噂されるジョゼフィーヌ役の『レナ・オリン』は実に良い、いい役を作っていましたね。 最初の頃のオドオドした演技から後半の自信と輝きに満ちた役柄を確かに演じていました。役柄とはいえ、あのどうしようもない亭主に同情すら感じてしまう程、彼女が変わったのは やはり自由という風が彼女の中に吹いたからなのでしょうか。