おにゆりの夏
905 :おにゆりの夏 :04/08/14 03:57
ねっとりと濃い夕暮れの空気を凝らせたような、強い芳香を放つ茜色の花。
素直に愛でることを拒絶するようなどぎつい黒い斑点。
焦げるほどあこがれる懐かしさと、センチメンタルな思い入れをよしとしない強烈な個性をもつこの花を、
あの名前しか知らない少女にあげよう。おにゆり、君の花だ。れいな。

906 :おにゆりの夏 :04/08/14 03:57
避暑地のはずれをぐるりと囲む散歩道を外れて、潅木をこぎ分けるようにして進むと、
風通しのよい南向きの斜面にでる。一本、程よい木陰を提供する大木があって、それが僕のお気に入りだった。
誰にも邪魔されずに、本を読んだりぼんやり時間を過ごすことができる。
小うるさいいとこ達の相手を逃れて、幻想的な小説を読む楽しさは何にも代えがたかった。
折りたたみのちいさなイスと、虫除けの樟脳香に、虫眼鏡、登山用の小さな折りたたみナイフ。
水筒に詰めた檸檬水、文庫本を三冊ほどトートバッグに放り込んで、
僕の木の根元でまどろむような午後を過ごすのが、この土地にいる間の僕の日課だった。
夏がやってきて、僕は前年と同じように木の下に立った。
大きな倒木が横たわるこの斜面は、あの大木以外ぽっかりと木がなく、夏草が生い茂っている。
その日、僕のお決まりの位置のちょうど目と鼻の先に、大輪のおにゆりが咲いていた。
イスを出していつものように本を広げると、僕の鼻を強い芳香がくすぐった。
一年ぶりの空気が懐かしくて、僕は深呼吸した。

907 :おにゆりの夏 :04/08/14 03:58
ふうっと息を吐ききった瞬間、どさっと音を立てて、上からの衝撃が僕を襲った。
「きゃあ!」
僕のほうは声も出ない。落ちてきたのは、小生意気な顔をしたコドモだった。
「いったぁ…。あんたは? 大丈夫?」
コドモは僕の背中に着地してから転げ落ち、地べたに座り込んだままの姿勢で僕の顔を覗き込んだ。
大丈夫とか何とかそう言う問題じゃない。喉から心臓が飛び出しそうなほど激しい鼓動に見舞われた。
「ねえ? なんとかいってよ」
落ち着け、落ち着け心臓。全く把握できない状況に、頭はパニックを起こしている。
さまよわせた視線の先で、無残につぶれているおにゆりをみて、ようやく僕の精神は現実に復帰した。
「つぶれちゃったじゃないか、おまえのせいで」
僕の指差す方向を見て、コドモは顔を曇らせ、あわてて立ち上がった。
膝の下敷きになってぐちゃぐちゃになったオレンジの花弁を指先でそっと摘み上げた。
「このコは大丈夫じゃなかったね。すまないことした」
そっと、根元から倒れたおにゆりをとなりの草に立てかけるように直して、おにゆりに手を合わせた。
「ごめんね。…で、あんたは?」
言われて、僕も立ち上がって手で膝を払いつつ全身を確かめてみた。
「何もないよ」
「良かった」
口角をくいっと引っ張るようなクセのある笑い方で、コドモは微笑んだ。
「私はれいな。あんたは?」
女の子だったのか。
腕も足も細長くて、ショートパンツにタンクトップの姿は男の子にしか見えなかった。
初対面のやつにあんた呼ばわりされる筋合いはない。だいたい、こういうなれなれしい手合いは苦手だ。
なのに、なぜか自然に名乗っていた。
印象的な出会いだった。

908 :おにゆりの夏 :04/08/14 03:59
れいなは、僕より二つ年下の中学生だった。
これは、ちょっと意外だった。中学生ともなれば、
もうちょっとそれなりに出るとこ出ててもいいんじゃないか?
もっとも、そんなことは言わなかった。
年の差が分かったところでれいなの生意気な態度は一切変わらなかった。
「誰も来るはずないと思って、木の上で景色を見てたんだ。
 れいなの秘密の場所のはずなのに、何であんたここを知ってるの?」
僕はふんっと鼻であしらった。
「それはこっちの言い分だよ。僕は去年もおととしも、この土地に来ている間中ここに通ってたんだ」
「ああ、なんだ。れいなはここ来るの今年が初めてだから。
 でも、先週からいて、今年先にここをとったのはれいなだよ」
唇を尖らせるようにして理不尽なことを言い募る。
「とるとかとらないとか、そう言う問題じゃないだろ」
「そうだけどさ、周りがうるさくて、一人になりたくてここに来たんだから」
「それだって、こっちの言い分だよ」
いとこ達とこんな会話をしたら、むかっ腹がたってどうしようもなくなるはずなのに、
なぜかこの少女とはこんな口ゲンカめいたやり取りが楽しかった。
「イス持ってきてるってことは、木の下にいるつもりだったんでしょ」
「そうだけど、何か?」
「じゃあ、れいなが木の上。あんたが木の下。これで解決じゃん」
れいなはにひひっと笑った。猫みたいな顔になる。
「いいけど、邪魔すんなよ」
「あんたこそね」
小生意気な口調で言い捨てると、れいなは一番下の枝に手をかけた。
みるみるうちに、器用に枝をつかんで足をかけ、よじ登っていく。
安定のよさそうな太い枝まで到達して、れいなは胸をそらすようにして彼方の景色を眺めた。
「きもちいー!」
本当に気持ちよさそうで、僕はついくすっと笑ってしまった。
と、れいなはその声に反応し僕のほうを省みて、毒づいた。
「ズボンの中とか覗かないでよね、にやにやしてヤラシー」
「だれもおまえみたいなお子様のパンツなんか見てないよ、バカ」

909 :おにゆりの夏 :04/08/14 04:00
僕は持ってきた本を読み、れいなは歌を歌ったり、ブリキの縦笛を吹いたり、
メモ帳になにか書き付けたりしていた。
午後の時間はゆっくり、ゆっくりと過ぎていった。
ふと、れいなは声をかけてきた。
「ねえ、ハッカと蜂蜜、どっちが好き?」
「ハッカ」
「じゃあ、黒砂糖とハッカだったら?」
「ハッカ」
「ふーん」
そして何事もなかったかのようにまた歌いはじめた。
澄んだ、甘い声だった。
そんなれいなの様子に、僕もなんとなく読書に戻る。
そうしてしばらく一人の時間が流れる。
ふいに肩にこつんと何かがぶつかった。
地面に落ちたそれを拾ってみると、薄紙につつまれたミントキャンディだった。
「ハッカ?」
「やるよ」
こっちを見下ろしてにんまり笑っている。そうしていると、まるっきりアリスのチェシャ猫だ。
口に含んだキャンディらしきもので、かたほっぺがふくれている。
逆光につつまれた柔らかそうな毛先がつんつんと跳ねて、その小さな顔を縁取っていた。
美人というより、愛嬌のある顔だな。
「あめ終わったら降りてこいよ」
「なんでよ」
こんどは両ほっぺをふくらましたれいなに、バッグからとりだした水筒を振って見せた。
「のど渇いただろ」
「やった!」
ぱっと笑顔になった。

910 :おにゆりの夏 :04/08/14 04:01
虫除けの香とおにゆりの香りがないまざった空間で、ミントキャンディのせいで必要以上に喉に冷たい
ほんのりと甘い檸檬水を飲みながら、れいなと話をした。
たわいもない話だ。
「何読んでたの」
「稲垣足穂」
「知らん」
「ああそう」
「ツクツクボーシとカナカナ、どっちが好き」
「どっちもそんなに好きじゃない」
「れいなはカナカナが好き」
「ふうん」
「どこから来たの」
「散歩道の始まる公園の向かいの別荘」
「ふうん」
「れいなは?」
「言わない」
「そう」
「公園の向かいって、デッキのある二階建ての別荘だよね、いいとこ?」
「うるさいいとこ達がいるから大して居心地はよくない」
「いとこ、女の子?」
「そう」
「女の子嫌い?」
「うるさくなければ嫌いじゃない」
「へえ。れいなは?」
「別に嫌いじゃないよ」
「ああそう、良かった。昨日の夕ご飯なんだった?」
こんな調子だ。

911 :おにゆりの夏 :04/08/14 04:02
そのうち、長い日も傾いてきて、僕は腕時計を眺めた。
そろそろ、別荘に戻らないといけない時間だ。
れいなにそういうと、彼女はあっさり手を振った。
「また明日ね」

912 :おにゆりの夏 :04/08/14 04:02
れいなとは、それから毎日、大木で出会った。
淡々といろいろなことを話し、話しつかれるとそれぞれ自分の事をした。
色々なことを話したと言っても、れいなはほとんど自分のことを語らなかった。
秘密にしたいことがたくさんあるようだった。自分の素性、別荘の場所、
現実の生活のもろもろ。別にそういったことは僕にも興味はなかった。
そのかわり、れいなは自分の好みについては熱心に語った。
歌のこと、キャンディのこと、楽器のこと、景色のこと。
僕は、れいなが問うままに色々なことをしゃべった。
現実のことも、好みのことも。
そういう会話は楽しかった。れいなはずけずけと生意気だったが、
僕の趣味を批判することは一切なかった。

913 :おにゆりの夏 :04/08/14 04:03
「この斜面の下に、池があるんだよ」
れいなは得意げに言った。
僕はここで満足していたが、れいなはさらに降りていって探検したらしい。
その日は、さっそく池を見に行くことにした。
「こっち」
れいなはずんずんと斜面を下って、振り返りもせずに潅木を漕いでいく。
小柄なれいなは、ほとんど藪に埋もれてしまいそうだった。
そうしてしばらく雑木林を歩いていくと、不意に視界が開けた。
深い碧の池が、ぽっかりとそこにあった。
池の周りをびっしりとおにゆりの群落が囲んでいた。
僕は息を呑んだ。
「正真正銘、れいなの秘密の場所だったところだよ。
 あんたにも教えてあげる、でも、これ、絶対二人だけの秘密ね」
れいなは僕を振り返って笑った。
であってもう一週間がたっていた。僕らはその間に、ずいぶん親密になっていた。
「ここ、満月の夜は月が水面に写るんだよ。ユメのように綺麗なところ」
れいなはしゃがみこんで足元の草をちぎりながら、独り言のようにつぶやいた。
「一週間楽しかった」
「ああ、楽しかった」
僕も独り言のように相槌を打った。
「もう行かなくちゃ」
れいなは立ち上がった。
「もう?」
「しばらく、来れないよ」
そういい残して、きびすを返した。
追おうとした僕に、顔をしかめてこう言った。
「10分、そこにいて。どっちに帰るかとか知られたくない」
その言葉のあまりの厳しさ、重さに僕は立ち尽くした。
れいなはかもしかのようなすばやさであっというまに木立に姿を消した。

914 :おにゆりの夏 :04/08/14 04:03
その次の日、れいなは木のもとに現れなかった。
その次の日、その次の日も、僕はバカみたいにまちぼうけを食わされた。
一人でいることが、こんなにも長く退屈だったなんて。
れいなのせいで、すっかり変わってしまった。
無性に腹が立った。
だが、現実の彼女のことを僕は一切知らなかった。
なんだか、化け猫に化かされたような気分だった。
僕はその次の日、木のもとに行くのをやめた。

915 :おにゆりの夏 :04/08/14 04:04
れいなが消えてから一週間がたった。
僕は小うるさいいとこを適当にあしらいながら、
読みたくもない新聞を隅から隅まで眺めていた。
普段だったら決して見ない、小さな記事や広告まで丹念に読んでいく。
新聞を読んでいれば、いとこの相手をしない口実になるからだ。
そうしているうち、ある囲みに目が止まった。
潮見表。
何気なく見逃してしまいそうな、毎日載っているその記事が、
特別僕の目を引いたのは、それによると今夜が満月だったからだ。

916 :おにゆりの夏 :04/08/14 04:04
れいなにたいする腹立ちも、一週間の間にぼんやりと輪郭を失って、
正直彼女の顔さえほとんど忘れかけていた。
あれは夢だったのではないかとさえ思えてきていた。
僕は、夜ふけすぎ、別荘の住人が寝静まったのを見計らって
こっそり外に出た。
眠れないから、散歩するだけだ。そう自分に言い聞かせながら。

足は、自然に散歩道を外れ、藪をこいで到達した斜面をくだり、
あの池へと向かっていた。
藪の中でも、むせ返るようなおにゆりの香りが漂ってくる。
枝の間から、青い光に沈んだ池が見えてきた。
ふいに、水音が聞こえた気がして、僕は足を止めた。
ぱしゃん。
たしかに聞こえる。
枝をすかして目を凝らした。
白く月光をはじくものが動いていた。
れいなだった。

917 :おにゆりの夏 :04/08/14 04:05
れいなは生まれたままの姿で、ゆっくり泳いだり、水を跳ね上げて遊んだりしていた。
白い肌に、いくつもの水玉がすべって、まるで真珠のようだった。
体は、女らしい曲線と少年のような細い手足の絶妙なバランスを描いていた。
僕は、吸い込まれるようにしてやぶを掻き分け、池のほとりに立った。
その音に、れいなはこちらを振り返った。
「やっぱり、来たね」
かげりのない笑顔で微笑んだ。
「気持ちいいよ、泳いだら?」
「ああ」
僕もつられるようにして衣服を脱いだ。
池の水は冷たかった。
れいなは仰向けに水に浮かんでいた。顔と、わずかに膨らんだ胸と、太ももだけが水面から出ている。
僕も同じようにしてみた。
「月が青いな」
「そうでしょ」
ゆらゆらと頼りなく漂う感覚も心地よい。
れいなはぽつんとつぶやいた。
「男の子に生まれたかったな」
「そうなの?」
「女でいるってことは、あの月に支配されてるってことだよ。
 こうして月の光を浴びていると、自分が女だって思い知らされる」
れいなは立ち上がると、両手で胸を包むように持ち上げた。
親指で、桜色の乳首をそっと撫で、ため息をついた。
「見て。やっぱり、女なんだよ」
胸の膨らみもわずかで、下腹部のかげりも薄い。
だが、彼女の言うとおり、その体は女のものだった。
僕のものとはまるで違う。別の生き物を見ているようだ。
美しいと思った。その瞬間に、下腹部が熱くたぎるもので持ち上がった。

918 :おにゆりの夏 :04/08/14 04:05
れいなは僕の手を引っ張って立ち上がらせた。
勃起している僕を不思議そうに眺める。
「触ってみてもいい?」
「どうぞ」
れいなのひんやりした指先が撫でる感触に、僕はぞくりと震えた。
「熱い。男の子ってこうなんだ」
れいなはそっとつかんで、手を動かした。
自分以外の人間の手でこうされるのは初めてだった。
あっという間に到達しそうになって、僕はあわててれいなの手をつかんでやめさせた。
「こういうの、普通口に含んだり、なめたりするんでしょ」
僕を見上げて、あどけない笑顔で恐ろしいことを言う。
「どこでそんなこと知ったんだよ、普通するってもんでもないと思うけど?」
僕の答えを全く無視して、れいなはひざまずいたまま、僕の下腹部に顔を寄せた。
次の瞬間、僕は熱く湿ったものに包まれた。
れいなの舌が生き物のように這いまわる。
まるで宝物を扱うような、慎重なしぐさだった。
「れいな、ごめん、出る…!」
我慢できず、僕はれいなの口の中に射精した。
れいなは身を引こうともせず、吸うようにして精液を含んだ。
ごくん、と飲み下して、れいなは首をかしげた。
「ちょっと苦い。ねえ、気持ちいいの?」
「口の中にされるとか、呑むとか、イヤじゃないの?」
「れいなのが先よ。ねえ、気持ちいいの?」
僕は正直にうなずいた。
「気持ちいいよ。こんなこと初めてだけど。で、れいなは?」
「ワクワクしてる。全然イヤじゃないよ。男の子って、そういうの気持良いんだ」
れいなはまた僕のものを指先でいじっている。
不思議なことに、淫蕩な感じは全くしなかった。
この異様な場面のせいだったのかもしれない。
だが、僕のものは再びしっかりと勃起した。

919 :おにゆりの夏 :04/08/14 04:06
「れいなはどこでそんなこと知ったの? 口でするとか」
れいなは首をかしげた。
「公園とかに、雑誌捨ててあったりするじゃない。友達とかで拾ってこっそり見たり」
「どう思ったの?」
「女になるのがイヤになった。なるもんかって。でも、体って自然に育ってきちゃうじゃない?
 イヤとかいいとかじゃないんだよね」
「綺麗だと思うよ」
僕は正直に感想を言った。
「そうかなあ」
僕は脱ぎ捨てた衣服のポケットからナイフを取り出した。
おにゆりの花を茎ごと、両腕いっぱいに摘み取って、池のほとりに広げた。
「僕の番だよ。れいなの体を見せてよ」
れいなはうなずくと、池から上がっておにゆりのうえに座った。
肩はびっくりするほど細かった。
その肩をすっと撫でて、胸のふくらみの中央に触れた。
指先でつまんでみると、みるみる硬くとがってくる。
れいなはため息を漏らした。
「これ、気持ちいいの?」
「なんか変な感じ」
「変な?」
「むずむずするの」
閉じた膝をもぞもぞさせている。

920 :おにゆりの夏 :04/08/14 04:07
肩をそっと押して、仰向けにさせた。
れいなはされるがままに地面に横たわり、ぼんやりと月を見上げた。
膝をそっと開かせ、太ももを撫でた。
月の光に照らされたれいなの薄い茂みは、水浴びのせいでぴったり肌に張り付いていた。
すこしくすんだ、バラ色の性器は、まるで別の生き物が寄生しているみたいにそこにあった。
不連続な存在に感じられた。
ひだを押し分けるようにして、指の腹でそっと触れてみた。
そこは熱く、ぬるりとした液体でじっとり湿っていた。
バラのつぼみのような部分をリズミカルに指の腹で押してみると、
れいなはさっきのため息よりもすこし激しくあえいだ。
湿り気はさらに増してきて、れいなのそこはべとべとになった。
「ねえ、女の子見てどうなの?」
れいなはため息の下から言った。
「綺麗だよ」
「ほんとに?」
「ああ」
「さっきから、あそこがすごくむずむずするの」
「僕もだ」
「セックス、してみない?」
「ああ」

921 :おにゆりの夏 :04/08/14 04:07
僕はうなずいて、先端をれいなの中央にあてがった。
そっと押し込んでいく。れいなの顔が痛みをこらえるように歪んだ。
「痛い?」
「うん」
「やめる?」
「いや。ゆっくり、して」
僕はできるだけゆっくり進み、十分奥に入ったところで止まった。
「どんな感じ?」
れいなは口角を引っ張るようにして笑った。
「やっぱり、動くと痛い。でも、だんだん慣れてきた」
僕はつながったまま、れいなの乳首を口に含んだ。
片手で支え、もみながら、突起にそっと舌を這わせる。
れいなとつながった部分がさらに熱くなった。
僕はゆっくり体を前後させた。
れいなの顔が、痛みとは違うものに歪み始める。
構わず僕は動かしつづけた。
のけぞるようにれいなは一声あえいで、僕とつながったれいなの部分がびくんと痙攣した。
次の瞬間、僕は二度目の頂点を迎えた。
しばらくつながったままで、余韻を味わっていた。
月が晧々とあたりを照らしていた。
「ここのことは、二人だけの秘密だよ」
れいながつぶやいた。

922 :おにゆりの夏 :04/08/14 04:08
今年もまた、夏が巡って、去っていった。
おにゆりの花を見るたびに、その後二度と会うことのなかった少女を思い出す。
僕はもう決して、あの木やあの池に足を運ぶことはないだろう。
だが、おにゆりは、あの不思議な少女のものだ。
もう二度と会うことはない。
冬になって、ブラウン管の中に、彼女によく似た少女を見つけた。肢体は少年めいていたが、
どこかなまめかしい女らしさがあった。
名前も彼女と同じ、れいなだ。
ときおりテレビでみかけるその少女のことを、だが僕は知りたいとも思わなかった。


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