無人島からオメデトウ!
522 :無人島からオメデトウ! :04/06/25 01:33

え!?

「つまり…」

はぁ!?イヤですよ!

「いや…だから…頼むよ。」



…もぉ訳わからんたい!



あたしは田中れいな。アイドルです。

モーニングっ子。といえば少し前までは局のディレクターだって
プロデューサーだってヘコヘコするスーパーアイドル…

…だった。過去形ばい。
話題作りの卒業劇やメンバーの不祥事が相次ぎ、今じゃすっかり「あの人は今!」状態。
そんなあたしたちに「この企画で復活や!!間違いないでぇ〜!!」と飛び込んできたのがこの企画。



『モーニングっ子。世界であけおめ!!』

523 :無人島からオメデトウ! :04/06/25 01:35

訳わからんやろ?
どうやらメンバーが世界各国に飛んでいろんなところで「あけおめ!」って言うだけの企画みたいばい。
でも、コーナーとはいえ正月のゴールデンタイム。断るわけにもいかんやろ?
で、れいなには「無人島で真夏のあけおめ!」が割り振られたったい。

…まぁ愛ちゃんの「北極圏で寒〜いあけおめ!」よりはマシやけど…ねぇ。

しかも急遽決まった企画だから撮影は年末、12月25日に帰国する予定って!
クリスマスは?アイドルになって初めて夕方からオフだったのに!
これじゃせっかく生まれて初めての彼氏とのデートが…
この前やっとの思いで告白したジョニーズJrの彼氏とのデートがぁ…

524 :無人島からオメデトウ! :04/06/25 01:37
〜♪

あ!彼から電話ばい!もしもし?
「れいな?おれおれ。どーよ、元気ぃ?」
うん!あぁ声までかっこいい…ってあ!そうだ!実は…
「えぇ!?なんだよ〜!おれがスケジュール開けんのどれだけ大変かわかってんの〜?」
…ごめん。
「ったくこの前からせっかくこっちが開いてんのにコンサートだミュージカルだって、一回も遊べて無いじゃん!」
…仕事、だから…
「…ったく落ち目のアイドルと付き合うんじゃなかったよ!もうちょっとおもしれぇかと思ったけどなぁ?」
…え!?
「おまえもういいや!もう電話すんなよ!」
ブツッ!ツー…ツー…

…えぇぇぇ!?もしもし!?もしも…し…


あぁ…最悪ばい。いろんな意味で。
…もう…いいや。


…南半球の無人島でも北極でも…どこでも行くったい…。

614 :無人島からオメデトウ! :04/06/26 00:39

なんやかんやでここは南半球の聞いたことの無い島国。
…暑い。ホント暑かぁ…
しかもここから舟で2時間!…最悪ったい。

一緒にいるのがえらい若い同行ディレクターと通訳。
「ハヤク行クヨ!乗レ!」
…なんでキレ気味?…日本やったらぼてくりこかすばい!
「ほんとにゴメンね?ね?」
…それやったら連れてこなきゃよかばい…。


…あ〜ぁ。最悪の年末になりそうたい…。

615 :無人島からオメデトウ! :04/06/26 00:40

「舟で気持ちよさそうに海を見るシーン取りますね?はい!行きます!5・4・3…」
…って待った!ちょっと待った!それ何?
「?」
その手に持ってるものったい!何ねそれ!
「?…あぁ、デジカメですけど?」
はぁ!?いつかられいなは電波少年になったと!?
「いや…ごめんなさい…」

616 :無人島からオメデトウ! :04/06/26 00:41

あ、島が見えてきた。
なんだかんだ言ってもキレイなのはキレイったい。

「到着ネ!ナニカニ捕マッテルヨ!」

え!?舟が着くようなとこどこにもなかとよ?
…どんどん砂浜が近づいてくるんですけど…。

ズザァァァァァァ!!

きゃあぁぁぁぁぁ!!
ゴロゴロ…どさっ!

…痛っ…たぁ!

「捕マッテロ言ッタヨ!到着成功ダナ!」

…到着じゃなくて…上陸ったい…。
「さあ!荷物降ろしますんで休んでてください!どうですか?キレイでしょお?」
…なんか気ぃ使わしてるったい。
でもまぁいいや。そう言ってくれるなら休ませてもらいましょ。

618 :無人島からオメデトウ! :04/06/26 00:41

…ちゃぷん…

…キレイ…
確かにこんなにキレイな海見たの初めてばい…。



真っ白な砂浜…


コバルトブルーの海…


照りつける太陽…


押し寄せる波…


離れていく小船…


…?

619 :無人島からオメデトウ! :04/06/26 00:43


…え!?
ち、ちょっと!な、なんで舟行っちゃうの!?
「あれ?言ってませんでしたっけ?通訳の方は往復の舟を出してくれるだけですよ。」
ええ!?
「大丈夫!なんせ無人島ですから。海外ですけど言葉なんかいりませんから!」
ええええ!?
「テントも二つ持ってきてますから!こう見えてもボーイスカウトだったんですよ!」
ええええええ!?
「すぐにテント立てますね!あ、荷物たくさんあるんでれいなさんのテントにも荷物入れますから。じゃあ3日間お願いします!」

…二人っきり?…一応お年頃のアイドルなんですけど…。

「あ、晩ゴハンはテント立てたらすぐ作ります!ボーイスカウト仕込みのカレーですよ!」



…あぁ…日本に帰りたかぁ…。

873 :無人島からオメデトウ! :04/06/28 01:59

見たことも無い大きな夕日が海に沈んでいく。
波の音が心地良い…

「れいなさん!カレーできましたよ!」

…ガッカリばい…


あ、うまか!
「でしょ?」

874 :無人島からオメデトウ! :04/06/28 02:00

でもなんか撮らんでよかと?
「いいんですいいんです!でも明日からはばっちりいただきますよ!」
…どーもこの人のテンションにはついていけんばい…

とにかく今日は疲れたったい…
もう…眠かぁ。テント入るったい。

「ちょっと待って!あれ見てください!」


…!!
満天…の…星空!
こんなの見たことなかばい!

「でしょ?w」

…キレイ。手を伸ばせば届きそうったい…。

「これを見て欲しくて…この企画作ったようなもんだから…。」
?どういうこと?

「あ!い、いやなんでもないです!!あ、明日早いですから今日は寝ましょう!ね?」
??なんね?寝るなって言ったり寝ろって言ったり…やっぱりついて行けんばい…。

87 :無人島からオメデトウ! :04/06/29 23:40

…朝から暑い。

「ほら!朝ご飯食べたらすぐ出発しますよ!今日は『日本の皆さ〜ん!明けましておめでとうございま〜す』
って所のロケです!キレイですよ〜!楽しみだな〜!」

…気温じゃなか。この人のせいばい…。

88 :無人島からオメデトウ! :04/06/29 23:41

場面はいきなりやぶの中を突き進む愉快な二人の探検隊。

…こんなトコ行くって言ってなかったばい!すねが枝やら草やらで痛かろーもん!!
「あれ〜…ガイドブックには『道があるので安全に進めます』って書いてあルンダケド…」
はぁ!?道は道でもケモノ道ったい!明らかに人の通る道じゃなかたい!もぉおおおおお!
「ゴメンナサイ…あ、でももうすぐ、もうすぐですから!」
あんた1時間前にも「もうすぐ」って言っとったばい!もぉおおおあああああ!!
「…あんたって…アァ…ゴメンナサイ…」

89 :無人島からオメデトウ! :04/06/29 23:41

さらに突き進むぼくらの愉快な探検隊。

…。
(怒ってるなぁ…)
…まだ?
「え!?なんですか?」
…まだ着かんと?
「あ、あー…もう、もうちょっとです!」
…そう。
(なんだよこのガイドブック!!ヤバいなぁ…完全に怒ってるよぉ…)

90 :無人島からオメデトウ! :04/06/29 23:43

愉快な探検隊は大きな岩に行手をはばまれた!

・・・  行  き  止  ま  り   で  す  よ  ね 。

「い、いや!ここを登ったら目的地なんです!ホントです!」

・・・  登  る   ん  で   す  ね 。

「あ、は、はい!あ、お、お荷物お持ちします!」

 ・  ・  ・  。

「ほ、ホントにもうすぐですから!ホントですから〜!!」

92 :無人島からオメデトウ! :04/06/29 23:45

やっと愉快な探検隊は森を抜けて開けた岡の上に出た!

うわぁ…。

眼下に広がる森。

遠くを見れば海。地平線。

見上げれば空。太陽。

キ…レイ…。


「ハァハァ…で、でしょ?」
ホントにキレイばい!こんなにキレイな景色見たことなか!スゴイ!!
「ここで『あけおめ』ってやりますんで、機材出すまで待っててくださいね…っと。」

…キレイ。言葉が無いったい…。

「…この企画作って良かったぁ。見て欲しかったンダヨナァ…」
? なんか言ったと?

「あ、い、いや…なんでもナイデス…。」
? やかましかったり独り言多かったり変な人ばい。

…でも…ちょっと来て良かった…かも。

177 :無人島からオメデトウ! :04/07/01 00:15

その夜。
相変わらずの満天の星空。
いくつもいくつも流れ星が流れては消える…。

「はい、れいなさん。食後のコーヒーです。」

あ、ありがとう…ございます。

「どうでしたか?この島。」

…うん…うん!来て良かったかもしれんばい!
こんなにキレイな星空や昼間の景色は一度も見たことなかよ。
めったにできない経験ばい!明日帰るのがもったいなかよ〜w

それに…

「?」

178 :無人島からオメデトウ! :04/07/01 00:16

…それに、振られた彼のこともすっかり忘れられたばい!

「ほ…ホントですか!?よかったぁ…っていうか彼氏イタンダ…」
? なに?
「い、いや、なんでモナイデス…」
なんね!いつもいつも独り言ばっかりばい!
ディレクターさんなんだからもっと胸張ってシャキシャキ喋らんといかんばい!
ごにょごにょ言っとっても聞こえんとよ?
「は、はい!」
で、なんね?なんば言いおったと?
「いやぁ…あのぉ…」
にゃああああああああああ!!
「はぁい!!すみませぇん!!」

179 :無人島からオメデトウ! :04/07/01 00:17

「実は…ぼく、今回初めて企画から任されたんです…」
うん。で?
「だったら好きなことしてやろうと思ったわけです。」
…うん。で?
「この島のことはインターネットで知りまして。」
・・・う ん 。 そ れ で ?
「あ、ガイドブックはその後買いに行ったんですけど…」

あぁもぉ長かっ!!もっと手短に喋れんと!?
「すすすいません!!じつは!」

じつは?

180 :無人島からオメデトウ! :04/07/01 00:18

「じつはれいなさんの大ファンだったんです!!れいなさんと一緒にキレイな景色が見たかったんです!!」


!!



「そのためにはモーっ子。さんをバラバラにしなきゃって…それで、それでこの企画を作ったんです!」

…。

「…れいなさんと…一緒に見たくって…。」

…ディレクターさん…

「○○って呼んで下さい。れいなさん…」

○○さん…   この星空をれいなのために…

181 :無人島からオメデトウ! :04/07/01 00:20
それで…


そ ん な ・・・



そ ん な こ と で ・・・



…そ  ん  な  こ  と  で  れ  い  な  を
  こ  ん  な  無  茶  な  ロ  ケ  に
  連  れ  出  し  た  と  !?



あ 、 あ 、 アホかぁぁぁぁああああああsffinf97y49ukhytkms9damji!!!

そのせいでさゆは今頃万里の長城ばいっ!!
えりなんて二泊三日で四国巡礼させられとるばいっ!!
「はぅあ!ごごごごごごめんなさい!!」
ゴメンですめば警察いらんばいっ!!ゴルァあああああああ!!!
れいなの腰の入った右の拳が○○のレバーにヒットする!!
バギャアッ!!
「ごめn,uzn7/74w ,zioガハアッ!」



「あ ・ ・ ・ 流 れ 星 ・ ・ ・」

その夜薄れ行く意識のなかで○○の最後に見た景色は、美しい星空に流れる流れ星だったという…。

187 :無人島からオメデトウ! :04/07/01 00:33
〜 エピローグ 〜

う〜んやっぱり東京は寒かねぇ…。

あ、やぐっつぁんだ!オハヨーゴザイマース!

「あ、れいなオハヨ!焼けたね〜!」
はいっ!海と星!キレイでしたよぉw
やぐっつぁんはどこでしたっけ?
「ベトナム!こっちもキレイだったんだから!おいら一生いてもいいなって思ったもん!!」
へぇ〜。良かったとですねぇw

188 :無人島からオメデトウ! :04/07/01 00:34

「「…オハヨーゴザイマース…」」
あ、さゆ!えり!オハヨー!!

「…あ、れいなオハヨ…(クネ…)」
…ってどうしたと!?なんでうす江の衣装着とると!?

「…四国…良かったよ…」
あああああ!えりが壊れとるぅううう!さゆ!さゆは?

「我愛中国」
いやぁああああああ!!さゆまでぇえええ!!

189 :無人島からオメデトウ! :04/07/01 00:35
バタン!
あ、飯田さん!大変なんです!さゆとえりが…
「それどころじゃないわよ!」

「今回の企画…ちょっと!あんた説明しなさいよ!!」
「あ、す、スイマセン…」
!○○さんやなかと!?

「…実は…」



「…今回の企画…」

…?

「…ゴニョゴニョ…」

190 :無人島からオメデトウ! :04/07/01 00:36

なんね?

「ぼ、ボツになりました!!」


「「「「「はぁ!?」」」」」

「あ、あの尺が足りないって事で…」

全部!?

「…全部。あ、で、でも、あの、いい思い出になったってことで…ね?…ご…ゴメ…」

ゴメンですむかって言ったばいっ!!ゴルァあああああああ!!!
れいなの魂を乗せた左の拳が○○のテンプルにヒットする!!
ゴギャアッ!!
「ンナサi,kiui6rcvhki,jghcゴファッ!」


またまた意識が薄れ行く○○の脳裏に映ったのは…自分の愛する美しい人と行った…世界一の景色でした…。

『田中れいなですっ!見てくださいこの景色!!キレイでしょ〜w
こんなサイコーの場所に来れてれいなサイコーに幸せです!!では、
無人島から… あ け ま し て お め で と ー !!』



「 あ ぁ ・ ・ ・ キ レ イ だ な ぁ ・ ・ ・ 」

191 :無人島からオメデトウ! :04/07/01 00:37


_l ̄l○…完


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