MOONLIGHT SHADOWS
643 :MOONLIGHT SHADOWS :05/10/12 21:53 ID:7xglHHE10

れいながバスルームから上がって髪を乾かし、
南向きの二階の自室に上がってきたのはもう22時半を回っていた頃だった

つかの間の雲の切れ間からは月がぽっかりと顔を覗かせている。
れいなは部屋の明かりを消すと窓際にあるベッドに座って空を見上げた。
今日も月光が優しくれいなを包み込む。

こうやって月の光りを浴びながらぼーっとして今日あったいろいろなことを思い出しながら
物思いにふけるのがここ最近のれいなの楽しみだった。

644 :MOONLIGHT SHADOWS :05/10/12 21:53 ID:7xglHHE10

そもそもれいなが月光浴を始めたのは○○との会話がきっかけだった。

「知ってる?月ってさ、人体とかに影響を与えてるっていう話」

学校帰りにたまによるラーメン屋・龍力(ドラゴンフォース)
好物のとんこつラーメンをすすりながら○○と雑談したりするのだが、
大概は○○の雑学トリビア話であり、それを聞きながらラーメン食べるのが楽しみのひとつだった。

もっとも、たいていその話は右の右から入って
左の鼻から出ていくといった具合であまり頭に残らない。
○○もそのへんは心得ているようで、あまり気にもしていないようだった。

645 :MOONLIGHT SHADOWS :05/10/12 22:00 ID:7xglHHE10

「でさ、女の子って毎月来るじゃん、大変だよね。それに月が関わってるんですよ」

ふうんと相槌を打ちながらスープをすすると○○はさらに続けた。

「月は約28〜29日で地球の周りを回ってるんだけど、
これが女の子の日の周期とほぼ一致してるんだってよ。
あと貝の一種も月の満ち欠けで口開けたり閉めたりとか。
目に見えて直接的なのは潮の満ち干きだぁね。月が地球ごと海を引っ張ってる」

チャーシューをほおばると○○はさらに続ける。

「なんか月光浴とか心の癒しにいいんだって。そんでもってれいなってさそり座じゃん?
水の星座生まれは結構月の影響受けるから効果的らしい、って織部さんが言ってた」

織部さんとは○○の知り合いで、占いマニアである。
喫茶店「Non Nom」に勤めてる年齢不詳のお兄さんで趣味でお客のことを占ったりする
地元の女子高生にはわりかし評判は良いようだ

646 :MOONLIGHT SHADOWS :05/10/12 22:01 ID:7xglHHE10

よくわからないけどれいなはふぅんとうなずいた。

「まあ本当のところはわからんけど、地上から38万km離れてるのに
いろいろ影響を及ぼしてるっちゅーから不思議な話だわな」

そう言って○○は餃子を頬張った。

それからまた話題は別な方面へと飛び、放課後の楽しいひとときあっという間に過ぎていった。

647 :MOONLIGHT SHADOWS :05/10/12 22:02 ID:7xglHHE10

二人が勘定済ませて外に出るころには山の向こうに太陽が沈んでいた。
いつものごとく○○はれいなを送ると黄昏の中をチャリかっ飛ばして家に帰っていった。

それをしばらく見つめていた後、れいなはただいまと言って家に入っていった。
キッチンでは母親が夕食の用意をしており
「れいなご飯食べるー?」
と聞いてきたので
「ちょっと食べるー」
と返事をして二階の自室へと上がっていった。

648 :MOONLIGHT SHADOWS :05/10/12 22:03 ID:7xglHHE10

制服を脱いで下着姿になり姿見を見る。
最近だんだんとブラがきつくなってきてる実感があるのだが、
確かに鏡に映ったれいなのバストはボリュームを増してきているようだ。

実は本来Bカップのブラを着けるべきなのだが面倒だからとAカップのをそのま装着している。
だが最近は○○に付き合ってよく外食をするせいか、
あるいは高校生になって女性ホルモンの分泌が活発になってきたせいか、
全体的にふっくらと女性らしい体型になりつつあった。

もともと鶏ガラみたいに痩せていたからデヴってことはないのだが
れいな本人としてはなんだかちょっと微妙な心境である。

そろそろワンサイズ上の買おうかなぁ。
そんなことを考えながられいなは部屋着に着替えると、なんとはなしに窓から空を眺めてみた。

649 :MOONLIGHT SHADOWS :05/10/12 22:04 ID:7xglHHE10
あ、月が出てる。

秋晴れの夜空にぽっかり浮かぶお月様。
まだ満月ではないようだが、れいなの身体のようにこれから満ちていくんだろうか。
なんとなくぼーっと眺めていたら下から母親がご飯出来たとよーと声をかけてきた。
ちょうど父親も仕事から帰ってきたところであった。

その日の夕食は鶏肉のシチューであった。
れいなは茶碗にご飯一杯とシチューを一杯食べると、ごちそうさまと言って食器を下げて
再び部屋に戻っていった。

ふと見ると、月明かりが窓から差し込んでいて神秘的な雰囲気を醸し出している。
うまい具合にベッドに月光が差していたので、れいなは照明をつけないでそのままベッドに寝転んだ。

650 :MOONLIGHT SHADOWS :05/10/12 22:05 ID:7xglHHE10

○○もこの月を見てるのかな?
ふとそう思ってメールしてみた。

わりとすぐ返信がきたので読んでみると、
これは十三夜の月と言って西洋ではギバウスムーン、凸月と言われているなどと
いつものごとくのトリビアが書かれていた。
それを読んでいくと、最後にはこう書かれていた。

「俺ゎ満月よりも十三夜の方が好きだな。れいなもこの月を見てるってなぁなんか嬉しいねぃ」

651 :MOONLIGHT SHADOWS :05/10/12 22:06 ID:7xglHHE10

どこの江戸っ子だよと突っ込みながらも、○○らしいや、
と思ってれいなは少なからず朗らかな気分になった。

離れていてもれいなと○○は同じ月を見ている。
博多の友達もみんな見てるのかなあ?
なんとなく懐かしい気分が込み上げてきたので、旧友にメールしてみることにした。


それ以来れいなは月光浴をするようになった。
安らかな気持ちで空を見上げるれいなを今日も月は優しく照らしている。


从*´ ヮ`)<Fin.


BGM:MOONLIGHT SHADOWS / VALENTINA
(words:Giancarlo Pasquini / music:Andrea Leonardi)

从*´ ヮ`)<モドル