「ココニイルゼェ!」
558 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/13 00:43
…♪


…今日も聴いてくれる人いないっすね。
「やっぱり二人でギター弾いてるだけはキツイやろ〜」
仕方ないだろ?二人とも歌ヘタな上に詩が書けないんだから…


おれたちは駅前によくいる「ギターのあんちゃん」だ。
たった一つみんなと違うのは…

…二人とも歌が下手で、ずっとギターをかき鳴らしているだけということ。

「ゴンチチみたいなもんや」
…彼らは駅前でギターは弾いてなかったと思うぞ。

コイツは相方の寺田。お調子者で女ったらしだが作曲の腕は抜群だ。
いつもどこかで聴いたことのあるような名曲を作ってくる。

561 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/13 00:45

今日もいつもの駅前で二人でギターをかき鳴らす。
夜だというのにこの暑さはなんだ。ネックを握る手が滑って仕方が無い。
「こんな蒸し暑い日に男二人のギター漫談は誰も聴かへんやろがい!」
いつものことじゃねえか…ってか漫談じゃねえしな。
「…相変わらずボケ甲斐の無いやつやな。『このままいったら12月にはどんなんなんねやろ』ぐらい言うたらんかい!」


パチパチ…
「あんちゃんたちギターうまかね〜。ネタはつまらんけどw」

!?
「お、珍しいなぁ。お客さんおったんや。」
ちょこんと座っている女の子に声をかけられた。博多弁…かな?
中学生くらいに見える。寺田のど真ん中だなw

563 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/13 00:46

「うれしいなぁこんなかわいい子に声かけられんの初めてやw」
「ちょっとうちに歌わせて!」

「「は?」」
なんだこの子?

「…○○の知り合いか?」
…いや?寺田じゃないのか?
「いくら好きでもさすがに厨房の知り合いはいてないやろ。」

「なにブツブツ言っとるばい!これが歌詞。うちが書いたとよ〜。」

…って待てってば!意味がわからないよ!えー…
「おもろそやないか!」

…て、寺田!?

565 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/13 00:48

「そしたらおじょうちゃん、ちゃっちゃと曲付けたるから貸してみい。」
「おじょうちゃんじゃなかよ。れいなったい!」

お、おい、おまえら、そ、そんなことできるわけ…

「〜♪♪」
「Fu〜♪Lululu…♪」

えええええ〜?無視ですか〜!?


「ほれ、コードつけたったさかいな。これでいけるやろ?」
…ってまだ5分くらいですけど!?大丈夫かよっ!?

「なんね!できんのやったらよかよ。他探すったい!」
「ガタガタ言わんと行くでぇ!」

あ〜もうどうにでもなれぃ!

568 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/13 00:50

「♪Yes!!Wonderland!!♪」



…なんだ?この感覚…
♪♪
…目の前の背のちっちゃい女の子は何者だ?
♪♪♪
…周りの人たちまで釘付けになってる…
♪♪♪♪
…五分前にできた曲だよな?なんでほぼ即興でこんな迫力の歌が歌えるんだ?
♪♪♪♪♪
…おれたちのギターが引っぱられていく?


「♪Break Thought 自分を突き破れ!!♪」


…この娘、すげぇ。

570 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/13 00:53

「いやぁホンマにすごいなおねぇちゃんは!」
「おねえちゃんじゃなかよ!うちには『れいな』って名前があるったい!」

いや、まじすげぇよ。まだ鳥肌が引っ込まない。ほら、な?

「せや!このままずっといっしょにやれへんか?おれら歌下手やからちょうどええやんか!」

は!?なに言ってんだお前?確かにすごかったけど見ず知らずの女の子にイキナリ…
「よかよ!今度からうちがボーカルったい!」


ええっ!?

571 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/13 00:54

「その代わり…しばらく泊めて欲しいったい。」
「そんなんぜんぜんおっけいやって!わしの家に泊まったらええねん!」

…それはダメだ。狼の檻に羊を放り込むより危険だ。

「それならお兄さんちに泊まるったい!決まり!」
「そんなぁ殺生や…」

…ってなに勝手に決めてんだよ!第一親は?実家はどこ?

「…。」
「家出…やな?」

…コクリ。

…ちょっと待て。家出娘をうちに置くのか?やばいだろそれは!
「お願い!もう…もうあんな家には帰りたくなか!」

あんな家って…え?泣いてる?

「…グス…ヒック…帰りたくなかよ…」


…わかったよ。どうせ今日は電車も無いし、なにか事情もありそうだしな。


「…アリガト。」

661 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/14 00:36

…で、名前は?
「れいなったい!おにーさんは?」
おれは○○。一緒にいたやつは寺田。で、どこから来たの?

「なんで寺田さんは帰ったと?」

…真性のロリは何するかわからんから…とは言えないな。うん。
っておい!質問に答えなさい!

「にひひw まぁどこでもよかばい!あ〜お腹空いた〜!」

だから〜!ったく…
…まぁ確かに腹減ったな。じゃあなんか食いにいくか?
「うん!」

662 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/14 00:37

いやぁ腹いっぱいだ。
「東京のラーメンはマズかね〜!」
あんだけ食っておいてそれはないだろ…。やっぱり博多なんだな?

「…うん。まぁ…ね。まぁそんなこつよかばい?それよりれいなもう眠かばい…ふぁああ…」

眠くなると博多弁全開だな。…って、え?そこはおれのベットなんだが…
「おやすみぃzzzzzz…」
のび太かよっ!おいっ!おれはどこで寝るんだよ!?
「…うるさいなぁ。じゃあ一緒に寝る?」

!!

664 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/14 00:37

…おい、落ち着けおれ。相手はガキだぞ。な、寺田じゃないんだから。今ドキッとしたのは勘違いだ。うん。えー…ゴホン。
「にひひw照れんでもよかよ。ホレホレ。」
…完全にからかわれてますね。いいですおれは床で寝ますから。

「そっか…じゃあオヤスミ!」
あぁ。オヤスミ…


「…キンチョウシタバイ…」

666 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/14 00:39

…チュンチュン…チチチ…

…むぅ…カラダイタイ…。
「おっはよ〜!」


…びっくりしたぁ。あぁそっか、昨日家出娘を泊めたんだっけ。
「ゴハン作ったばい!○兄ぃ食べよ!」

…○兄ぃ?
「うん。○○兄ちゃん。略して『○兄ぃ』ったいw」
…あぁ…まぁいいや。朝からずいぶんハイテンションですな。
で?朝ゴハン?
「うんっ!」
…この真っ黒コゲなパンが?
「ちょっと焦げちゃったw あ、でもこのグチャグチャタマゴは自信作ったい!」
…玉子焼き?見たこと無い色なんだけど…まぁそうそう失敗するもんじゃないだろ。いただきま…す…

!!!
れ、れいな…何入れた?
「えーっと…塩、コショウ、マヨネーズ、ソース…あとなんだっけ?そこにあるやつみんな入れてみたばいw」

…適当かよ。うわ、朝からバツゲーム気分だなこりゃ。


「…ヨカッタタベナクテ」
ゴルァ!!

855 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/15 00:09

そんなこんなで二日が過ぎた。
昼には寺田がやってきてれいなの作った詩に曲をのせ、夜は3人で駅前ライブをやる。
まるで今までがウソのように観客が増えるのには驚くばかりだ。
「にひひw れいなの魅力ったい」
…否定できないな。うん。

「さーて今日も終わり終わり!飲みいこか!」
ダメ。未成年が一緒だし…明日はバイトなんだよ。だいいちお前がれいな酔っ払わせてなにするつもりかお見通しだっつーの。
「れいなならよかよ?いっつもとーちゃんの晩酌につきあ…」
ダメです!…ってどうした?

「…ううん。なんでもなか…」

?…まぁとにかく寺田は帰れって。な?
「…なんや?もうヤったんか?」

アホかっ!!毎日床の上で寝てるっつーんだ!お前じゃないんだから未成年に手を出したりしねーよ!
「なんやもったいない…」
「ん?なんね?なにひそひそ話してるったい?」
「なんでもありませんよぉ〜w まぁしゃーないな。わしも明日はバイトやからあさっての昼ごろ行くわ。ほなまたな!」

857 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/15 00:10

「れいななら飲み行ってもよかったのに。」
寺田とは絶対ダメ。あいつのことだかられいな飲ませてあんなことやこんなことを…

「?○兄ぃ?何ボーっとしとると?」

…!?
あ、ご、ゴメン。な、なん、なんでもないよ。ゴホン。
…うわーヤバイ。何想像してんだオレは…相手はガキんちょだぞ。
「○兄ぃ顔が真っ赤ばい。…まさかれいなで変な想像してるんじゃないやろね?」

アホか!…ったく…エスパーかっつーの。
「○兄ぃにエッチなことされないうちにお風呂入ってこよーっとw」

さっさと入ってこい!…ったく。

ザァァァァ…
…寺田に変なこと言われたせいでなんか意識しちまうな。
「見ちゃダメばーい!w」
! バ、ババババーカ!ガ、ガキの裸にゃ興奮しませng8i634bnlku\!
「何動揺しとるったいw カミまくりばーい!」

あぁ…もうダメだ。明日バイトだしもう寝ちゃおう…。

「あ〜いいお風呂やった…って○兄ぃもう寝とると?」
…寝る。もう寝ないと自分が寺田になりそうで…。
「?訳わからんばい。しかも今日も床で寝ると?」
頼むからほっといてくれ…。今日はなんか疲れたバイ。
「うつっとるよw じゃあ明日はバイトがんばってね。オヤスミ!」

ネレナイッツーノ…

858 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/15 00:11

じゃあ行ってくる。カギはいつもんとこにあるから出かけるならちゃんと閉めろよ。
「いつもんとこ?」
あ、悪い。寺田しか知らねーんだな。表のポストの中だよ。
「ん。了解。いってらっしゃーい!」

あ、そうそう。
「?」
今日はパン焦がさなかったな。うまかったよ。
「!!バカっ!!」
あはは。行ってきまぁす!

860 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/15 00:12

れいな大丈夫かなぁ…フラフラしてなきゃいいけど。
「○○君?ボーっとしてちゃダメだべさ。ほら、A卓さんに注文聞きに行って!それとカウンターさんのチャーハンあがってるべ!」
あ、すいません!…ったく。昨日は眠れなかったし心配だし…踏んだり蹴ったりだよ。

「いやぁ今日は忙しいべさ。あ、○○くん、キッチンペーパーが無くなったからお使い頼むべ!」
はーい。
っと。お、じゃあ寺田のバイト先のコンビにでも行くかな。明日のことも話ししなきゃだし。

862 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/15 00:13

ピロポロポローンピロポロポーン
こんちわ。寺田います?
「あ、○○くん!あいつ今日サボったんだよぉ!おかげでおいら大忙しなんだって!」
え?あいつバイトだって…

…まさか。

「ったく寺田に言っておいてよ!今度おいらの遅番変わってもらうからね…って○○くん!?おーい!!」

まさか…まさか!

ガラガラ!
あ、安倍さんすんません!早退します!
「え?あ、○○くん!?なに言ってるの?今日は忙しいって言ってるべさ!○○くーん!!」

863 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/15 00:14

まさか…あいつ、まさかそんなことは無いよな。


…心配しすぎだろ。


…でも…なんかいやな予感がする。


…チキショウ!なんでオレこんなに必死に走ってんだよ?

864 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/15 00:15

!!
…なんで俺んちの前に寺田のバイクが?

カンカンカン…
バタン!!

!!!
寺田!!!

「あ、○、○○!おまえ今日バイトや…」
「…」

…寺田ぁ…人んちで何ケツ出してやがんだ!?れいなに…れいなに何しやがったぁ!!

「ま、待てって。な、落ち着け。オレは○○がうらやましかったんやって。な?ほら、毎晩ヤリまくりやろ?な、な?」

…てめぇ!ぶっ殺す!
バギィ!!

「○兄ぃ!やめて!れいなは…れいなは大丈夫やけん!やめてぇ!」
「な、な、ほら、れいなもそう言ってるやろ?まだ入れてないから、な?」

うるせぇ!!出て行け!二度とそのツラ見せんじゃねぇ!!

176 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/16 23:20

…。
「…。ごめん○兄ぃ…。」

! …お前の謝ることじゃないだろ?
「でも…」
いいんだよ。それより本当に何もされなかったのか?

「うん。大丈夫…大丈夫ったい!もうぜんぜん平気ばい!!」
そっか。ならいいんだけど…。
「そ、それより、○兄ぃはバイトどうしたと?ほら、は、早く戻らんね!」
そんな場合じゃないだろ?今日は早退したから大丈夫…
…っておまえ、震えてるのか?

「あ、あれ?なんで?いや、ほら、ほ、ほんとに平気ったい!ね、あ、あの…」

ぽろっ。
れいなの大きな瞳から涙がこぼれる。

「あ、い、いや、その、ち、ちょっと安心しただけばい!だ、だいじょ…」
ぎゅっ。
「○兄ぃ!?」

おれはおもわずれいなの細い細い体を抱きしめていた。
…やっぱり怖かったんだな?大丈夫。もう心配ないよ。

「…あ、え?…ふ、ふにゃあぁぁぁぁん!」

れいなが堰を切ったように泣き出す。
大丈夫。な?落ち着くまでこうしてるから。おれがここにいるから。大丈夫だよ…。

177 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/16 23:21

どのくらいこうしていただろう。
外は日がだいぶ西に傾き、部屋に差し込む光が次第に少なくなってきた。

れいなは泣き止んではいたが、相変わらずおれの胸の中でシャツの裾を握り締めたままだ。
おれもそんなれいなの頭をずっとなで続けている。

「…○兄ぃ。」
ん?
「…ありがと。」
なんだ?変に素直だなw
「…れいなの声が聞こえたと?」

「寺田さんに変なことされそうになったとき、ホント怖くて声も出んかったばい。でも…」
…でも?
「…心の中で思い切り叫んだとよ。『○兄ぃ助けて!』って。」
…。
「そしたらホントに助けに来てくれた。信じちょらんね?ホントばい!」

れいな…。

「…うれしかった。」

178 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/16 23:22

「そういえばまだ話しとらんかったね。」
ん?
「家出の理由ばい。」
…あぁ。
「れいなにはおかあさんがおらんと。れいなが小さいときに病気で死んじゃったばい。」
…そうなんだ。
「あ、でも寂しくなかとよ?一人っ子やけどとーちゃんとはすっごく仲良しだし。」
あぁ、一緒にお酒飲んだりするくらい、だろ?w
「そうw …でも」

「とーちゃんが再婚するって言い出しよったと。」
うん。良かったじゃないか。
「…れいなは、そう思えんかった。あたしだけのとーちゃんを取られる気がしたったい。」
…。
「とーちゃんが『新しいおかあちゃん連れてくる』って言った日、れいなはどうしても耐えれんくて…家出してきたと。」
…そうだったのか。
「…でも、」
でも?
「…でも、そうじゃなかね。」

「本当に好きな人と一緒にいることがこんなに幸せなことだって気付かんかった。とーちゃんを独り占めなんて贅沢ばい。」
!れい…な。

179 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/16 23:23

「…明日博多に帰るね。とーちゃんをこれ以上心配させられんけん。」
…そう、だな。
「…ありがとう。○兄ぃ。」
小さな顔が胸の中で俺の顔を見上げる。

「…好き。」

!!

「…れいなの生まれて初めての告白ったいw」
照れ笑いを浮かべてはいるが、くっつけた体を通じてれいなの鼓動が伝わってくる。
きっとそれはれいなも同じだろう。おれの胸に耳をつけてクスクス笑っている。
「○兄ぃもドキドキしてるw」

196 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/17 00:26

すっかり日も暮れた真っ暗な部屋に月明かりが差し込んでいる。
胸の中でちいさな顔がおれを見上げている。

…れいな。
「…ん?」

そっと小さな顔に手を添える。
「ん…くすっぐたか。」
…。
そのガラス細工のような綺麗な顔を引き寄せる。

…そして、壊さないように…そっと、そっとくちづけた。

ほんの一瞬。唇同士がほんの少し触れ合うだけのキス。

でも、心の底から愛しいという感情を込めたキス。

二人の鼓動がさらに高まっていく。


「○兄ぃ…。れいなの…大切なもの、もらってくれる?」

おれはその問いに答えないかわりに、もう一度れいなに口づけた。
今度は…長く…深く…。

201 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/17 00:56

「○兄ぃ…」
生まれたままの姿のれいながおれの腕の中にいる。
「れいな…初めてだから…」
…大丈夫だよ。
おれは二人の気持ちを確かめるようにれいなに口づけていく。


…頬に…首筋に…そして…膨らみかけの胸に…

202 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/17 00:57

…力抜いて…いくよ。

「…っん!」

…大丈夫?

「…うん…うれ、しい…」


言葉とは裏腹にれいなが破瓜の痛みに耐えているのが伝わってくる。
おれはそんなれいなの中でしばらく動かずにいた。

203 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/17 00:57

「○兄ぃ…いいよ…れいなは大丈夫やけん…」


その一言でおれの理性の糸が切れる…

「…っん…あっ…はぁ…」
れいなもその小さな体でおれに答えてくれる。


「○…○兄ぃ!なんか…なんか変な感じったい!」
れ、れいな、おれも…!



れいな…!!

204 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/17 00:58

…チュンチュン…チチチ…

…ん…くすぐったい…

「…あ、ゴメン。起こしちゃったと?」

…あぁ。ふあぁぁ…オハヨ…。
どうやられいながおれの寝顔にキスしてたらしい。布団のなかにれいなが引っ込む。

一瞬昨夜のことがフラッシュバックする。
…夢じゃない…な。うん。久しぶりにベッドの上だし。

205 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/17 00:59

「オハヨ。w」
れいなが布団から半分だけ顔を出して笑っている。もちろん二人とも昨夜のままの格好だ。

ん?なに?
「ん〜ん。なんでもなか!」
なんだよw 言えよ〜。
「寝顔はかわいいっちゃねw」
寝顔「は」ってなんだよ…れいなも昨夜「は」かわいかったぞ?

「!!…バカっ!」

あははw。イテっ!ゴメンゴメン。叩くなよw
ごろっと体を回してれいなを抱き寄せる。

「○兄ぃ…また…こんなになっとると?」
いや…あのぉ…これは毎朝の恒例行事といいますか…。

「…エッチ。」

400 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/18 01:15

『…!!…!…!!…』
「…はい…。ごめんなさい…。…うん。今日帰るったい。…ごめんなさい。」

電話の向こうでれいなのお父さんの怒鳴っている声がここまで聞こえる。

「いやぁ怒られたばいw」
…当たり前だろ。それよりこんなカッコで電話してるのがお父さんにバレたら…卒倒するだろうな。
「まさかうちのれいなが裸で家に電話してるなんて!ってね。ひっぱたかれるじゃすまんとよ。○兄ぃも一緒にボコボコにされるばいw」
怖ぇ〜。
「にひひw  …っ痛…」
!?…どうした?

「…嬉しい痛さばい。…昨夜の…ね?」

…ゴメン。

「謝ることじゃなかよ?…ホントに嬉しかったばい。」
そっか…。

「なんか『あたしはここにいる!』って気分。」
なんだそりゃ?
「例えとーちゃんに新しい奥さんができても、れいなはれいなったい。」
「れいなにはれいなの幸せがあるし、とーちゃんにもある。一度きりの人生なら笑って楽しまなきゃソンするったい!…それに…」

それに?


「…○兄ぃがぎゅってしてくれた時に気がついた。れいなの居場所はここばい!って。」

401 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/18 01:17

…『ココニイルゼェ!』だな。

「?」
れいなと初めて会ったとき歌っただろ? …ってことは…
「なーんだ!れいな初めから気付いてたんじゃなかね!」


二人顔を見合わせて笑った後、れいなはもう一度おれの胸に顔をうずめてつぶやいた。


「…ココはれいなの居場所。約束ばい?」
…待ってるよ。約束…ん…



「…誓いのキス。破ったら承知せんけんねw」

403 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/18 01:18

ほんとに送っていかなくていいのか?
「うん!道はわかるし…○兄ぃは今日もバイトやろ?昨日の分も働かなきゃいかんばい!」
でも…
「大丈夫!天気もいいし、駅まで歩いていくったい!」

…。

「そんな顔せんでもよかよ〜!ほら、ね?永遠のお別れじゃなか。…また帰ってくるばいw」

…そうだな。うん。

「…それに…ナキガオハ…ミセタクナカヨ…」

…ん?なに?

「…ううん。なんでもなか!じゃあ…また…ね!」

あぁ!またな!

405 :「ココニイルゼェ!」 :04/06/18 01:20

こうしておれたちの一夏の出来事が終わった。

…いや…終わったんじゃないな…



ここからおれたちの長い旅が『始まった』んだ。




「ココニイルゼェ!」

〜 終 〜


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