恋愛☆同盟
673 :恋愛☆同盟 :04/07/10 23:37
6月9日。

私立・妖精中学の体育館。
施設全体が見渡せる入り口南側付近に、1人の少女が立っている。
彼女の名は、田中れいな。華も恥らう15歳。なにやら思いつめた様子である。
「うーん、難しいな・・・」

私立・妖精中学の体育館。
施設全体が見渡せる入り口西側付近に、1人の少女が立っている。
彼女の名は、亀井絵里。華も恥らう15歳。なにやら思いつめた様子である。
「うーん、難しいよう・・・」

体育館は、今、部活動の真っ最中。
バドミントン、バスケット、卓球、新体操・・・。
様々な部が、狭い場所の中で汗を流している。

674 :恋愛☆同盟 :04/07/10 23:39
6月17日。
                        
私立・妖精中学の体育館。
施設全体が見渡せる入り口北側付近に、1人の少女が立っている。
彼女の名は、田中れいな。華も恥らう15歳。なにやら思いつめた様子である。
「うーん、難しいな・・・」

私立・妖精中学の体育館。
施設全体が見渡せる入り口東側付近に、1人の少女が立っている。
彼女の名は、亀井絵里。華も恥らう15歳。なにやら思いつめた様子である。
「うーん、難しいよう・・・」


体育館は、今、部活動の真っ最中。
バドミントン、バスケット、卓球、新体操・・・。
様々な部が、狭い場所の中で汗を流している。

・・・と、れいなが絵里の元に近づいていった。
「あの・・・ちょっといい?」
「はい?」
絵里はにこにこしながらそう答えた。れいなは厳しい表情だ。

675 :恋愛☆同盟 :04/07/10 23:41
「あなた、いつもここにいるよね?」
「そうですねえ(にこにこ)」
「・・・何で?」
「うーん、それはちょっと言いにくいですねええ・・・・それより、あなたもいつも何でここにいるんですか?」

にこにこしながら聞いてきた。れいなは口篭もった。
「いや、それは・・・」
「あなた、2年F組の田中れいなさんでしょ?」
絵里は相変わらずにこにこしながら言った。
「え、私のこと、知ってるの?」
「それは知ってますよお、いろいろ有名ですからあ」

何が有名なんだろう、数学の成績が学年最下位のことか、それとも体育の時間に
サッカーボールを校長室の窓ガラスに蹴り込んだことか・・・・

「私、亀井絵里っていいます。2年D組ですよ」

676 :恋愛☆同盟 :04/07/10 23:43
あ、噂で聞いたことがある。れいなは思い出した。
D組にとても可愛くて、何考えてるか分からない女の子がいるって・・・。
もし、ライバルがこの子なら強敵かもしれない。れいなは勝手に臨戦体制を整えた。
絵里は相変わらずにこにこを変えない。

れいなは、思い切って口を開いた。

「バスケ部に、俊輔君っているでしょ」
「ああ、いますね。しゅんちゃんでしょ?」
「しゅしゅしゅ、しゅんちゃん!!亀井さん、何、何、何言ってるの?俊輔君をそんな風に呼ぶなんて!!」
「私の幼馴染なんですよお、しゅんちゃん。バスケは上手くないですねえ、だから補欠なんですねえ」

「・・・そ、そおね・・・」
れいなは頭の中をいろいろ整理しはじめた。しかし、絵里からの質問がすぐに飛ぶ。
「田中さん、しゅんちゃんに何か用があるんですか?」
「え、えと・・・」

れいなは困ってしまった・・・。しかし、絵里はすぐに次の質問をぶつける。

677 :恋愛☆同盟 :04/07/10 23:45
「しゅんちゃんと田中さん、知り合いなんですか?」
「・・・・」

「・・・・・ああああ、そーかー!!!」絵里はいきなり大声を上げる。
「な、な、何?」
「田中さん、しゅんちゃんのこと、好きなんだー!だからずっと見てて・・・」
「わあああああああ!!!!亀井さん、そんな大声で駄目えええ!!!」

れいなは、絵里を体育館の外に引っ張っていった。
ふう・・・危なかった。冷汗をぬぐうれいな。全く、このお嬢ちゃんは・・・

「正直に言うと、そ、そ、そういうこと。だから、体育館でずっと見てたの。でも、全然知り合うきっかけも無くて・・・・」
「ふーん、そうですか。まあ、しゅんちゃん、優しいからいいと思いますよ」
「う、うん・・・」
れいなは自分の顔が真っ赤になっているのが分かった。やばい、話題を変えなきゃ・・・・

「あ、あ、あ、でも亀井さんは何でずっと体育館にいたの?私、てっきり俊輔君のことで、ライバルだと思ってたんだけど・・・」

678 :恋愛☆同盟 :04/07/10 23:46
「えー、ライバルじゃないですよ・・・でも・・・」
絵里も突然真っ赤になり、くねくねしはじめた。形勢逆転、れいなが突っ込む。

「なに、亀井さーん。もしかして、私みたいに誰か好きな人を見てた?」
「え、え、え、まあ、そうなんですけど・・・(くねくね)」
「誰?誰々?私も教えたんだから、いいじゃない」
「え、え、えと・・・・・卓球部の和博くん・・・・(くねくねくねくね)」

「ええええええええええ!カズうううう?」れいなは仰天した。

「た、た、田中さん、カズって、カズって、和博くんに失礼じゃ・・・」
「あ、ごめん。でもカズ、私の小学生からの腐れ縁の友達だから・・・」
「えええええ!そうなんですか?」
「うん、でもカズのどんなところが好きなの?あいつ、卓球部ではエースだけどそんなにイケメンでもないし・・・・」
「そういうところがいいんですよお、素朴で・・・(くね)」
「そ、そお・・・・・・・」

679 :恋愛☆同盟 :04/07/10 23:47
絵里の趣味を図りかねるれいな・・・
しかし、そのとき、れいなの頭にある名案が浮かんだ!

「ああああああ、そうだ!!!!!!!!」

れいなは突然大声を上げる。絵里がびっくりしてれいなを見る。
「田中さん、どうしたんですか?」

「・・・亀井さん、私たち、協力しよ!」
「協力??」
「私、亀井さんとカズが仲良くなれるように頑張る。だから、亀井さんも私と俊輔君が仲良くなれるよう協力して!」
「え?」
「このまま体育館で見てても何も始まらないもの!同盟を組もうよ、亀井さん!」

「うーん、でも、そんなにうまくいくかなあ・・・(くねくね)」
「大丈夫!!!それじゃ、恋愛同盟、成立ね!」

143 :恋愛☆同盟 :04/07/13 00:05
それから2人は、近くの喫茶店で第1回の対策会議を開いた。
「それじゃ絵里ちゃん、まず、出会いの状況について考えようか!」
「いえ、まず、同盟規約を作るのが先です!」

んん???どうめいきやく???

「はい、同盟を結ぶためには、規約を作ってお互いの承認を得ることが大切です」
「いや、でもそんな大層なものでもないから・・・」

「れいなさん!!」絵里は突然厳しい視線でれいなを睨む。
「はいっ!」

「こういうことは、まず形からです!」
「はあ・・・」なんだろ、この人は。さっきまで「むりですう(くねくね)」って
言ってたくせに・・・。

「それじゃれいなさん、規約を考えましょ(にこにこ)」
「はいはい・・・」

144 :恋愛☆同盟 :04/07/13 00:06
・・・・・・・・・・・・・・・・。

小1時間かけ、2人の同盟規約が出来上がった。まあ、ほとんどが絵里の提案なのだが。
出来上がった規約は、これ↓

     ☆☆ 田中れいな&亀井絵里 恋愛同盟規約 ☆☆

第一項 この同盟は、田中れいな(以下れいな)と亀井絵里(以下絵里)の恋愛を
    成就させるために結ばれるものである
    尚、成就とは付き合い始める時点を指す
第二項 れいなは中田俊輔(以下俊輔)、絵里は上原和博(以下和博)との
    恋愛を成就させるためにこの同盟を結ぶ
    他の誰との恋愛もこの同盟の範疇から外れる
第三項 れいなは絵里と和博の、絵里はれいなと俊輔の恋愛成就のため最大限の努力を惜しまない
    尚、最大限の努力に関わらず失敗した場合、その責を負わない
    しかし、努力を惜しんだ場合はその責を負うことがある
第四項 同盟破棄はいずれかが他方の努力に疑問を感じた場合、
    または恋愛を成就させる気持ちが薄れた場合に成立する
    尚、必ず双方の合意を必要とする
第五項 この同盟は双方の恋愛が成就した際に消滅する
第六項 同盟規約の変更や追加は2人の合意によって行われる

            以上      田中れいな(印)亀井絵里(印)

145 :恋愛☆同盟 :04/07/13 00:09
・・・・・・・。

れいなには正直なんだか分からない文章もあったが、とりあえず承認しておいた。
絵里は国語や社会が大得意らしく、嬉々として規約を作り、承認した。

「よし、きょうはここまでですね、れいなさん。今後のことはあした考えましょ」
絵里はにこにこしながら、帰っていった。
「・・・うーん、弾みで同盟結んじゃったけど・・・大丈夫かな・・・心配。」

325 :恋愛☆同盟 :04/07/14 22:05
6月18日
放課後。第2回目の対策会議が開かれた。
「それじゃ絵里ちゃん、まず、出会いの状況について考えようか!」
「いえ、まず、双方の情報を共有するのが先です!」

・・・またこの人は。れいなは呆れたが、ちょっと面白かったので乗ってみた。
「情報の共有って?」

「うーん、それじゃれいなさん、しゅんちゃんのどういうところが好きなんですか?」
「え?・・・そんな、言えないよ・・・」
「いやれいなさん、そこが分からないと協力の仕様もありませんから(にこにこ)」

あ、そっか。仕方ない、正直に言うか。

「うーん、私、俊輔君の一生懸命な姿が好きなんだよね・・・
 私、今は部活やってないけど、前は新体操部にいたんだ。
 隣でバスケの練習やってて、俊輔君はずっと補欠。でもさ、一生懸命なんだよ。
 腐ったりしないで、ずっとひたむき。
 私なんか面倒くさくて部活辞めちゃったけど、俊輔君のこと、ずっと気になってたんだ」

326 :恋愛☆同盟 :04/07/14 22:06
「ふーん、そうですかあ(メモメモ)・・・それで、しゅんちゃんはれいなさんのことを?」
「えーと、全然知らないと思う。話したこともないから・・・」
「ふーん、奥手なんだれいなさん、意外・・・」

そんな分析はいらないよ、恥ずかしい・・・れいなは思ったが、どうも絵里の前では調子が狂う。
とにかく話題を変えなきゃ・・・

「それじゃ、絵里ちゃんはカズのどんなとこが好きなの?」
「えー、言えませんよー(くねくね)」

オイッ!!れいなの突っ込みが炸裂・・・する前に絵里が話を続けた。

「・・・って、それじゃいけませんよね。私、1年の時に和博君と同じクラスだったんです。
 それで、和博君がすごく優しくて・・・。他の男子みたいに何か裏がありそうな優しさじゃなくて、
 本当に人を大切にしてるんだな、って思えたんですよお(くねくねくね)」

・・・ふーん。れいなは感心した。
まあ、絵里ちゃんは可愛いから「裏がある優しさ」なんて良く受けてるんだろうしね・・・
意外とよく人を見てるんだな・・・

327 :恋愛☆同盟 :04/07/14 22:07
ずっとくねくねしていた絵里が、口を開いた。 
「私も学年が変わって以来、和博君とは話してないですし・・・・
 どうやって出会うか、大切ですねえ」
「そうだね、難しいね・・・」

あれ?れいなは単純なことに気づいた。
「・・・そうだ、新しい友達ってことでさりげなくお互いを紹介すればいいんじゃない?」
「・・・そうですね。でも、ちょっとインパクト付けたほうがいいのでは?」
「・・・そう?」

とたんに絵里は熱弁を振るい始めた。
「そうですよ、絶対そうです。人間、出会いのインパクトが大切なんです。
 かの豊臣秀吉も織田信長とはじめて会ったときに・・・」
「いやいや、それは別にいいけど、インパクトって具体的に何?
 まさか、一発芸でもして登場するとかじゃないでしょ?」
「それもいいけど・・・・名前じゃないですか?」

「なまえ??」

328 :恋愛☆同盟 :04/07/14 22:10
「やっぱり、インパクトのあるあだ名で親友同士呼びあってる、って感じで印象を持たせたいですね」
「そうかな・・・」
「それじゃ、れいなさんは『れいにゃん』で。」
「ええええ?」
「そして、私は『エリザベス』で。」

いやいやいやいやいや・・・それには疑問が山積山積ですわ・・・
れいにゃん(?)は頭がくらくらしてきた。

「それはどうなのかな・・・インパクトはあるけど、効果は・・・」
「でも、名前は覚えられますよ。それからですよ、関係を作るのは」

うーん、まあ、そう言われてみればそんな気もしないではないかな・・・

「でもさ、絵里ちゃん。”れいにゃん”ってどこから出てきたフレーズなの?」
「うーん・・・(くねくね)、なんとなく猫っぽいかなって・・・」
「・・・そうかな?」
「そうですよー」

329 :恋愛☆同盟 :04/07/14 22:12
それじゃ、まあいっか。れいにゃん、いやれいなは簡単に懐柔された・・・・
ん?でも・・・

「でも、エリザベスは?」
「はい、なんとなくです!(にこにこくねくね)」
「・・・・・・・・・・・・・でも、あんまり親近感を与えるネーミングじゃないような・・・」

2人を、沈黙が支配した・・・

れいなが、雰囲気を探りながら口を開いた。
「・・・えりりんとか、その程度のほうがカズも驚かないような気が・・・」

エリザベスの表情が、ぱっと明るくなった!!
「そうしましょ!!!!えりりんで!」
「え?それでいいの???」
「さすがです、れいなさん!ちゃいこーです!!」

あ、そう・・・喜んでもらえるなら、いいけど・・・・

「それじゃ、明日はしゅんちゃんにれいなさんを紹介しましょ!やっと同盟が動き出しましたね!」

そうだね。とりあえず、これから本格的に始めましょ。

705 :恋愛☆同盟 :04/07/18 00:41
6月19日
放課後。第3回目の対策会議が開かれた。

「れいなさーん、うまくいきましたね」
「そ、そうかな?」
「絶対しゅんちゃんもれいなさんのことが気になったはずです!」

・・・・うーん、そうかなあ。

「でもさ、恥ずかしかったよ私。絵里ちゃん、あんなことさせるんだもん」
「あんなこと?」
「猫の真似だよー。『れいにゃんの得意技は猫の物まねなんです。ほられいにゃん、
 にゃんにゃんやって』・・・って、もう私、顔から火が出るかと思ったよー」
「でも、上手でしたよ。恥ずかしがるところも、しゅんちゃんのポイントゲットって感じで」

・・・そうなのかな。ま、幼馴染の絵里ちゃんがそういうのなら良いのかな・・・

706 :恋愛☆同盟 :04/07/18 00:42
「それじゃ、明日は絵里ちゃんをカズと会わせればいいわけね」
「そ、そうですね・・・・(くねくね)」
「何?絵里ちゃん。いきなりくねくねしだして」

「別にそんなことないですよ・・・(くねくねくねぐねぐねぐね)」

・・・・・。

「大丈夫、あしたは私がなんとかするから」
「でも、心配だな・・・和博くん、結構シャイだし・・・」
「大丈夫だって、私にドーンと任せな!!」
「・・・れいなさん、男らしい・・・・・・」

その表現はどうなのかな、絵里さん。

707 :恋愛☆同盟 :04/07/18 00:43
6月20日
放課後。第4回の対策会議が開かれた。
「れいなさん、結構うまくいきましたね!」
「そうね、これは問題無しでしょ!絵里ちゃんのくねくねも、いつもどおりだったし」

「れいなさん、やっぱり私が見込んだだけのことはありますよ。
 あんなにスムーズに話題を持っていくなんて」
「そう?まあ、カズとなら話は上手く合わせられるし、好みも分かるしね。
 カズも絵里ちゃんを気に入ってくれると思うよ」
「本当ですか?嬉しい!!」

・・・その笑顔を見せられたら、全国のたいがいの男は気に入るよ・・・。
れいなはちょっと羨ましい気分に苛まれたが、単純に絵里に喜んでもらえたのは嬉しかった。

708 :恋愛☆同盟 :04/07/18 00:44
「それじゃ絵里ちゃん、これからどう動くかだね・・・」
「そうですね、とりあえず顔は覚えられたので、それを浸透させましょうか」
「・・・しんとう?」

「とりあえず今までどおり、体育館で部活を見学しましょう。
 幸い、バスケ部と卓球部はお隣さんですから、2人で揃って見てれば一石二鳥ですよ」
「そうだね」
「これを1週間くらいやって、それから勝負に出ましょうか?」
「勝負??」

・・・・・・

「えーと、勝負の内容は・・・まだ考えてません・・・」
「そう・・・まあ、1週間くらい考えてみよ。」
「そうですね」

817 :恋愛☆同盟 :04/07/19 02:19
7月1日。
近くの喫茶店で第13回の対策会議が開かれた。

れいなはオレンジジュースの氷をストローで突付きながら、
これまで幾度となく使ったセリフを繰り返した。
「うーん、もうそろそろ何かリアクションを起こしたほうがいいんじゃないかな?」
「・・・そうですねえ・・・」絵里は考え込む。

2人はここ数日間、「勝負」の機会を考えあぐねていた。

「普通に何かするよりは、何かの機会に便乗したほうがやりやすいよね・・・記念の日とか・・・」
「・・・そうですね・・・」
「そういや絵里ちゃん、誕生日っていつ?」
「え?えーと、12月ですよお」
「そっか・・・遠いね。私も11月だし、カズも確か1月かな・・・」
「しゅんちゃんも・・・たぶん、7月だからあ・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・。

2人は同時に顔を見合わせた。
「・・・それでいいじゃん!!」
「そうですね!」

818 :恋愛☆同盟 :04/07/19 02:21
それから2人はおよそ1時間で一大プロジェクトを立ち上げた。
そのプロジェクトの内容は、これ↓

    ☆れいな&絵里恋愛同盟プロジェクト@俊輔君誕生日プロジェクト☆

日時・・・・7月10日(俊輔誕生日)
場所・・・・体育館、駅前商店街など

内容・・・・7/10部活帰りのターゲット(俊輔)に対し、絵里が
      偶然思い出したふうに誕生日の話題を振る。
      そして「帰りにプレゼント買ってあげる」とターゲットを誘い出す。
      そこで偶然を装い、れいなも登場。3人でプレゼントを選ぶ。大接近!!!

費用・・・・プレゼント代(推定4000円程度)   費用対効果・・・中程度
成功確率・・70%


「待ち遠しいねー、絵里ちゃん」
「そうですね、私も万全の体制でサポートします!!」

いよいよ、盛り上がって・・・きたかな??

884 :恋愛☆同盟 :04/07/20 00:03
7月8日(プロジェクト@実行2日前)
第15回目の対策会議が開かれた。
・・・・単なる雑談だけど。

「絵里ちゃん、きのうの七夕、何をお願いしたの?」
「えーと、和博くんと仲良くなれますようにって・・・・(くねくね)」

ふーん。
・・・ここでれいなは、ずっと疑問に思っていたことを口に出す決意を固めた。

「あのさ、ちょっと聞いて良いかな?」
「はい?」
「絵里ちゃんって、何でそんなに奥手なのかな?・・・まあ、私も人のこと言えないけど。
 絵里ちゃんくらい可愛かったら男の子は寄ってくるし、
 もし絵里ちゃんのほうから告白したら誰でもいちころだと思うんだけど・・・」

885 :恋愛☆同盟 :04/07/20 00:04
「いえ、そんなことないですよれいなさん・・・・」
絵里は両手を左右にひらひらと振り、苦笑した。・・・しかし、すぐにうつむいた。
「・・・でも、私、男の人のことが怖かったんです。いまでもそうなんですけど。
 前にも言ったかもしれないですけど、なんか、変に優しかったり、本当の私じゃなくて
 なんか、別のところを見られてるような気がして・・・・」
「ふーん・・・」

ここで、ずっと俯いていた絵里が突然顔を上げた。
「でも、和博くんは違ったんですよ。友達だったしゅんちゃんとも違うし、苦手な男の人とも
 違うんです。和博くんと仲良くなれたらいいな、って、ずっと思ってて・・・・
 れいなさんに同盟を誘われたとき、とっても嬉しかったんです。不安もあったんですけど」

・・・ここでれいな、気合が入ってきた様子です。
「よし、絵里ちゃん。私もあさって絵里ちゃんに協力してもらうわけだし、
 私、本気で取材活動に入る!!」
「取材??」
「まだ、カズに関する情報が不足してるもん。全力で捜査にあたります!!」

60 :恋愛☆同盟 :04/07/21 23:32
(7月9日)
俺の名前は上原和博。どうもきょうは、俺の周りが騒がしかった。
友達のれいなが、俺の周囲でなにやら嗅ぎまわってるらしいんだが・・・・
どうやら、俺の趣味やら特技やら、一日の平均的スケジュールやら、
いろいろと聞いて回っているらしい。
別に俺に直接聞けばいいような話だと思うが・・・
不思議だな・・・・気になる・・・・もしかして、俺に気がある?
・・・そんなわけないよな・・・昔から俺、れいなの尻に敷かれっぱなしだったし・・・
今更そんな・・・ねえ・・・

61 :恋愛☆同盟 :04/07/21 23:33
(7月10日)
俺の名前は中田俊輔。いやー、きょうはびっくりした。
いきなり幼馴染の絵里が「誕生日プレゼント買ってあげる」って言ってきた。
前から何考えてるのかわからない絵里だけど、こんなこと言われたのは初めてだ。
友達の、れいにゃんちゃん、だっけ?
その子と一緒にスポーツショップに行って、いろいろ選んでもらった。
絵里はピンクのシューズを薦めていたが、俺はそんなの履けないよな、さすがに・・・
そしたら絵里、そのシューズ自分で買ってた。いつあいつがスポーツするんだろ・・・。

れいにゃんちゃんはとってもいい子だった。真剣に俺の趣味を聞いてくれて、
かっこいいスポーツバックを選んでくれた。ちょっと高いのに、絵里と折半して払ってくれて・・・
俺が遠慮してると、「気にすることないですよ、どーんと来なさい!!」って・・・。
絵里とは全然性格が違うな・・・どうやって友達になったんだろ??
・・・まあ、いいか。いい誕生日になったよ。2人とも、ありがとう。

62 :恋愛☆同盟 :04/07/21 23:34
(7月10日)田中れいなの日記。
ホントーーーーーーーーーーーーーーーーに、緊張したーーーーー!!!!
でも、俊輔君とかなりおしゃべりできたし、俊輔君のいろんなことが分かった。
絵里ちゃんもいろいろ協力してくれたし、大成功!!
よし、私も絵里ちゃんとカズの仲に協力するぞ!!!!
ほんと、いい日だった。


(7月10日)亀井絵里の日記。
うーん、眠いよお。結構疲れちゃった。
でも、せいこうセイコウ成功。よしよしですよ。
私もがんばろっと。

133 :恋愛☆同盟 :04/07/23 00:53
7月11日。18回目の定例対策会議が開かれた。

「絵里ちゃん、昨日はほんとありがとう!!いっぱい俊輔君と話せたし、楽しかった!」
れいなはきのうから何度も言っていた言葉を繰り返した。

「いえ、いいですよそんなあ。・・・れいなさん、嬉しいときはなんていうんでしたっけ?」
「れいにゃん、うれしいにゃん!・・・ってね、もー絵里ちゃんたら、それは俊輔君の前だけでしょw」

2人はこのあと一通り雑談をして、本題に入った。
「私、カズのことについて周辺に取材攻勢をかけたんだけど・・・」
「うんうん」
「いいネタがあったの!」
「なんですか?」絵里は身を乗り出し、れいなの話に耳を傾けた。

134 :恋愛☆同盟 :04/07/23 00:54
れいなはもったいぶりながら、話す。
「あのねー、カズの卓球部、今月の20日に練習試合があるの」
「あー、そーなんですかあ、応援に行かなきゃ・・・」
「それでさ、カズはいつも、大事な試合の2日前には散髪をして、
 そのあと行きつけのファミレスでハンバーグセットを頼むらしいの」
「はあ・・・」
絵里は怪訝な顔をした。ま、当然か。

「あ、なんで2日前かっていうのは、前日だとお腹を壊すかもしれないからだって。
 ハンバーグセットは、カズが小学生のとき、初めて卓球の試合に勝ったときに記念に食べたから」
「へえええええええええ・・・」
およそ9へえだった。

135 :恋愛☆同盟 :04/07/23 00:55
「それでれいなさん、それと同盟に何の関係が・・・」
「よく聞いてくれました。だから、試合の2日前、つまり18日にそのファミレスに行くのよ」
「あー、そういうことですか・・・偶然を装ってお客で・・・」
「違うの、店員になるの」

「・・・・・え?」

「その日、急な事情で人が足りなくなったってことで、絵里ちゃんがその店で働くの。
 あ、別にカズが来たときだけ働けばいいよ。そして、カズの注文を取りに行って、そこでばったり。
 絵里ちゃんはバイトの事情を話したりして、親近感が深まる。
 そしてカズの話を聞くと、たぶん練習試合の話をするだろうから、
 そこで絵里ちゃんが『応援に行きますう』って言う。
 そうすれば、もう1段階ステップアップするチャンスも生まれるっていうプラン。どう、いいでしょ!」

136 :恋愛☆同盟 :04/07/23 00:56
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・絵里ちゃん、どうしたの?良くなかった?」

「・・・・・す、すごいです・・・れいなさん・・・」
「ほんと、喜んでくれた?」
「はい、すごくいいです・・・あ、でも、ただ、そのお店に許可を貰わないと・・・」
「大丈夫、もうOKは取ってるから!」

「ええ?すごいです、動きが早いです、れいなさん!!」
「もちろん!!よし、それじゃ絵里ちゃん、接客の特訓よ!」
「はい!」

・・・・その日の2人の特訓は夜まで及んだ・・・・・らしい。

234 :恋愛☆同盟 :04/07/25 12:19
7月15日。20回目の定例対策会議は、ファミレスで開かれた。
18日に予定されている
「恋愛同盟プロジェクトA和博君ファミレス大接近作戦」の事前準備を兼ねてのことだ。

絵里はこのファミレスの衣装を試着して、かなり気に入ったらしい。
ちょっと胸が強調されたピンクのフリフリ衣装なのだが・・・。
「いいですよー、これ。可愛いですよ、れいなさーん」
絵里はくるくるとその場で周り、嬉しそうな表情を見せる。

「いいねー、絵里ちゃんに似合うよー」
これなら、カズもいちころかもね・・・。れいなはプロジェクトの成功に自信を深めた。

「・・・れいなさん、れいなさんも一緒に着ません?」
え?私も?

235 :恋愛☆同盟 :04/07/25 12:20
「可愛いですよ、これ。着て、ちょっと働いてみましょうよ」
え?働く?

「せっかくですからあ。店長さんも、いいですよね?」

「いいよいいよー」
すっかり鼻の下が伸びきった中年の店長は2つ返事でOKした。
何かの法に抵触するような・・・まあ、ばれなきゃいいらしい。

「ま、いいか。どうせ暇だし、私もやろっかな」

236 :恋愛☆同盟 :04/07/25 12:21
・・・・・・。

10分後、2人の可愛いウェイトレスが完成した。
「いらっしゃいませーーー」
「ご注文は??」

「いいよいいよーー」
2人の働きぶりに、店長も大満足。
このウェイトレスのお陰か、客はどんどん増えてきた。
「絵里ちゃん、けっこう忙しいねー」
「そうですね、でも私楽しいですよおー」
「うんうん、そうだねー」

あ、またお客さんが来た。
「いらっしゃいませーーー!!!」

・・・あ、あれ??あれって、俊輔君??な、なんで??    
                                ・・・次回に続く。

347 :恋愛☆同盟 :04/07/27 21:05
やっぱり、俊輔君だ。向こうもこっちを向いて、びっくりしてる。
どどど、どうしよう・・・絵里ちゃんも気づいたみたいだけど・・・・

え、えりちゃん・・・ちょっと予定外の事態だよ・・・・

と、絵里ちゃんがこっちに近づいてきた。小声で私に話し掛ける。
「れいなさん、しゅんちゃんの注文を取りに行ってください」
「え?でも・・・」
「大丈夫です、ピンチはチャンスです。幸い相手は1人で来てますから、うまく話は出来るはずです」
「・・・」
「がんばってください!!」

・・・よし、私、頑張るよ!!

348 :恋愛☆同盟 :04/07/27 21:07
胸の鼓動が高鳴る。
「ご、ごちゅうもんはお決まりでしょうか?」
「え、えと、ペペロンチーノセットで・・・」
「はい、かしこまりました。ペペロンチーノセットですね、セットはライスかパンのどちらで?」
「えっと・・・それより・・・」
「それより?」

「れいにゃんちゃんは、何でここで働いてるの?」
「えーっと、ちょっと人手不足で、それで頼まれてお手伝いを・・・」
「そうなんだ・・・びっくりしたよ・・・」

「それより俊輔さんは、何でこの店に?」
「あ、きょうは親が家に居ないから・・・」

よしよし、いい感じでトークが流れてるぞ・・・れいなは落ち着いてきた。
ここでちょっと『かまそう』かな・・・タイミングを測って・・・

349 :恋愛☆同盟 :04/07/27 21:08
「あ、俊輔さんの家はこの近くなんですか?(←リサーチ済み)」
「そうだね・・・」
「それじゃ、私が出前してもいいのにw」
    (↑つまらないが、今のれいなにはこれが一杯一杯です・・・)
「そう??それじゃ、これからお願いしようかなw・・・あ、そうだ、仕事はいいの?」

「あ、そうですね、それでライスですかパンですか?」
「えっと、ライスで・・・」
「分かりました、ご注文は私の笑顔を100人前ってことで!!」(←これが精一杯です・・・)
「え?・・・あ、それでお願い・・・(苦笑)」

れいなはMAXの笑顔で、俊輔のテーブルから去っていった・・・
絵里がにこにこしながら出迎える。

「れいなさん、その顔を見ると・・・」
「うん、大丈夫。・・・だと思うよ」

その後、れいなは注文を届ける際も俊輔と少し話をした。
かなりの速度で2人の仲は進展したと見られる(恋愛同盟本部調べ)。

48 :恋愛☆同盟 :04/07/29 21:31
7月18日。恋愛同盟プロジェクトAの実行の日。
絵里は落ち着いていた。
「れいなさんと同じようにすればいいんですね・・・」
「そ、そうだね、基本的には」
前例があることが、絵里の気持ちを楽にしているらしい。
「よし、それじゃ、はじめよっか!」

午後6時、2人のウェイトレスが業務を開始した。
「いらっしゃいませー」
「ご注文は?」

またまた、客は増えてきた・・・
やはり可愛いウェイトレスの効果か、店長も大喜びだ。

30分ほど経って、ターゲットが店に入ってきた。
ほぼ、予想通りだ・・・れいなのリサーチは正しかった。

49 :恋愛☆同盟 :04/07/29 21:32
「いらっしゃいませー」
絵里が注文を取りに行く。
「ご注文はお決まりでしょうか??」
水をテーブルに出しながら、聞く。

「えーっと・・・・あれ? え、えりちゃん??」
リアクションも予想通りだ。
壁に隠れて状況を伺っているれいなも、満足顔。
「なんで働いてるの??」

「あ、はい、店長に頼まれて・・・人が足りないって・・・
この服、かわいいですか??」
「う、うん・・・そうだね・・・」
            
カズ、照れてる照れてる。れいなは口の端に笑みを浮かべた。
            
・・・しかし、カズの次の一言が2人を凍りつかせた。
            
「れいなと同じなんだ。大変だね・・・」

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

絵里、そして物陰から様子を見ていたれいなに、衝撃が走った!!!

50 :恋愛☆同盟 :04/07/29 21:33
「え??」絵里は動揺しながらも、平静を保とうとしている。
「いや、俊輔から聞いたんだけどさ、れいなもここで働いてたことがあるって聞いて・・・」

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「ん?どうしたの、絵里ちゃん?」
「い、いえ・・・(くねくね)」

絵里の動揺が、くねくねに表れている。
・・・俊輔君とカズの関係のリサーチが甘かった・・・
どうしよう、どこまで俊輔君、話したんだろう・・・同じ会話は全然使えなくなる・・・

絵里も、困ったような笑顔で固まっている。

「どうしたの、絵里ちゃん?・・・あ、そうだ、れいなもいるの??」

駄目だ、いったんここはリセットしよう・・・
れいなは2人のテーブルに向かおうとした。しかし、その時だった。
絵里が、思い切ったように口を開いた。
「和博くんに、逢いたくて私はここに来たんです!!!」

!!!!!?????     

51 :恋愛☆同盟 :04/07/29 21:34
「え?今絵里ちゃん、何て言ったの?」和博も動揺を隠せない。
「さっき、言った通りです!!」

えりちゃん、何を言ってるんだよお・・・・
れいなは困った。和博も困ったようだ。

「い、いや突然言われても・・・」
「・・・和博くん、れいなさんのことがすきなんでしょ?」
!!!
絵里の連続爆弾発言。
和博も、れいなも飛び上がらんばかりに驚いた。

「い、いやそんなことは・・・」
「嘘ついても無駄です!ずっと見てたから分かります!
和博くんはれいなさんのことが好きなんです!
だから、私、れいなさんと同盟組んで、カズ君の気持ちを確かめたかったんです!!」
「???」
もう、カズはわけがわからない。

しょうがないので、れいなが出て行った。
「あ、れいな、いたのか・・・」

52 :恋愛☆同盟 :04/07/29 21:35
れいなは恋愛同盟について、説明した。
ちょっと恥ずかしいところもあるが、こうなった以上
隠すわけにもいかない。

事情を話し終えるころには、和博も絵里も落ち着いてきた。

「・・・そうなんだよ、カズ。それでさ・・・・・絵里ちゃんと付き合おうよ、カズ」
「ええ??」
「こんな可愛い子、嫌なわけないでしょ」
「あ、ああ、でも・・・」
「何よ、はっきりしないな。もう、だからカズは・・・」



「そうだよ、付き合っちゃえよ」

53 :恋愛☆同盟 :04/07/29 21:36
いきなり、後ろから声がした。
!!!

れいなも和博も絵里も、びっくりして後ろを振り向く。
・・・店長が、いた。
            
「和博くんだっけ?こんなに好きでいてくれる人なんて、そんなに
 いないよ、ホント。お客さんたちもそう思うでしょ?」

え?え?え?

周りのお客さんたちが、皆こっちを見ている。そして、頷いている・・・
なんなんですか、あなたたちは・・・
あれ?もしかしてさっきからの会話、全部聞かれてた???

恥ずかしいよ・・・・・・絵里ちゃんもくねくねしながら顔を真っ赤にしている。
店長はお構いなしだ。
「カズくん、ここで決めなきゃ男が廃るよ」

・・・・・・

54 :恋愛☆同盟 :04/07/29 21:37
若干の沈黙のあと、カズが口を開いた。
「・・・うん、まだよく絵里ちゃんのことは分からないんだけど、
 出来たらこっちから、お願いしたいな、と思うけど・・・」
絵里ちゃんがびっくりして顔を上げる。
「ホントですか?でも、カズさんはれいなさんのことが・・・」

「いや、それは違うから」カズ、はっきり断言。
「え??」
絵里とれいなは同時に声を上げた。

「それは絵里ちゃんの誤解。別になんとも思ってないよ、マジで。
 れいな、昔はもっと乱暴でさ、怖かったんだよおれ・・・
 だから、全然好きじゃない」

「あ、そうなんですか・・・」絵里は複雑な表情で、隣のれいなを見た・・・。

れいなは下を向いて、若干震えている・・・そして。
「おい、こら、カズーーーーーー!!!」

・・・・・れいなの黄金の右が、カズのボディを捉えた・・・・・・・・・。

・・・そして、絵里の願いは叶った。そして翌日、同盟の内容は変更された。

55 :恋愛☆同盟 :04/07/29 21:38
     ☆☆ 田中れいな&亀井絵里 恋愛同盟規約(改定) ☆☆

第一項 この同盟は、田中れいな(以下れいな)と中田俊輔(以下俊輔)の恋愛を
    成就させるために結ばれるものである
    尚、成就とは付き合い始める時点を指す
    他の誰との恋愛もこの同盟の範疇から外れる
第二項 絵里はれいなと俊輔の恋愛成就のため最大限の努力を惜しまない
    尚、最大限の努力に関わらず失敗した場合、その責を負わない
第三項 同盟破棄は、れいなが恋愛を成就させる気持ちが薄れた場合のみ成立する
第四項 この同盟はれいなの恋愛が成就した際に消滅する
第五項 同盟規約の変更や追加は2人の合意によって行われる
第六項 絶対、がんばる

            以上      田中れいな(印)亀井絵里(印)

126 :恋愛☆同盟 :04/07/30 20:44
れいなと俊輔の仲は、良いほうだ。
仲良く話をしている。しかし、そこからの進展が難しい。
れいなと絵里の作戦は、この1点の打破に絞られていた。

最近は和博もこの同盟に協力してくれる。
俊輔情報を提供してくれる和博は、心強い味方になっていた。
・・・れいなはしばらく和博に怒っていたが、最近は収まったらしい。
(実際、昔は恋愛感情もあったらしく、「怖かった」発言はショックだったそうだ)

「きょうは、いいネタがあるんだよ」
和博は開口一番、こう言った。
「なんですか?」

「俊輔、今度の試合に先発で出るらしいんだよ」
「うそ!!!」

127 :恋愛☆同盟 :04/07/30 20:45
2人は同時に声を上げた。あんなプレーで、先発で出るの?

「それがホントなんだよ。それでさ、もし1本でもゴールを決められたら告白する、って
 あらかじめ決めておくのはどう?れいなはこんな顔してても、あまりにも臆病だからさ」
「そうですねえ、いつか言わなきゃいけないですから、もう決めておくのがいいでしょうね」

「え?え?そんな、決められても・・・」
「れいなさん、ここは心を決めてください・・・」

「そうだそうだ。もし言わなかったら、お前の恥ずかしい過去を3つ前後俊輔にバラすからな」
「カズ!!・・・ううーん、分かった、言わなきゃ、ね・・・」

和博は部活に行き、2人は喫茶店に残った。
「れいなさん、ホントに大丈夫ですか?」
「う、うん、ゴールを決めたらだよね、俊輔君下手だから、入れられないと思うけど・・・」

苦笑いするれいなの脇で笑う、絵里の眼にある光が宿った・・・

128 :恋愛☆同盟 :04/07/30 20:46
7月31日、試合の日。

試合開始の1時間前に、れいなと絵里は会場の体育館に到着した。
和博と絵里の各方面への取材で、俊輔のスタメンは確定だということが分かった。

「ほんとなの絵里ちゃん?どうしてだろう、スタメンなんて・・・」
「うーん、やっぱり試合経験を積ませたいんじゃないですか?」

・・・チームメイト5人が食中毒になったから、ということは絵里は言わないようにしていた。

「でも、ゴールは無理じゃないかな・・・」
「ふーん、そうですかあ・・・」

??れいなは、絵里の表情がいつもと若干違うことに気づいた。
「絵里ちゃん、なにか企んでる?」
「え?・・・そんなあ、私がそんなことする訳無いじゃないですか」
 
そうだよね、そうだよ・・・・

129 :恋愛☆同盟 :04/07/30 20:47
「・・・ってね。・・・れいなさん、鋭いですね」
え?
「私、ちょっと準備をしておいたんです」
え?え?なに、絵里ちゃん?


「とりあえずれいなさん、ここで恋愛同盟を停止しましょ」

130 :恋愛☆同盟 :04/07/30 20:48
「ええ?絵里ちゃん、何で?やめるの?」

まさか、絵里ちゃんも俊輔君のことを?れいなの頭はフル回転している。が、分からない。
絵里ちゃんとカズは仲が良さそうだし・・・?????

「消滅じゃないですよ。規約上、消滅は恋愛成就しなきゃ有り得ないですから。
 だから、停止です。規約上2人の合意が必要なんで、れいなさん、『うん』って言ってください」
「そんな、全然理由も分からないのに・・・」
「とりあえず、だまされたと思って言って下さい!」

「・・・・・・・・・・・・・・・うん」仕方ないか・・・。

絵里は満面の笑みを見せた。

202 :恋愛☆同盟 :04/07/31 20:59
「はい、これで同盟は停止しましたよ。それじゃ、これからは友達として言いますね。
 友達として、1時半に体育館裏にしゅんちゃんを呼び出しました」
「えええええ?」

れいなは携帯の時計を見る。今は1時20分。試合は2時から。
「いやいやいやいやいやいや・・・・・だめ、だめ・・・」れいなは尻込みして、逃げようとする。

「だめですって、れいなさん。ここで決めなきゃ・・・」
絵里はぐいぐいとれいなの腕を引っ張る。意外と力はある・・・

「ゴール決めたら言うって、決めたじゃない・・・」れいなはまた逃げようとする。
「そんなこと言ってましたっけ?同盟は停止したんですよーーーだ」

「もう、絵里ちゃんのイジワル!」
「こうでもしないと、れいなさんは告白できないと思います、わたし!
 だってしゅんちゃんはゴール決められないだろうし、万が一決めたとしても告白できるか・・・」

「でもだめだよ、わたし・・・ぐすっ・・・」れいなは泣きべそをかきはじめた。

203 :恋愛☆同盟 :04/07/31 21:00
「ごめんなさい、れいなさん。でも、同盟って、結局は同盟でしかないんですよ。
 やっぱり、自分で言わなきゃ、自分の力で。自分の思いで」

「・・・・」

「れいなさんが私に同盟を持ちかけたとき、この人すごいって思いました、その情熱に。
 その気持ちは今でも変わりませんよ。
 でも、いくら対策を立てたところで、それを実行する勇気が無かったら駄目ですよね。
 れいなさん、思い切って言ってくださいよ。想いは伝わるはずです」

「・・・・」

「これは同盟でもなんでもなく、単なる友達のアドバイスです。
 別に、強制はしません。でも、今言わなきゃ駄目だと思います」

長い沈黙のあと、れいなが、思い切ったように呟いた。

「わかった・・・言うよ・・・言ってみる・・・すきって・・・付き合ってほしいって・・・」

204 :恋愛☆同盟 :04/07/31 21:02

「そうらしいですよ、しゅんちゃん!」

ええええええええええええええ???
れいなは、後ろを振り返る。・・・・・・俊輔が、いた。

「ほら、れいなさん。答えを聞いてくださいよ」
絵里はれいなを俊輔のほうに押し出す。

「・・・あの・・・そういうことなんですけど・・・」
れいなの変な問いかけ。



「いいよ、付き合ってみようよ、俺もれいなちゃんを見てると元気になれる」



「!!!」れいなには、とりあえず、この試合がんばって、というしか、言葉が出なかった。

205 :恋愛☆同盟 :04/07/31 21:03
「そうそう、ゴールは無理、なんて言わせないよwww」


絵里は苦笑した。


まあ、ゴールは出来なかったんだけどね。

でも、一生懸命頑張る俊輔を、れいなは、大好きだと、感じた。

いくら倒されても、食らいついていく、そんな俊輔を。

206 :恋愛☆同盟 :04/07/31 21:04

そして2人の恋愛同盟は、規約により消滅した。
しかし対策本部は継続し、よく会議は開かれている。
・・・単なる雑談のような気もするが。

きょうも、あのファミレスにて。

「絵里ちゃん、きのうのデート、どうだったの?」
「楽しかったですよー、あ、でも・・・」
「でも?」
「ちょっと、迫られちゃって・・・・あの、初めてを・・・」
「えええ?それでどうしたの?」

207 :恋愛☆同盟 :04/07/31 21:05
「もうちょっと待って、って言っちゃった。やっぱり初めてだから、
 気持ちの整理が・・・、って、れいなさん、どうしたんですか?」
「このーーーーーーー、カズの野郎、もういっぺん殴らなきゃいけないか・・・」
「れいなさん、抑えてください。だって、しゅんちゃんも・・・」
「俊輔君が、どうしたの?」
「しゅんちゃんも、『れいなちゃん、まだキスもさせてくれない』とか言ってたらしいですよ」
「・・・・(赤くなるれいな)」

「れいなさん、気持ちは分かりますけど・・・記念ですからね。でも、後悔はしないと思いますよ」
「う、うん・・・・」

208 :恋愛☆同盟 :04/07/31 21:06
ファミレスに、俊輔と和博が入ってきた。
「遅くなってごめん、絵里ちゃん」
「い、いえ・・・」
「あんたなんか待ってないよ、カズ。この変態」

和博とれいなの喧嘩を、絵里と俊輔が止めようとする。お決まりの風景だ。
不思議と、この4人の関係はうまくいっているようだ。

落ち着いた後、俊輔が言った。
「れいなちゃんも絵里ちゃんも、ホント仲良いよね。さっき俺らも話してたんだけど、
 彼氏でも妬いちゃうくらいだなって・・・」
「そうですかあ?(くねくね)でも、変な趣味ではないですよお」
「何いってんの絵里ちゃん。でも、私たち、同盟仲間だもんね!」

209 :恋愛☆同盟 :04/07/31 21:07
「あれ、同盟は消滅したんじゃないの?」
「恋愛同盟は消滅したよ。でも、男2人が変なことしないか、互いに監視しなくちゃ。
 監視同盟っていうの、作ったから。ね、絵里ちゃん」

「そうか、それは注意しなきゃ。な、和博」
「・・・ふん、れいなに俊輔が殴られないよう、監視したほうがいいんじゃないか」

れいなの黄金の右が、和博の左脇腹を深くえぐった・・・・・・・・・・・・・・・・

(了)



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