All About Love
- 8 :All About Love :04/10/06 23:55
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俺の名は修太郎
19歳の大学生
今日は俺にとって悲しくも大切な日
俺の妹の三回目の命日
妹の名は加奈
垂れ目で猫顔で…可愛らしいやつだった
俺達、兄妹は愛し合っていた。
お互いがお互いを愛していた
そんな加奈も三年前交通事故でこの世を去った
そりゃ、落ち込むどころじゃなかったけど、、今になればもう……
俺は今年も加奈の墓参りを済ませて
加奈との事を思い返しながら我が家に向かっていた
- 11 :All About Love :04/10/06 23:57
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ボーッと妹との事を考えながら信号待ちをしている
信号が青に変わった
変わった信号にハッと気付き、ゆっくりと歩き出す
目の前に見慣れた顔
加奈?いや、まさか
いや、加奈だ
年も同じくらいだろう
でも、加奈がいる訳が無い
そんな事を考えているうちに
加奈似の女の子と偶然ピントが合った
二人はふと立ち止まった
その瞬間クラクションが鳴り響いた
俺は反射的に戻ってしまった
しかも、加奈似の女の子も一緒に
息を切らしながら交差点を渡り切った
- 12 :All About Love :04/10/06 23:59
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そんな事を思っているとき
「しっかり前見て歩かんと危なかよ」
俺に一声掛けて加奈似の女の子は去って言った
彼女は定期入れを落として行った
「あっ、定期入れ」
声を掛けた時にはもう彼女はいなかった
定期には田中 れいなと書かれていた
「れいな…か・・・」
他界したはずの妹に瓜ふたつの女の子
運命の出会いだった
- 88 :All About Love :04/10/08 07:00
- それから毎日、同じ時間
あの交差点でれいなが来るのを待っていた
来るかも解らない人を待つのは不安だった
でも、会えなくなるのは嫌だから
もう一度会いたいから
来る事を願って待っていた
れいなを待って三日目
もう諦め掛けていたころ
目の前には俺の待ち続けたあの顔
れいなだ!
れいなはこっちに向かってくる
だんだん距離が近くなる
5m……
3m……
2m……
1m……
- 90 :All About Love :04/10/08 07:04
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『ねぇねぇ。なんでずっと私の事見とるん?』
「わぁっ!」
自分から声を掛けようと思っていたのに…
先制攻撃をくらった
「いや、この前、定期入れ落としてたから」
『あっ!ありがとうございます』
れいなと話していると妹を思い出す
そして、また恋心を抱いてしまう
そんな事を考えてるうちに
『それじゃあ、失礼します』
れいなが帰っていく…
俺は自分の気持ちを抑えられなくなった
ここでれいなが行ってしまったら…
- 91 :All About Love :04/10/08 07:06
- 「待って!」
『えっ』
れいなは立ち止まって振り返る
「もしよければ……今度、お茶でも」
れいなは少し考えた仕草をして
『いいですよ。』
俺はこの時のれいなの笑顔に懐かしさと愛しさを感じた
その後は予定を決め連絡先を交換して俺は家に帰った
次にれいなに会えるのは三日後
俺は少し複雑な気持ちでその日を待っていた
- 158 :All About Love :04/10/09 07:22
- 今日はデート当日
喫茶店には家から約15分
喫茶店には10時にという予定だが…
起床時間……七時
何故なのか目が覚めた
目覚めもよい
小学生が遠足で早起きしてしまうとよく言うが、この事だろうか
とにかく、仕度をしよう
〜準備中〜
準備完了!
俺はそわそわしながら喫茶店に向かった
その時の気持ち
複雑
妹じゃないのに妹の時と同じ気持ち
そんな事を考えていると
目の前には喫茶店
- 159 :All About Love :04/10/09 07:22
- 約束の時間の2分前
喫茶店の前で待つ
〜〜♪〜♪〜♪
メールだ
携帯電話を開いてメールを見る
れいなからだ
「10分位遅れます。先に入っててください れいな」
そのメールを見て俺は喫茶店に入った
- 225 :All About Love :04/10/10 20:56
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喫茶店に入ること約10分
『待った〜?ごめーん。』
れいながすまなそうな顔をしてこっちに向かってくる
「大丈夫。気にしてないよ」
俺達は飲み物を頼み軽く雑談をしていた
そして、俺は思い切ってれいなに妹の事を打ち明けた
『修太郎さん…そんな過去があったんだ』
沈黙のなか、れいなが言葉を発した
『れいなで良かったら妹さんの変わりになるよ。れいな、修太郎さんのためになりたいの。修太郎さんと一緒にいたいの。』
この言葉に俺は何かを感じた
「俺も田中ちゃんと一緒に居たい」
- 226 :All About Love :04/10/10 20:59
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少し間があって
『行こうか』
れいなが笑顔で言う
「そうだね」
俺も笑顔で答える
二人は自然と手を繋ぐ
自然と目が合う
二人がニッコリ笑う
手を繋いだまま喫茶店をでる
『またね』
「それじゃあ」
手を離して二人は帰って行った
- 274 :All About Love :04/10/11 22:24
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あの告白から三年の月日がたった
れいなは18歳になった
修太郎とれいなも三年の間にいろいろな経験をした
ケンカもした
キスもした
契りも交わした
そして、今日はカレンダーには載らない大切な日
かけがえのない人と迎える記念日
見慣れたはずのれいなの横顔が眩しい
純白のドレスに包まれたれいな
- 275 :All About Love :04/10/11 22:26
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「綺麗だよ」
俺の言葉に目を少し潤ませて
『ありがと』
と一言
俺達は今、幸せです
お互いがいるから幸せの意味があります
今日、れいなと俺は結婚します
しかしそんな日も長くは続かなかった
- 291 :All About Love :04/10/12 01:17
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俺とれいなが結婚してもう三ヵ月はたつだろうか
れいながいなくなって一ヶ月
そう、れいなも加奈と同じ様に俺の前から姿を消した
俺はこの一ヶ月家にも帰らず街をふらついていた
今日、久々に家に帰った
家はあの時のままだ
れいなが何時も使っていた鏡台があった
俺はその鏡台に座った
そこにはれいなが何時も使っていた櫛あった
れいなの髪の毛が付いている
ドアの方を見る
今でもれいなが
『ただいま〜』
と、言って帰ってくるようだった
- 292 :All About Love :04/10/12 01:24
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クローゼットを開けた
そこには、れいなが何時も着ていた赤いワンピース
それを見ると自然と涙が溢れてくる
それから数日後
友達のパーティーに呼ばれた
俺は会場に入って入口付近に立ち止まっていた
すると、三人組の女の人達が入って来た
その中で赤いワンピースを来た人が居た
偶然にも、その人と目が合った
その人は軽く会釈をした
俺も会釈で返した
何故か懐かしい感じがした
懐かしい恋心が溢れてきた
その時
どこかでれいなの声がした
『いい人じゃない。頑張って』
終
从*´ ヮ`)<モドル