華麗なる一族」 撮影参加レポ


                                                       by 匿名希望様

思っても見ない神様からのプレゼントで舞い上がってる。

眼を瞑れば浮かぶ光景も、日々頼りない我が海馬から零れるように薄れていく。
この幸せだった人時を忘れない為にも、その時の事を書き残しておく事にする。

前日に来た非通知電話。
いつもなら出る事は無いのに、そして仕事中なら出られないし、その日が仕事休みの日じゃないと実現しない好運。
全くラッキーとラッキーが重なって実現した夢の様な貴重な経験。

2006年10月27日 大阪弁天町の「交通科学博物館」での07年1月期TBS「華麗なる一族」の撮影にエキストラとして参加して来た。


*12:15施設の玄関口に集合。
大体30〜50代後半くらいまでの年齢の人、男性11人女性5人が集まっている。
超簡単な確認でこの後45分に同じ場所に集合との事。
この時点で誰が撮影にやって来るかは知らされていない。
ここで「スタッフ」と書いた名札を渡される。
これがあれば館内に入れるらしい。
そこで知り合った女性二人が着替えると言うので館内のトイレに。
今日は天気も良く、幼稚園の遠足か館内は園児で溢れていた。
当然トイレも園児の列。
仕方なく片隅で着映え、5分前と言う事で集合場所に戻る。
そこにずっと居たらしい男性が「木村さん、もう来てますよ」と教えてくれる。
え、えーーーーー!!「木村さん??」と聞く。
「木村さんって!!?」と焦って聞く自分に「木村拓哉さんですよ。ここから12:35頃に入って行かれました」と!!!
ひゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!マジでーーーーーーーーーーーー!!

確かに1月からの日曜劇場のロケだとは知ってるが、大阪で撮っているのは大蔵省関係だったから今日もきっとそちら関係だと思っていた。
予定の時間も12:30〜16:00と言う短い時間になっていたので、1〜2シーンだろうと踏んでいた。
この僅かのシーンだけの為にはやって来ないだろう。来るとしたらきっとまとめて撮るはずだから今日は無いだろうと考えていた。
例え拓哉が来なくても撮影となれば福澤さんも来るだろうし、撮影風景や現場の空気感を感じる事が出来るだけで幸せだと思っていた。
又と無いチャンス、それだけでも十分満足だったのだ。
が、が、拓哉が来てると!!!
俄然手に汗をし、緊張してきた。
45分に集合。
ここで又細かい注意。
ADさんの口からは俳優さんと言う言い方しか出て来ない。
「エキストラの皆様は決して俳優さんをじっと見ないで下さい。俳優さんは集中されてますのでじろじろ見ないで下さい」
などと念を押される。
この時、今まで俳優さんと言っていたのがぽろっと「木村さん」と出てしまう。
「あっ木村さんって言っちゃった。まぁもういいか。」とその後の説明は木村さんになる。
私の頭の中では「木村さん、木村さん」が回っている!!
めちゃくちゃ緊張してきた。
ど、どうしよう・・・・・・。

案内されて撮影現場に入る。
開通当時の古い0系新幹線の中。
設定は昭和42年3月頃の東京から大阪へ向かう夜の新幹線。

木村さんの座り位置はここだからと先出のADさん。
それだけでドキドキしてくる。
適当に振り分けられ私は鉄平の席と思われる所よりも5席分くらい前の反対座席になる。
新聞を読んでいる人や、文庫本を読んでいる人、隣と話している人など、設定や説明が続くうち、
「木村さん、入いられます。」のADさんの声の後に、後方から「おはよう御座います」と小さな落ちついた拓哉の声。
何しろ前に居るので振り返る勇気が無い情けない自分。
が、勇気を出して振り返ると、いたーーーーー!!!本物の拓哉だーーーーーーーー!!
座っている為、スーツの襟元から顔だけが見える。
凛々しい!
もうすっかり鉄平になってる。
その姿を確認して益々固まる私。

一度座ってから前の車両にいると思われる監督やスタッフに挨拶をしに私の横を通って前に行く。
ひゃ〜〜〜!!
近い、近すぎる!!
前を向くと笑っている横顔がはっきり見える。
びしっと着たスーツがカッコイイ。
席に戻るためこっちに向かって歩いてくる。
顔を上げられず拓哉の靴を凝視!
ピカピカに磨かれた黒の革靴、革靴まで輝いて見える。

カメラの設定が始まり、その間はちらちら振り返って見る事を繰り返す私。

時折眉間に皴を寄せたり、かなりシリアスな顔をしている。渋くて哀愁のある横顔にドキドキ。
鉄平に入り込んでいるようだ。

カメラは車両入り口のドアの直ぐ右側に。
拓哉はカメラから座席を見て左の二人掛けの椅子の窓際。
多分8番のEだったろうか(確認は出来なかった)ちょうど中頃あたり。

とそこに正面奥から「真夜中の新幹線でこんなに乗客が密集してないでしょう!」と監督が登場。
お〜〜う、頼もしく身体のでかいお髭のジャイさんだーーーー!
(この人なら拓哉を包んでくれる、なんだかそう思った)
この言葉を受けてもう一度エキストラの座席をバランスよく配置換え。
ここで私はもう一つ後ろの通路側に移動させられる。
おーーー拓哉と少し近くなった。
通路を挟んで間は椅子3っつ。
テストが始まり、演技が始まる。
カメラが回ってない時にはちらっと振り返って様子を見る。

◎真夜中の新幹線の中の鉄平。
◎「次は新大阪終点です」のアナウンスを受けて席を立ち、カメラ方向にあるドアに向け歩いてくる鉄平。
この二つのシーンを撮る。

又監督の指示で窓の外に「クロマキー」を張る事に。
クロマキーとは拓哉も以前説明してくれたようにブルーバックの事だ。
この間は又待たされる。
撮影はこの準備時間が本当に長いのかが良く分かる。
その間、ずーっと集中力を切らさずにいる俳優も本当に凄いと思う。

ADさんが何か話し、拓哉がそれに「大丈夫っ、大丈夫っ」と答えているのが聞こえる。
始終真剣な顔つきの鉄平になっていたけど、スタッフと話す時には笑顔も見えた。
振り返った一瞬、スタッフと話をしていたのか、にこっと笑ったのである。
その一瞬の笑顔がなんとも可愛くて可愛くて、その幼く見える笑顔に思わず「きゃ〜〜!」と声が出そうになった。

クロマキーも張り終わり再び撮影再開。
同じシーンを引きの画面とアップと撮って行く。
席を立ってドアまで歩く所では通路側に座っている私の腕に触れんばかりの所を鉄平のスーツが通り過ぎる。

ここで、カット!カット!!
エキストラに駄目出し!!!
「皆、駅に着くのだよ!今のままじゃ降りる気無いでしょう。ちゃんと降りる様な動きをしなきゃ!」とADさん。

そこで荷物を下ろしに立ち上がる人とか、新聞をたたむ人、気が付かずに寝こけている人、様々な動きを要求される。
僅かな指示はあるけど、各自考えて動いてくれと言われてしまう。

緊張しながらも少しでも良いものになる様、拓哉の演技の妨げにならない様、自分なりに一生懸命演技した。

古い新幹線と言う事で、今のよりも座席数も少ない様に感じたし、通路幅も狭く感じた。
直ぐ横を通る拓哉のスーツに(そう、顔を上げることは出来ない)心臓も高鳴る。

順調にこれらのシーンを録り終え、今度は別の日の設定で撮る事に。
この時、時間は14:00くらい。
持参した違う服に着替えたり、トイレに行ってもいい事になる。
更に拓哉は後ろの入り口から出た模様で席には居なかった。

上の洋服を着替えトイレも済ます。
車両に戻ると既に皆は席のシャッフルに入っていた。
各自が適当にシャッフルして座っている風なので、私は慌てて前の席の荷物を持ち、拓哉の席と思われる側の後ろの席を確保。
ふと前を見ると、見覚えのあるカールの頭。
更に拓哉はごたごた人が動いてる中で座席に座っている!!
私はアタフタと拓哉の横を荷物を取りに行き、又アタフタと横を通り後ろに移動したのだ!(汗)

拓哉の真後ろ、隔てるものは誰も座っていない座席3つだけとなる。
鉄平の席は今度は6番のE(今度は確認した)
直ぐ前に男性が座ったが、通路側。
窓際の拓哉と同じ窓際だからよ〜〜〜くあのカールが見える。
今度は後ろからだから、正面の拓哉はじーーーっと見ていられる。
座っているので残念だけどその多くは、あのカールした頭!
毛束の先までよ〜〜く見える。


今度は昼間の新幹線の中の様子を撮る。
今度はスーツの上着を脱ぎ、Yシャツ姿で撮影。

ぴしっとしたYシャツの襟元がこれまたカッコイイのだ。

何度かテストを繰り返しした後、やはりこの場合も窓の外にクロマキーを張る事に。

撮影の間には例の如く、メイクさんに髪を直されるされるがままの拓哉が見える。
パフで頬を軽く押さえて貰うのは1回だけだったけど、軽く髪を直されるのが数回。
じっとされるがままの姿に私の胸はときめく。

ご存知の様に撮影はこのカメラの設定や背景の作りこみなど、色々な準備の時間が実に多い。
意識を集中させる時には可也シリアスな鉄平の表情に。
が、合間にはスタッフと談笑して極めてリラックスした様子で撮影をしていた。
この撮影がそんなに難しいシチュエーションではないからかも知れないが、集中とリラックスの切り替えは見事である。

準備の間などで、横を向いてスタッフと話をしたりする耳の前から頬にかけての線が見られて、その綺麗なラインにうっとり。
時々見える睫毛が長く、彫りの深さが良く分かる。
スタッフと談笑中に右手拳を前の椅子の上において、トントントンと叩く素振り。結構、ご機嫌?と思われる。
その右手の甲の筋までもが可愛い(*^_^*)

今回台詞は無いシーンなので台詞を喋る拓哉の声は聞けないのだけど、スタッフと会話する声が聴こえて来る。
拓哉の生声〜〜〜〜〜!!
が、小さな声で喋る拓哉。もっともっと聴こえる様に喋って〜〜〜と心の中で叫んでいる自分。
でも確かに聴こえた。
渋く低くと言う訳でもなく低いけど若く響く声。
拓哉の会話の声である。

長く座ってて疲れたのか、首をほぐす為に大きく左に傾けるとボキボキボキーと拓哉の首の骨の音が聞こえた。(笑)

昼間のシーンと言う事で、みかん持参のエキストラさんにはそれを食べて貰う事に、そしてスタッフからの駅弁を食べる人もいる。
そのみかんを人房もらい、その場で口にするスタッフ。
おい、おい、いいのか〜〜!(笑)

スタッフさん同士も冗談を言いあったりなどして、現場の雰囲気は中々和やかだ。
難しいシーンでもないせいか、そうピリピリした空気も無く、始終楽しそうに撮影が進んでいた。
今回、例え拓哉が来なかったとしても、拓哉が参加するドラマの現場の雰囲気を感じる事だけで、それだけでも全然オッケーだったのだ。

極めて順調に撮影が進み、今日の撮影予定はこれで全部終了ですと、ADさん。
「木村さん、お疲れ様でした。エキストラの皆さんもお疲れ様でした。」のスタッフさんの言葉を受け、拓哉は立ち上がり、エキストラの
みんなの方に向かって微笑みながら、挨拶してくれた。
この時の笑顔のカッコよさ、可愛さに目がハートになったまま呆けていたのか、帰って行く拓哉の姿は全く記憶にない。

この後エキストラの皆は正面玄関前に集まり、ADさんからお礼の言葉と、今日のドラマのタイトル、TBSが全力を注いでいるドラマなので宜しくお願いしますと、
謝礼の豪華(?)な「TBS携帯ストラップ」を渡される。
たった数シーン撮るだけのために木村さんは大阪に来ました。自分たちもこれから直ぐにとんぼ返りですとの事。

こうして無事に順調すぎる位順調に(もう少し長く撮影が続いても良かったのに)、大阪での撮影は14:40に終わったのである。

撮影を終えた拓哉を見送る為、出口付近の館内では職員や警備員達、スタッフの人々が並んで拓哉の姿を待っている。
玄関先には初老の優しい顔をした移動用大きめバンの運転手さんも、今か今かと待ち受けていた。
おおよそのスタッフは先にバスで帰って行った後、早めに終わった為、帰り便の時間待ちをしていたと思われる拓哉はその後1時間位して玄関先に現れる。
見送る人達一人一人の顔をしっかり見ながら、軽く会釈を繰り返しつつ、窓口のお嬢さんにもしっかり挨拶をしながら建物を後にする拓哉。

チャコールグレイの半そでTシャツに下はデニム。
右手に黒のジャケットを引っ掛け、頭には最近拓哉のマイブームなのか鶴岡と同じ様な帽子。
これに薄めの色のサングラスで歩く姿は、はちゃめちゃにカッコイイ!!オーラ出まくりである。

車に乗り込んでも透明ガラスを開け放して、ずーーっとこちらの玄関先を見ている拓哉。
玄関先には僅かな職員と私だけ。
ずーーっとこちらを見ている拓哉に思わず声には出さずに「お疲れ様でした。」の思いでぺこりと頭を下げた。
私服になって余計にオーラありまくりの拓哉だった。
15:55、車の窓を開け放したまま帰って行った。

私の座席の方に向かって歩いてくる2mも無い距離で見た拓哉は、あの舞台挨拶の時の感じをもっと立体的に彫りの深い感じにした様で、何故か鼻から下、口元にかけて凄く幼く可憐な感じに見えた。
瞳は凛々しいのだけど、なぜか幼く愛おしく可愛い感じ。
この表情が眼を閉じるとふっと浮かんで来て、ドラマの最後の切ないシーンの時の表情が想像され、鼻の奥がツーンとしてくる。

現場で一緒に時を過している時はなんだか信じられなくて、実感が沸いて来ず、思った以上に冷静だったりするのだけど、こうして回想していると、その実際に逢った姿に切なさや愛おしさがどんどん増していって、どうし様も無く拓哉を好きでいる自分に気が付く。

どんなに短い時間でも、どんなに端っこの隅でも、もの作りには必要で大切な一部分。
放送されれば高々1分も無いシーンだけど、狭い車両の同じ空気感の中で、拓哉の大好きなもの作りに微塵ながらも協力で来た事は本当に嬉しく幸せな事だと思う。


この日集まったエキストラの中で今日の撮影が「華麗なる一族」だという事を知っていた人は数人だけだった。
まして木村拓哉が来るなどとは誰一人として思っていなかったようだ。

一生に一度であろう貴重な経験を下さった神様に心より感謝いたします。

自分の大切な大切なキラキラ輝く拓哉との思い出として、心の奥にそっとしまっておこう。