「We Will Rock You」観劇レポート

2002.5.4 ドミニオン劇場












インターネットで5月にはどんな舞台があるのかなぁと思って調べていたら、このお芝居にぶちあたった。タイトルから考えてもしかしてQUEEN関係なのか?と思って調べてみると、どうやらQUEENの曲が芝居全編にわたって使われるらしいというので迷うことなくチケットをネットで購入。しかも本公演は5月14日(?くらいから)スタートということでプレビュー公演扱いのために、本公演よりディスカウントありという嬉しい特典もあるのであった。しかもドミニオン劇場はずーーっとあの有名な「美女と野獣」を公演していたのを終了してこの芝居にするというのだから、ちょっぴり期待しているのであった。ちなみにチケットの購入にはチケットマスターが大変便利。こちらでは自分が見たいお芝居のチケットの有無が簡単に検索できます。しかも事前に座席までわかるので、すごく便利。しかも手数料もかなり良心的。一応念のためにチケットを郵便で送ってもらったのですがその手数料が3.5ポンド(700円)、あと申し込み手数料がだいたい1.5ポンド。ねっ、日本のイープラスやチケットピアで申し込むのと大差ないでしょ。ただ、現在は海外郵送は無しになって劇場窓口引取りになったみたいだけど、それもやってみましたが全然問題なく大丈夫でした。

とりあえず早い目に劇場に入ってパンフに目を通して勉強しなくっちゃということでパンフを購入。まあしょぼいといえばしょぼいが、物価の高いロンドンで3ポンドは嬉しい値段だわ。そしてざっとキャストに目を通し、音楽監督にロジャー・テイラーとブライアン・メイの名前を発見。嬉しいぃーーーー!しかもブライアンなんてコーラスにまで参加している模様。ああ、期待で胸がどきどきだわ。そしてメインキャストの今までの舞台のところにRENTやらロッキーホラーショーなどの私が好きな舞台があってこれまた楽しみになってくるのであった。そして何がすごいって、アンダーの形態に驚いた。アンサンブルの人達がどうやらアンダーに入るらしいのだが、1人の役に3人ほどアンダーがついているのであった。うーーん、やっぱり層が厚いのと、レベルの高さ、そしてロングラン公演ゆえにこういう形態が取られるのであろうか?さすがは本場だ。

脚本:Ben Elton 監督:Christopher Renshaw
Pop:Nigel Planer、Khashoggi:Alexander Hanson、Galileo:Tony Vincent、Scaramouche:Hannah Jane Fox、Killer Queen:SHaron D Clarke、Britney:Nigel Clauzel、Meat:Kerry Ellis

あらすじ


あらすじは本当にシンプルだと思います。2046年、地球では楽器を全て葬り去り、音楽を作ることが禁止される。そしてそれに反したものは逮捕されるという世の中に。ここで、ん?2046年。どっかで聞いたような年号だと思っていたら、例のウォン・カーワイ監督の映画でしたわ。こちらはちゃんと近未来を描ききっているのになぁ。しっかりせーよ、カーワイ!!最初のオープニングがカーテンをスクリーンとして利用して今までのロック・ポップミュージックの歴史を映し出すという心憎い趣向。最初はプレスリーのハートブレイクホテルで始まり、ビートルズ米国を席捲、QUEEN「ボヘミアン・ラプソディ」を発表、セックスピストルズBBCでの放送を禁止されるなどという具合。そして21歳になって演奏するための免許を取得できる、コンピューターで作った音楽以外は放送禁止、そしてロックポップ音楽を禁止という世界ができあがるという趣向。画一的な音楽によって若者をコントロールして経済&世界を握ろうっとするのがグローバルソフト社のCEOであるキラークィーン。彼女はエンターテイメントから食品からファッションといったものを全てコントロールして、考える頭を持たない若者を作り上げようとする。そしてそれを助け、違反者を逮捕するのが秘密警察のカショーギ。最初の逮捕者となるのがテープレコーダーにポップ・ロックの歴史を吹きこんでいたヒッピー風のポップ。そして次が自分の頭の中に浮かんだ歌詞・メロディを歌うことによって捕ったガリレオ。そして今度は画一的なファッションが嫌でGAGA Girlとは別の独創的なパンク風の格好をしているスカラムーシュ。そんな独裁者であるキラークィーンが恐れるのがボヘミアン。自由な心を持つ彼らが歌うラプソディは彼女にとって脅威の的。これによってコントロールされた若者達が自由になるのを恐れるのであった。そしてガリレオとスカラムーシュは自分達の歌を作ろうとし、ボヘミアンのブリトニーとミートに出会う。が、どうやら発信器を埋め込まれたガリレオとスカラムーシュのせいで彼らの秘密アジトハートブレイクホテルに踏み込んできたポップたちに捕まったボヘミアン達は洗脳されアルコール依存症になって自由な心を失ってしまう。彼らを助けに来たガリレオとスカラムーシュはその酒場で同じく捕まっていたポップと出会い、この世の中に隠された楽器があることを知らされる。その隠し場所に出かけた3人だがそこは廃墟となっていた。楽器がなくってもロックはできると頭の中に浮かんできたフレーズ、リズムを歌い刻むガリレオ。それこそが「We Will Rock You」突然廃墟の門が割れ現れたのはエレキギター。若者の達のためにロックする3人。洗脳がとけ、ロックがそして自由な世界が戻ってきたのであった。多分、こういう感じだと思う。(笑)

感想


ストーリー自体はシンプルなんだけど、台詞がテンポがよくって風刺がきいていて面白い。これが100%完全に理解できたならもっと面白いと思うけど、半分くらいでもかなり笑えるから凄い。しかも台詞自体がQUEENの名曲の数々のフレーズから作られているので、台詞を言って歌へとなるのがすごくスムーズだし、台詞から次はこの歌だわというのが容易に想像がつくんだな。もう歌が流れ出すと自然に体が動き、リズムを取っている自分がおります。オープニングは洗脳されたGAGA Boys&Girlsとなった若者達が歌うRADIO GAGAでスタート。これが面白い。近未来的なコスチュームにちょっと変わったダンス、そしてバックにアンドロイド風が同じ振りで踊るシーンがスクリーンに流されるというもの。つまり若者達は自分達で考えることができないアンドロイドというのを言いたいんだと思います。しかし、ぴたっとしたレオタード風の衣装なので股間に目がいってしょうがない。(笑)しかしアンサンブルの皆様すごいレベルだわ。一糸乱れぬダンスにあの体の柔らかさ。凄い。そして自分の頭の中に浮かんできたフレーズを歌ってしまうドリーマーことガリレオの最初の歌が「I Want to Break Free」。スカラムーシュのシーンはGAGA Girlsから人と違うけどどんな男の子が好みなの?と聞かれて「Somebody To Love Me」といった具合。このサムバディ〜を歌うスカラムーシュ役の女優さんが凄い。細いし小柄だけどすごい声量で感情が伝わってきて、鳥肌たちました。そしてインパクトが強かったのがキラークィーン登場のシーン。そりゃ歌うはもちろん「Killer Queen」。衣装もど派手のすごい存在感にソウルフルな歌。Killer Queen役の女優さんとことん思いっきりやってくれるので凄いですわ。あとガリレオとスカラムーシュを捕まえそこなったことを報告するポップに対してキラークイーンは地獄へ道連れを歌うしで、本当に台詞が仮にわからなくってもクイーンが好きだったら文句無しに楽しめます。とにかく出演者全員の歌のレベルが凄い。凄すぎる。ニューヨークでRENTを見た時も鳥肌たったけど、今回の方が個人的には好みかも。しかし、ボヘミアン達が隠れているのがTottenham Road Court(このドミニオン劇場がある所)にあるハードロックホテルっていう設定から、そのボヘミアンたちの名前がポール&リンダとかプリンス、ブリトニー・スピアーズ、ミートローフとか遊び心満載。メインキャストはそれほど衣装は替わらないけど、アンサンブルはそりゃもうバービー人形のごとく衣装替えがいっぱいあってそりゃそれだけでも楽しい。近未来的な衣装やら、ボヘミアンたちはパンクっぽいのやら見てるだけで楽しいし、セットもかなり凝っております。せり上がり&奈落を美味く使ってるし、ゴンドラやら回転台ありで見ていて飽きない。それに後ろのスクリーンも結構凝っていてその映像見てるだけでも楽しいし、本当に凄いっすわ。最後に全員で「We Will Rock You」を歌うシーンは圧巻です。手拍子、足拍子ありで劇場全体がロックしてました。出演者全員が挨拶してその後でこれを歌わないと終わらないだろうの「Bohemian Rapsody」も凄かった。個人的にはフレディしかこの歌は歌えないと思っているのですが、ガリレオ役の役者さんははさすがに高音部はちと辛かったけど自分のものに消化して歌っていたし、パートパートで主要キャストが歌うのもパート割がうまいなと感心して聞いておりました。すっごい楽しかった。ただ不思議だったのはこれが終わったらお客さんはみんなアンコールの手拍子も無しにさっさと帰っていった。こちらではこういうスタイルなのだろうか?うーー、もう1回見たい。いや、それがダメだったら絶対にCD欲しい。ネットで購入できるようにしてくれぇーーーい!!できれば日本にも来て欲しいなぁ。RENTみたいにカバーしてくれてもいいけど、キャスト的に難しいよな。それに結構隠語が多いのでこれを翻訳するのも難しいだろうしな。(爆)こんなに凄いのに一番高いシートで7500円ちょっとって凄い。ああ、ロンドンに住みたいな。(笑)こちらの座席システムはすごくリーズナブル。どこからどこまでがこの価格。ちょっと後ろになるとこの価格。2階でもエリアによってチケットの値段に差があるし...日本も見習って欲しいもんですわ。とにかくこのお芝居を見たら帰りは絶対にずっとQUEENの曲を口ずさんで帰ること間違いなし。私もそうだったし、周囲の人もそういう人多しでした。(笑)ちなみにガリレオ役のTony VincentはブロードウェイのRENTでマークとロジャー役の両方を演じられていたようです。機会があれば是非!!!!

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