ダブリンの鐘つきカビ人間観劇レポート

2002.4.27 ドラマシティ


作:後藤ひろひと 演出:G2
出演:おさえ(水野真紀)、カビ人間(大倉孝二)、戦士(橋本さとし)、真奈美(遠藤久美子)、聡(長塚圭史)、侍従長(中山祐一朗)、神父(山内圭哉)、天使(及川健)、とまり木(田尻茂一)、目玉(八十田勇一)、王(後藤ひろひと)、市長(池田成志)、ジジイ(若松武史)

あらすじ

霧のために進むことができなくなった真奈美と聡のカップルはぽつんと1つだけあった家で休憩することに。そこには素性のわからない男が一人。そしてなぜか剣が置いてあったのであった。そして男に勧められるままお酒を飲む聡。そして真奈美は霧の中、聞こえてきた歌が気になって口ずさむのであった。「見たよ、見たよ、カビ人間が火をつけた。教会に火をつけた♪」
そして目が覚めた2人は見知らぬ町にいるのであった。そこはダブリンと呼ばれ、町には得体の知れない病が流行っており、症状は病人によって千差万別、しかも見舞いに訪れた王までもがその病にかかり、そのことを忘れ閉鎖令を出してしまい、誰一人町を出ることはできなくなってしまうのであった。あるものは背中に羽がはえ、あるものは額に目ができ3km先までもが見え、あるものは鳥が手の先に止まり、そして全身がカビにおおわれているカビ人間、思っていることと喋ることが正反対の女性。この病を治すためには奇跡をおこす「ポーグマホーン」の剣で100人を殺さなければならないのであった。しかし、ポーグマホーンを手に入れるためには幾多の試練の道が待っているのであった。町の人間が誰も行きたがらない中、自らが行くと言い出した真奈美。そして王からの褒美はSMAPが6人時代のテレカ!(笑)えーー、そんなのという反応に余の子供に迎えると言いながらも、王はなぜかテレカにこだわり、森君もいるのだぞ!!とアピールするのであった。(笑)
そして真奈美&聡のカップルが「ポーグマホーン」探しの旅に出かけるのであった。しかし、ここに「ポーグマホーン」が見つかることを良く思わない男がいた。それはこの町の市長。彼はこれを機に町を支配しようと企んでいたのであった。そして高校時代からの友である神父を抱きこみ、戦士に真奈美と聡は邪教団の一味なので彼らより先にポーグマホーンを持ち帰るように命ずるのであった。そんな戦士にはおさえちゃんという美人の彼女がいるのであったが、彼女は自分が言いたい言葉と反対の言葉しか喋られない病にかかっているのであった。
森の中で戦士とであった真奈美と聡は剣を抜いての戦いになるが、剣を交わしているうちに、戦士は真奈美の心の中が何のにごりもないことに気づくのであった。そして仲間が一人増え、チャララチャチャチャーン♪、3人で「ポーグマホーン」探しの旅に出るのであった。正体が見えない怪獣が現れ、絶対絶命状態の3人。しかし、なぜかエルビスの格好になった聡が「ラブミーテンダー」を歌うと、眠ってしまった怪獣。そこを戦士と真奈美の2人でトドメを刺すのであった。そして最後は黒ヒゲ危機一髪ゲーム。樽に刺さっている剣の中から1回で「ポーグマホーン」を見つけなければいけないというもの。悩む戦士と真奈美。そんな時、僕は知っているよと言い、見事ポーグマホーンを抜く聡。こうやって3人はポーグマホーンを無事手にすることができたのであった。
一方、町ではみんなからの嫌われ者カビ人間は、醜い姿とは裏腹に心優しき男。そんな彼の仕事はお昼10分前に鐘をつくこと。そんな彼はとあることでおさえちゃんを見かけるのであった。そしてカビ人間を恐れ嫌うおさえちゃんはその気持ちとは逆に、来て、こっちに来てと言い、そばに近づいてきたカビ人間に、触って、触ってといい彼女の柔らかな手に触れたカビ人間は彼女のことを好きになるのであった。そして彼女が彼と会った恐怖のために2階から植木鉢を投げたところ、その鉢は彼女の父親のお見舞いにきた侍従長の頭を直撃するのであった。そして始まる犯人探し。3km先まで見える男が犯人を見たぞ、それはと言うと、カビ人間はおさえちゃんをかばって自分だと言い出すのであった。町の人間からぼこぼこにされるカビ人間。しかしこれをきっかけにおさえちゃんの気持ちの中に変化が現われるのであった。
そんな中、カビ人間が鳴らす鐘の音をSt.James Dayに聞くと死ぬと言われた市長はその鐘をならさせないためにカビ人間にあの手この手でお願いするが自分の職務に忠実なカビ人間は断るのであった。市長は教会に小火を起こさせ、それをカビ人間に仕業にしようと仕組むのであった。天使の羽を持つが心は汚い男に告げ口を言わせるのであった。「見たよ、見たよ、カビ人間が火をつけた。教会に火をつけた♪」これを聞いた町のものはカビ人間を殺そうとするのであった。彼を助けようとするおさえちゃん。そこに現われたのが「ポーグマホーン」を手にした戦士。そして市長に事の真相を問いただそうとする戦士。市長の部下に襲われ2人を切り、ポーグマホーンの剣は99人の血を吸うのであった。しかし、戦士はあと1人というところで市長に撃たれてしまうのであった。そして撃たれながらも鐘つき台にあがろうとするカビ人間。彼女が息絶えるのを見て、ポーグマホーンを手にして「奇跡の剣なんてくそくっらえ!」と言って自分の胸をつきさすおさえちゃん。そして起る奇跡。町には花が舞い、人々の病気は治ったのであった。
喧嘩していた真奈美と聡も仲直りしてめでたしめでたしと思っていたらそうは問屋がおろさなかった。2人は休憩していた小屋の主人に殺されてしまうのであった。それは死ぬことができなくなってしまった市長。彼は町のみんなを殺し、そして迷い込んできた旅人を殺しながら、ポーグマホーンで再度奇跡を起こそうとしているのであった。

感想

とにかくキャストが全て役のイメージに合っていて素晴らしかったです。特に真奈美役の遠藤久美子ちゃんは声も通って、動きも軽快で舞台映えしてグッド。今後も是非舞台に立って欲しい女優さん。そして彼氏役の長塚さんは軽妙でちょっと情けない役がよく似合っていて、しかもエルビスの衣装でのラブミーテンダーつき。美味しい♪戦士役の橋本さとしさんも堂々の戦士ぷり、豪快でいながら面白い。市長役の成志はそりゃもう自己中で悪ぅーーーーという迫力がすごいし、その相棒の神父役の山内さんもインパクト大。じじい役の若松さんの抑えた演技が山椒のようにぴりりと効いているし、水野さんは結構難しいおさえちゃんを地味に抑えながらも熱演。最後の台詞で私は泣けました。おさえちゃんのカビ人間に対する気持ちがすごく伝わってきたんだもん。しかし最後の終わり方はかなりブラックだけど、最初からストーリーを追っていったらそうなるのは理解できるけど、やはりちょっとブルーになってしまいましたわ。なぜにあの小屋の男があの剣を持っていたか?が問題だもんな。
最後にカビ人間の大倉さん、HOP STEP JUMP状態。私が初めて目にした贋作では鬼役、そしてナイロン、彦馬での伊藤博文役、そして今回のカビ人間役。演技とか動き自体はほとんど同じ大倉さんテイストだけど、ちゃんとカビ人間としての気持ちが伝わってくるから凄いわ。今度はどんな役をするのか楽しみっす。
しかしなぜにSMAP6人時代のテレカ!?しかも「ボーグマホーン」を見つけたご褒美っすよ。それだけプレミアもんのお宝つうことなのかしら?ああ、後藤ひろひと氏に聞いてみたい。しかし台詞の使い方がうまいよなと毎度のことながら惚れ惚れ。今回はムネオハウスまで登場したし。今度はどんな作品を見せてくれるのか楽しみっす。

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