キャンディード観劇レポート
フェスティバルホール 2001.7.20
原作:ボルテール 演出:宮本亜門
作曲:レナード・バーンスタイン 指揮:佐渡裕
キャスト 石井一孝(キャンディード)、増田いずみ(クネゴンデ)、岡幸二郎(マキシミリアン)、中島啓江(オールドレディ)、シルビア・グラブ(バケット)、黒田博(バングロス)、岡田真澄(ヴォルテール)
感想
キャンディードを一言で表せば「行き当たりばったり、でたとこ勝負の人生?」(笑)やっぱりこのお芝居の一番の売りはバーンスタインが作った曲を彼の最後の弟子である佐渡裕が指揮するということなんだろうな。その後が宮本亜門演出、オペラとミュージカル界から役者が出演というようになるんだと思います。佐渡裕のコンダクトを振る姿はかっちょええし、演奏のレベルもかなり高いので、できれば音楽だけ、お芝居だけと分けて見られたら良かったかも...ただ、特徴的な曲が少ないかなぁとも感じられたけど。で、ミュージカル系の歌い方の方が耳が慣れている分、聞き取りやすい。グネゴンテの歌はもろオペラなので、歌詞が聞き取りにくいのと高音部が聞いていてちょいと疲れる。ただ、さすがに声の転がし方はうまい。オペラ界の中で目をひいたのが、バングロス先生役の黒田さん。お芝居はうまいは声はいいわ、オペラなのにかなり聞き取りやすいわと、このお芝居では一押しです。あと、強烈に印象に残ったのが岡さん。あの役は強烈過ぎる。(笑)前半で死んだと思ったのに、なんとうまくおかまになって生き延びているなんて....はは、素敵なキャラだ。
しかし、ストーリーが私にはもうダメダメ。突っ込みまくっておりましたわ。だってあんだけ辛い目やひどい目に遭えばいくら性善説で世の中は回っているとインチキ臭いバングロス先生に教えられたとしても、ちっとは世の中っつうものに気が付くじゃろうて。あれじゃ、単なる脳天気にクネゴンテぇーーー!と叫んでいるだけじゃん。それになぜにあそこまでクネゴンテに入れ込むかもよくわからんし...見ていてイライラしっぱなし。男爵のお城を追放されて、ヨーロッパ内のみならず南米まで行ってもクネゴンテぇーーー!と叫んで6,7年。粘着質なのか?よっぽど男爵令嬢のクネゴンテの方がたくましく生きているっていうもんだわ。生活力なければ自分の美貌で妾や愛人になって食い扶持は確保してるもんね。兄だっておかまになってでも逞しく生きているし...まあ、そんなキャンディードも最後には世の中というものがわかり、幸せというものは自分の近くにあるということに気づき、田畑を耕して暮らしてめでたし、めでたし。
しかし、オペラとミュージカルの方が一緒にデュエットするっていうのは合わないですねぇ。やっぱり根本的に声の出し方とかが違うから。ここはオペラのキャンディード、ミュージカルのキャンディードでやっていただきたかったです。最初はダブルキャストだったんだし...
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