ワンマン経営の病理

4 病理

ワンマン経営に見られる精神的依存性

 ワンマン経営者は他人に命令する快感、他人を服従させる快感、他人からちやほやされる快感に依存する体質になっている。それらの快感なしに業務ができない、また自らのアイデンティティーを維持できない。ゆえに患者にとっては、効果的な経営をすることよりも、むしろこれらの快感を求めることが経営の動機となる。病状の進行と共にそれが顕著になる。逆に忠告や批判されることは不快であり、それらに極度の嫌悪感を覚え、排除しようとやっきになる。それらのことが経営を歪曲させる。ワンマン経営者は自分に甘く、この甘えと人間的な弱さが依存の原因である。自分を厳しく律し、ワンマンによる快感からの依存を断ち切らない限り、この病気を治療することは困難である。

どのような人が発症しやすいか

 人間的に未熟であるため自分に甘く、わがままで、プライドが高く、他の社員から特別扱いをされないと気が済まない人。権威主義的で、自分は従業員より能力が高いと考えている。そのため、社長と従業員の間に壁ができている(社長対従業員という構図)。自己抑制力が低い。一般に甘やかされて育てられ、苦労せずに権限を手に入れることができる二代目の社長は発症のリスクが高いと推測できる。

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