B/Oゾイドのパワーユニット powerunit

 

 新シリーズオリジナル新製品ゾイドのパワーユニットに違いはあるのであろうか?

 新シリーズオリジナル新製品の筆頭、ジェノザウラーから旧シリーズにない特徴をピックアップしてみることにする。

 

1 単4電池2本の直列使用

 まず、旧シリーズにおいてなされなかった単4電池の採用には注意しなければならない。当たり前であるが、単4電池は小さい分、パワーユニット本体をより小型化できる事になる。結果、できあがったパワーユニットは、旧サーベルタイガー級の単3電池1本を使用するパワーユニットよりも一回り小さなモノとなっている。

 更にここで、気をつけねばならないのが、一回り小さいながらも2本の電池を採用し、それが直列につながっていることである。

 旧シリーズでは、単2電池を2本用いるゾイドは、電池を直列につなぎ3ボルト電源を採用していた。これに対し、単3電池を2本用いるパワーユニット(筆頭はレッドホーン級のパワーユニット)は、いずれも並列つなぎで、1.5ボルトの電源での使用であった。

 しかし、ジェノザウラーのパワーユニットは、単4電池を2本用いながら直列つなぎにすることで、3ボルト電源を確保し、モーターからはより強力な速い回転を取り出す事が可能となっている。この結果、完成するゾイドは、旧シリーズのいずれと比較しても、かなり早い動きとなっている。

2 発光ダイオードの使用

 旧シリーズでは、発光はすべて電球であったが、新シリーズでは、発光ダイオードが用いられている。この発光ダイオードの使用も、前述の3ボルト電源の使用に大きく絡んでくる。

 発光ダイオードの点灯には、2.5ボルトの電源が必要なのである。これに伴い、パワーユニットの内部には、取り出される3ボルトの電源を2.5ボルトまで落とすための抵抗が入れられている。こうして、発光ダイオードの点灯が可能となっている。

 3ボルト電源の採用は、発光ダイオードの採用が決定した事による延長線上にでてきたと考えるのが、良いのかも知れない。

3 接点方式のスイッチ

 ジェノザウラーのパワーユニットの場合、スイッチをオンの方に倒すことによって、触れずに重なっている接点が押しつけられることで、通電が確保され動き出すようなスイッチになっている。旧シリーズでは、もともとこのような方法が採用されていなかった。旧シリーズ後期の1300円・1600円シリーズにおいて一部採用されただけである。

 旧シリーズのパワーユニットは、スイッチを倒すことで、パワーユニット内部にある接点を前後にスライドさせ通電を確保していたのである。

 この点について言うと、旧シリーズの方が優れていたと言える。なぜなら、一度電気を流した金属には、酸化被膜がつきやすくなるからである。特に、数年間通電させないと、その現象は顕著になる。その点スライド式の場合、仮にスイッチ部分酸化被膜がついてしまったとしても、何度もスイッチを前後することで酸化被膜を落とすことが出来、通電を確保することが可能になる。これに対し、単純な接触式では、酸化被膜がついてしまった場合、何度もスイッチを入れたり切ったりしても、思うように通電を確保できない可能性もある。

 パワーユニットの小型化という面からすると、スライド式はスペースを食うのは否定できない。しかし、内部のメンテナンスが簡単に出来ない分、ちょっとした対策を期待したいところである。

4 ネジ止め式バッテリーケース

 旧シリーズでは、バッテリーケースは全て「パッチン」式のモノであった。旧シリーズの電池の入れ替えで、本体を壊した経験のあるユーザーもいると思う。かなり力をれなければならないのに、ゾイドはギミックがある分持ちにくいので、結果編変な力をれて、壊してしまうと言う次第である。これに対するネジ止め式は、バッテリー交換に際し、力の加減という要素は無くなるため、こんな経験はしないですむであろう。単純に長所短所を並べてみる。

長所 

無理な力を加えずにバッテリー交換が出来る

理由は前述の通り。ゾイドを壊す心配が減る。

ドライバーという道具の使用

旧シリーズでは、ゾイドを作るに際し、ドライバーという道具を使用する機会はなかった。こうしてバッテリー交換の際にドライバーを使うことで、使用する道具の幅が広がり、手先の器用さを養うきっかけを作ることが出来る。

短所

ドライバーが必要

ドライバーがなければ、バッテリー交換が出来ない。コイン等での代用もできないので、ゾイドで遊ぶために、ニッパ、カッター以外に道具をそろえる必要がある。

 

現在思いつくのはこの程度である。なお、ネジ止め式の採用の結果、バッテリーケースが、扉式でなく、完全セパレート式になっていることも、旧シリーズとの相違点である。

5 ベアリングの採用

 ベアリングと言っても、金属球を使用したモノではなく、より滑りの良いプラスチックパイプを用いているだけであるが、パワーユニットから取り出される力を、ロスを減らして動力を確実に足のギミック部品に伝えることが可能にあるのは否定できない。

 尚、取り付け軸の先端部分が皿を重ねたように溝が出来ているのがわかると思うが、この点は、ゴムキャップの違いとして触れることにしたい。

 

以上見てきた、新シリーズ新製品のパワーユニットに採用された数々の特徴は、とりまく環境の変化から来ている。旧シリーズ現行当時は、アルカリ乾電池はそれほど一般的な電池ではなかった。しかし、現在は、おもちゃではミニ4駆を経て、一般社会では各種のポータブルデッキを経て、アルカリ乾電池がかなり浸透し、簡単に安価で入手できるようになっている。この結果、パワーユニットの設計に際しては、アルカリ乾電池を使うことを前提に出来るようになっている。加えて、単4電池の採用が可能となりパワーユニットの小型化に成功していると言える。また、発光ダイオードが電球よりも小電力でありながら高い輝度を得ることが可能でありなおかつ安価で入手できるようになったことも、大きな変化の一つである。

 この対極にあるのが旧シリーズのパワーユニットである。旧シリーズのパワーユニットは、当時入手出来る範囲のマンガン電池を用いながら、大型化してもかまわないから少しでも大きなパワーを得ること、ないしは、並列つなぎにすることで電池の寿命を少しでも長くしながらより小型化することを目指した設計方針が採用されていたと見るべきであろう。

 新シリーズのパワーユニットがでてきたことで、かえって旧シリーズの設計方針に気づくことが出来たのは、一つの成果である。 

 

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