六角ジョイント joint

 

 新シリーズの一つの大きな違いとして、この事には触れねばなるまい。それは、ジェノザウラーに採用された、六角形のジョイントである。

 六角形のジョイントといっても、メス側が六角形になっているだけで、オス側は円柱のままである。

 ゾイドでは、もともと部品のジョイントで部品を支え合うという考え方はほとんど採用されていなかった。ジョイントで部品を支えていたのは、武器パーツのハードポイントだけであった。それ以外の部分は、単なる位置合わせのためのジョイントがあって、部品のホールドには、C字型の挟み込み型のパーツが使われたり、素通りするジョイントの抜きでた側に、ゴムキャップを差し込んで初めてホールドされると言う方法が採られていたのである。

 旧シリーズ中期から、この考え方に変化が現れ、ジョイントに部品のホールド力が持たされるようになってくる。この時採用されたのは、円形のメスジョイントに、円柱のオスジョイントの一部に縦の凸モールドを入れるという方法であった。この方法では確かに部品のホール努力は維持できても、組立の際、ジョイント全体への力の加わり方にムラが出来てしまうため、結果的に組み立てづらくなってしまっていたと考えられる。つまり、ジョイントオス側の凸モールドの部分とその反対側の、2カ所に大きく力が加わって、残りの部分には力が加わっていない、円柱でありながらある一方向にしか力が加わっていないジョイントであったといえる。このことは、ボディーパーツのように、複数のジョイントで部品をホールドせざるを得ないパーツを組む際に、力の入れ方が均等にならず、組立づらさを生み出していたと考えられる。

 これに対する六角ジョイントと単なる円柱型のオスジョイントの採用は、ジョイント全体に均等に力を加えようとする試みがされていると言える。実際には、六角形であるが故に、6カ所に力が加わっているのであるが、従来の2カ所しか力が加わらないことを考えると、ジョイントには、あらゆる方向から力を加えながらさし込み組立が出来るようになるため、複数のジョイントを同時に差し込んで組み立てる場合などには、組立易さにつながることとなると思われる。

 だが、ここで考えなければならないのは、この六角ジョイントの採用による組立易さが、そのまま、旧シリーズスタート時の、「分解組立が可能」というゾイドの特徴の一つを再現するためであると、結論ずけることが出来ないことである。この「分解組立が可能」にするには、部品へのナンバリング方法と組立手順の一致や、ナンバーの刻印方法、「パチン」式組立の採用をなくすなど、他の要素と絡み合って初めて実現されることであり、もし、トミーが「分解組立を可能」にするために、六角ジョイントを採用したのであれば、ジェノザウラーにおいては、片手落ちであった、と言わざるを得ない。 

 

戻る back