コンバーチブルキット convertible

 

 新シリーズにおいては、旧シリーズの教訓をふまえ、ゾイドのホビー化をかなり意識しているのか、「改造」を早くから前面に押し出した展開がはじめられている。このことは、ホビーフェアで改造パーツが売り出されたり、ミニイベントを通じて、具体的に紹介されていることからも明らかである。

 当初から、改造パーツを同梱しておけば、あまるパーツを好きなように使おうとするのは、誰もが思いつくことであり、そのちょっとしたことから改造の意欲をかき立てることになるであろう。この展開は、旧シリーズでも試され、ゴドス、ガイサックは本体+改造用ランナーパーツという構成での販売展開がされていた。これを受けた展開として、新シリーズオリジナル新製品であるジェノザウラーには、早々とコンバーチブルキット、自分で改造するのではなく、自分で好きな仕様を選べる、キット構成の方法が採用されている。

 ジェノザウラーでは、頭部の武器パーツを選択することで、ノーマル仕様とレイブン仕様のいずれかを組み立てることが出来るようになっている。

 改造という意味からすれば、単なる仕様の選択ということで、ゴドス、ガイサックの方法と比較して、自由さが奪われており、後退ともとれるかも知れないし、よりパーツの目的を明確にしたという意味では、昇華させたともとれる方法である。だが、確実に言えることは、遊び方に広がりを与えることに成功していることである。 

 コンバーチブルキットは、艦船、航空機、AFVのミリタリーモデルでは、普通に行われていることであり、一つのキットを買ってくれば、説明書の中の手順に従って、仕上がりを選べるようになっている。旧シリーズから、ゾイドにはミリタリー色はかなり濃く現れていたので、ミリタリーモデル的展開を考えるのであれば、なぜ、新シリーズの今頃になって、やっと採用されたのか不思議なくらいの方法であるといえる。

 ジェノザウラーで言えば、メディアミックス、特にアニメの展開が続けられている現在、キャラクターおもちゃとしてのジェノザウラーを発売しておいて、後日アニメ終了後に、おもちゃとして自立したゾイド・ジェノザウラーの展開が可能な形にしておくための、経費節減のために採られた方法かも知れないが、結果的には良い効果になっているといえる。

 

 旧シリーズゾイドは、当初「ゾイド改造計画」と銘打って、ゾイドを改造することをゾイドの遊び方の一つとして、大きく取り上げていた。しかし、設定の変更に伴い、よりミリタリー色の濃いモノへと変化していった。改造というゾイドの遊び方とミリタリー的展開。以上を考えるのであれば、コンバーチブルキットとしての展開は、ゾイドの大河トイシリーズ化に向けて歓迎すべき方法である。  

 

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ジェノザウラー取扱説明書より転載